新藤義孝の発言 (憲法審査会)
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○新藤委員 自由民主党の新藤義孝でございます。
この度は、緊急事態条項について、維新、国民、有志、三会派が共同提案をされ、本日の配付資料としてその概要が示されております。後ほどそれぞれの会派より御説明があると思いますが、この内容は、これまで審査会において討議されてきた内容を反映されたものであり、建設的かつ真摯な議論の結果として歓迎したい、このように思います。
今後は、私たちが申し上げている観点も含め、審査会において更に議論を深め、作業を詰めていきたい、このように考えておるわけであります。
これまでの討議で、議員任期延長については、国会承認の際の議決要件と裁判所の関与の是非、その在り方が残る論点として絞られていると思います。この点につきましては、私も意見を申し上げておりますので、各会派からの御意見もいただき、引き続き論議を進めていきたい、深めたいと考えております。
なお、議員任期延長の前提となっている参議院の緊急集会については、この審議会において、それが一時的、限定的な性格を持つという意見や、最大限これを活用してはというような意見が出されております。今後、参議院憲法審査会での討議の状況も見ながら、議論のレベルを合わせていくことになると思われます。
この際、私から申し上げておきたいのは、そもそも私たちがこのような緊急事態条項の論議を行う大前提は、国はいかなる状況に陥っても国会機能を維持し、民主的統制の下で国家運営を行っていかなくてはならないということであります。そして、緊急事態が発生し、平時のルールでは国会が機能不全に陥ってしまう状況になれば、その際は例外的な措置を取ってでも国会機能を維持する必要があり、緊急事態条項は、その根拠となる規定を憲法に整備しようとするものであります。
つまり、やむを得ない場合に備えるための条項であって、積極的にこの条項を活用するような意図を持つものではありません。
その上で、緊急事態条項により国会機能の維持を図ろうとしても、それでも維持できないような場合、すなわち、議員が参集できない、国会が物理的に開会すらできないような究極の事態も想定しておかなくてよいかという問題が残るわけであります。
今議論をしております国会機能維持のための議員任期延長では対応し切れない事態が想定される以上、他国の憲法にあるような、究極の事態において内閣が一時的に国会機能を代行する緊急政令、緊急財政処分の制度についても議論が必要ではないか、このように考えます。
こうした内閣による緊急政令、緊急財政処分の権限発動は、あくまでも一時的、暫定的な国会機能の代行であり、国会機能が回復した時点で速やかな国会の同意を必要とすることはセットで考えたい、このように思います。
本日は、憲法九条の改正について、私なりの考え方をお手元の配付資料に沿って説明をしたいと思います。
まず、九条を議論するに当たっての大前提は、日本国憲法三大原理の一つである平和主義は堅持するということであります。九条一項の戦争放棄と二項の戦力不保持、交戦権否認は、いずれも徹底した平和主義の精神、すなわち専守防衛を端的に表したものであり、この原理は今後もしっかり受け継いでいくものと考えております。
他方、近年、中国の軍事力の増強、北朝鮮による核やミサイル開発の進展、宇宙やサイバー空間といった新たな安全保障領域の誕生など、我が国を取り巻く安保環境は劇的に変化をしています。さらに、昨年二月に始まったロシアによるウクライナ侵略は、一年を超えてもなお激しい戦闘が継続しており、ウクライナ問題は決して対岸の火事とは言えません。
こうした安保環境の激変に対応するため、我が国は平和安全法制を整備し、昨年暮れには、新たな防衛三文書を閣議決定しました。しかし、これらは全て、法律やそれ以下の閣議決定などで定められているものであります。
まず、配付資料の一、国防規定・自衛隊を御覧になってください。
そもそも、国の最大の責務は、いかなる場合においても国民の生命と財産、領土や主権を守り抜くことです。にもかかわらず、この国家の最重要任務に関する規定が基本法である憲法に全く存在しないことは、独立主権国家の憲法としておよそ不自然であり、現行憲法には最も根幹に当たる規定が欠落していると言わざるを得ません。
我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つという、自衛隊法や事態対処法といった法律に規定されている国防の概念をその大本である憲法に規定することが、特に障害になるとは考えられません。本来、こうした国家の根幹に当たる概念は基本法にある憲法に基づいて導かれるものであり、既に法律で規定されているものを憲法に規定することは、むしろ当然と言えるのではないでしょうか。
そして、この国防を担う実力組織として自衛隊を憲法に明記することは、基本法である憲法が掲げる、あるべき国の形を整えることにつながると考えております。
このような考えに基づき、私たちは、現行の九条一項、二項をそのまま維持した上で、九条の二として、前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置を取ることを妨げず、そのための実力組織として自衛隊を保持する旨の規定を設けてはと提案をしているわけであります。
次に、配付資料の二、必要最小限度・専守防衛というところを御覧ください。
国防及び自衛隊の規定を設けたとしても、現行の九条一項、二項はそのまま維持しますので、自衛権の行使は必要最小限度という現在の解釈に全く変更はございません。先ほど説明した必要な自衛の措置という表現には最小限度の文言がないという御指摘をいただくことがございますが、この表現は、昭和三十四年の砂川事件最高裁判決にある文言、すなわち「わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のことといわなければならない。」という判決文を参照したものです。
そして、ここで言う必要な自衛のための措置の意味は、配付資料の中央、「平和主義(九条一・二項)を基本原則とする憲法が自衛の措置を無制限に認めているとは解されない」とあるように、あくまで、必要な自衛のための措置は、必要最小限度、専守防衛のことであるとの解釈を堅持するものであります。
さらに、配付資料の三、シビリアンコントロールの在り方について。
私たちは、九条の二の第一項として、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とするという政府内の統制と、第二項として、自衛隊の行動は国会の承認その他の統制に服するという国会による民主的統制の両面から規定し、シビリアンコントロールについて提案をしています。この考え方も自衛隊法や事態対処法などに規定されているものであり、基本法たる憲法に規定することは当然のことと考えております。
国防、安全保障に関する議論は、緊急事態条項の議論と併せ、国の根幹を成すものであります。それだけに、各会派には様々な御意見があると思いますが、大切なのは、各会派が一つのテーブルに着き、様々な意見を持ち寄り、議論を深めていくことです。その議論の経緯を国民の皆様に明らかにしていくことこそが、国民投票を行う際の最も重要な要素になると考えております。
次回以降、審査会における討議の中では、この重要なテーマについても、各会派委員との意見交換を行い、より議論を深めていきたいと考えております。是非、各会派の委員なりの御意見を頂戴いただければと思います。
今朝の幹事会において、来週の定例日にも審査会を開催し、議論を継続することを提案いたしました。今後も憲法審査会が安定的に開催され、充実かつ深い議論が行われるよう、委員各位の御理解と御協力をお願いして、私の発言といたします。