北神圭朗の発言 (憲法審査会)
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○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
既にありましたように、日本維新の会、国民民主党との間で、まずは議員任期延長に関する共同案を取りまとめました。検討課題も残っていますが、これを機に、本審査会でも条文化への審議が加速することを期待します。
もう詳細な説明がありましたので、私からは、残された論点、二点について触れたいと思います。
まず一つ目は、実体的要件において、四つの類型に加えまして、資料にもありますが、その他これらに匹敵する事態が加えられています。
これについて、拡大解釈の余地が生じるのではないかという疑念があるかもしれません。こうした解釈の余地を設けたのは、我々の現時点の知恵では網羅できない事態もあるだろうという考えからです。例えば、お隣の韓国でも、緊急事態条項の中で、戦時、事変又はこれに準ずる国家非常事態と、言葉は匹敵と準ずるで違いますけれども、ほぼ同じ趣旨の規定がなされています。
また、その他これらに匹敵する事態という文言にあるその他云々といった、いわゆる並列的例示と言われるそうですが、この並列的例示については、法令の世界では、その他という文言の前に示されている例示が具体的であればあるほど解釈が限定されるというふうに一般的に言われています。その点、我々が示している四つの類型は、武力攻撃、内乱・テロ、自然災害、感染症の蔓延と、十分具体的だと思います。
さらに、ここで国会が議決するのは緊急事態の認定だけではなく、中核的な部分はいわゆる選挙困難事態です。つまり、選挙の一体性を損なう広範性と七十日以上の長期性、これらの要件が満たされているかどうかも併せて審議されます。ここでも歯止めがかかるようになっていて、条文全体として、恣意的、濫用的適用の危険性は防げると確信をしております。
それでも、万一、拡大解釈が行われてしまった場合に備えて、例えば憲法裁判所がこれを指摘して国会に対して勧告などの措置を行うことができるといった、司法の立場から事後的に牽制できる制度をこれから検討してまいりたいと思います。
もう一つの論点は、緊急事態と選挙困難事態が国会で認定されるためには、三分の二以上の議決が求められると我々の案でもされていますが、これが妥当かということです。
我々としては、これは、緊急事態という極めて特殊な状況に鑑みて、憲法が規定する任期を例外的に延長する行為なので、通常より慎重な議決が求められてしかるべきだという発想に基づいています。
これについて、新藤筆頭幹事から、国会の議決は、二院制の下、衆参それぞれが過半数で議決することが大原則となっている、過半数議決こそは民主主義の根本ルールであり、意思決定方法の原点と言えるとの指摘がありました。確かにそのとおりだと思います。
特別多数については、憲法改正の発議以外は全て一院による議決行為となっています。この原則を形式的に議員任期の延長に当てはめたら、両院で議決をされるのだから、過半数の議決でも問題がないように思います。
しかしながら、中身を見ると、少なくとも、我々の案では、国会が議決の対象とするのは、先ほど申し上げたとおり、一つには緊急事態の認定であり、二つには選挙困難事態の二点であります。
そして、一つ目の緊急事態が認定されることにより発生する法的効果は、議員任期の延長だけでなく、今後の検討の行く末によっては、例えば、国会閉会中の召集義務とか、自民党案などにありますように、緊急政令とか緊急財政処分をも可能とすることも、これから議論しないといけないですけれども、含まれる可能性があります。これらの法的効果は、通常の立憲的な憲法秩序を一時的に変更することにほかなりません。
国会議員の任期延長もそうだと思います。そもそも、憲法第四十五条、四十六条に、衆議院議員、参議院議員に任期を定めているのは、安定的な議員活動を確保するのと同時に、北側委員からも話がありましたが、一定の期間を経たら必ず選挙を通じて国民の意思が及ぶことに意義を持たせているからです。平たく言えば、議員としての地位に安んじて権力が濫用されないための、憲法上の国会議員に対する縛りだと解釈することができます。
そういう意味では、議員任期の例外を認めることも、やはり、憲法が本来予定している秩序を一時的にせよ変更することだと言えるでしょう。
新藤幹事は、憲法改正は、国家の根本規範である憲法の規定を変更するものとして、過半数議決の例外として当然だとされていますが、緊急事態条項は、国家の根本規範である憲法秩序を一時的にせよ変更するものです。しかも、憲法改正の場合は、国民投票という国民の意思が直接反映される手続が併せて求められますが、緊急事態条項の場合には、そうした仕掛けを設ける余地が恐らく論理的にありません。
したがって、私は、緊急事態条項についても、憲法改正の発議要件と同じ程度の厳格さが求められてもおかしくないように思います。
少なくとも、現行憲法上、半数議決となる事項、すなわち、法律、予算、条約の承認、内閣総理大臣の指名といった国会の平時の権限とはおのずと次元が異なるのではないでしょうか。
いずれにせよ、こうした議論を重ねながら、我々三会派の条文案も御参考にしていただいて、全体の具体案が早く得られることを改めて御期待申し上げまして、私の意見表明とします。
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