中川正春の発言 (憲法審査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○中川(正)委員 立憲民主党の中川正春です。
 今日は、立憲民主党が進める論憲の中身について総括をしていきたいと思います。
 時代の変遷とともに憲法も見直すことが必要だと言われています。しからば、その具体的な立法事実は何か、これが論憲の出発点であります。続く論憲の過程で、第一には、現状において、憲法に違反するような権力の濫用や、政権に都合のよい憲法解釈の変更がなされていないかという検証。第二には、新たなルール規定が必要な事象が表れたとして、法律の改正で整理することが可能か否かという検証。そして第三には、憲法制定時には想定されなかった新しい課題に対して、憲法の改正をもって整理することが望ましいということではないかという検証。こうした手順を大事にしていくことが論憲だというふうに思っております。
 立憲民主党では、まず、次に述べる四つの分野に焦点を当て、各々の憲法上の課題について具体的な議論を進めています。
 一つは情報化社会と人権保障、そして地方自治、国会の在り方、そして安全保障であります。現在、各分野において中間報告をまとめつつあります。
 まず第一に、情報化社会と人権保障の分野では、議論を三つの領域に分けて、その解決の方向性を探りました。一つは、国家や組織等からデータを通じて制御されない自由を保障する自己情報コントロール権。二つ目は、国家に必要な情報を開示させる請求権である情報アクセス権。三つ目は、多種多様で健全な情報に接する環境を保つように国家等に求める権利である情報環境権であります。国民投票法改正の議論においても、上記の権利について更に広く深く考えていくということが必要だと思っております。
 第二に、地方自治の分野では、憲法における地方自治規定は、その規定密度の低い点において議論の余地があると思っています。その上で、理念としての地方自治の本旨に、団体自治や住民自治に加えて、補完性の原理や近接性の原理を読み込むべきではないだろうかということ。さらに、地方分権を進める観点から、法律と条例の関係を問い直すことや、政省令委任から条例委任への法体系の見直し、同時に自治財政権の確立ということも必要だということ。この方向性を持って議論を深めていくということだと思っています。
 また、中間報告では、統治機構の在り方としては、現状の一律の二元代表制という制度以外に他の選択肢を設けることや、住民投票や外国人の政治参加についても更なる議論が必要だとしております。特に、憲法上の結論を出していかなければならないとすれば、繰り返される一票の格差訴訟や合区問題への対応であります。平等という概念を人口比例原則だけで捉えた今の選挙の区割りだけでなく、行政区単位で代表を出すことで、人口減少地域からの代表選出を保障すべきだという意見も根強く出ております。
 参議院の役割の見直しなども念頭に、憲法を見据えた更なる議論が特に今の時点で必要であるというふうに考えています。
 第三は、国会の在り方であります。
 憲法は徹底した国会中心主義を採用しており、平時、有事を問わず、いかなる場合でも国会機能の維持は大前提です。
 まず、内閣総理大臣による解散権の恣意的な行使に対しては、解散権行使を法律で制限するか、又は改憲が必要だというふうに考えています。また、憲法五十三条に基づく臨時会召集の要求を内閣が放置する憲法違反が常態化をしています。私たちは、召集期限を法定する内容の国会法改正案を衆議院に提出をしております。さらに、緊急時における内閣への権限集中については、各分野の個別法で対応している今の形、現状の形を、危機事態の想定を厳しくしながら、法律でもって改正していくことが適切だと考えています。
 その上で、任期満了時に大規模災害等で選挙が執行できない状況を想定した中での参議院の緊急集会などの議論は、選挙困難事態という形で捉えていくこと。さらに、選挙困難事態の具体的な定義や判断主体などの議論がまず先行されなければならないと思っております。
 その上で、その間の国会機能をいかに持続させるかという観点で、平時の国会機能に関する諸課題と併せた全体的な話の中で整理していくことが必要だと考えます。すなわち、解散権、臨時会の召集義務、オンライン審議などと並行して、参議院の緊急集会、議員任期の延長の仕組みを総合的に議論すべきであります。中でも、特に参議院の緊急集会については、参議院の憲法審査会自身の議論が先行されるべきだというふうに考えています。
 また、最高裁が違憲審査権を適切に行使しないために、違憲審査機能を事実上政府の一部局である内閣法制局に委ねている現状は問題であるというふうに考えます。裁判を政治や政局に巻き込まないことを前提にして現状の裁判所を改革するのか、又は憲法裁判所を創設するかなどの議論を深める必要があるというふうに考えます。
 第四の分野は、安全保障です。
 この間の議論ではっきりしていることは、まず、憲法九条から導かれる専守防衛、集団的自衛権の排除、必要最小限度の自衛力という実質規範は、日本の安全保障理念の基本として、現在も、また将来にわたっても大切にしていくべきことだというふうに考えます。
 今、国会で議論されている敵基地攻撃能力や日米安保協力の見直しなどについては、憲法規範を超えるものではないかという疑念が持たれています。このようなことが議論されている今だからこそ、憲法に照らしてどうなのかという議論は、この審査会において、最優先で集中テーマとして取り上げるべきだというふうに考えています。
 以上の四分野以外でも重要な課題はあります。欧米先進国と比較して議論の遅れが指摘されている同性婚やLGBTQの諸課題です。審査会で緊急に議論の俎上にのせるべきであります。解釈と法改正により対応するのか、憲法改正がふさわしいのか、国民的合意に向けた結論を導き出すことこそ、この憲法審査会が果たすべき使命だと私は考えています。
 最後の締めくくりとして、これまで述べた取組を踏まえて、最優先で集中審議すべき項目を改めて示します。まず、一票の格差の問題、そして同性婚、さらに安全保障であります。各会派には、特にこの三つを取り上げていただいて、集中討議の場を皆でつくることを踏み出していただくことを求めて、今日の発言を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

発言情報

speech_id: 121104183X00620230406_004

発言者: 中川正春

speaker_id: 15692

日付: 2023-04-06

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会