岩谷良平の発言 (憲法審査会)

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○岩谷委員 日本維新の会の岩谷良平です。
 本日は、憲法九条、とりわけ自衛隊の存在の合憲性に関わる憲法改正について、日本維新の会の現時点での考え方を述べます。
 その前に、先週、沖縄県宮古島付近で行方不明になった陸上自衛隊のヘリコプターに搭乗されていた十名の皆様が一刻も早く発見されますことをお祈りいたします。
 また、本日午前七時半前に北朝鮮から弾道ミサイルの可能性のあるものが発射されたとの発表がありました。断固として抗議いたします。
 そして、抗議するだけではなく、この間議論が重ねられてきた有事に備えた緊急事態条項を憲法に設けることや、これから申し上げる憲法九条の改正など、国及び国民の安全を守るため、いつまでも議論、議論と言わずに、早期に結論を出して前に進めていくことが憲法審査会の委員たる我々の使命ではないでしょうか。
 さて、このように我が国を取り巻く安全保障環境が深刻化する中で、自衛隊を廃止することが非現実的であることは論をまちません。一方で、自衛隊の存在が憲法上認められるかについて、自衛のための必要最小限度の実力は憲法で保持することを禁じられている戦力に当たらないので合憲であるとの政府解釈には批判も多く、憲法学者の間では、現行憲法の下では自衛隊は違憲とする考えが通説的な地位を占めています。
 この現状は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つ根幹をなす自衛隊が解釈によって存在していることにより、違憲の可能性が指摘され続けることになり、立憲主義の観点から大きな問題です。よって、現実的に必要な存在である実力組織である自衛隊を、苦しい解釈によるのではなく、憲法に明確に位置づけて、より明らかに合憲の存在とすべきです。
 このため、日本維新の会は、現在の九条一項、二項をそのまま維持した上で、憲法に自衛隊を明記するために、新たに設ける九条の二で、「前条の範囲内で、法律の定めるところにより、行政各部の一として、自衛のための実力組織としての自衛隊を保持する。」と規定すべきと考えます。
 九条の二を設けて自衛隊を憲法に位置づけ、自衛隊違憲論を解消すべきとの趣旨は、自民党案も同様だと理解しています。
 しかし、その際、留意すべきポイントが幾つかありますので、配付した資料に基づいて御説明いたします。
 まず、ポイントの一つ目は、新設する九条の二が九条の枠内であることの明確化です。すなわち、九条の二が現行九条の規範に影響を与えないようにするということです。
 この点、自民党案では、同様の考え方の下、「妨げず、」という文言を用いていますが、「妨げず、」には確認規定の意味のほかに例外規定の意味を持つときがあるため、九条に穴を空けるつもりかと疑念を抱かれることになりかねません。
 そこで、我々の案では、前条、すなわち九条の範囲内でという表現を用いることを提案しています。そうすれば、新設する九条の二がどのような規定であれ、現行九条の枠を飛び出ることはあり得なくなり、現行九条の重要規範である必要最小限度や専守防衛が、疑念を持たれることなく、より明確に維持されることになります。
 なお、専守防衛や必要最小限度の規範については、昨年十二月に岸田総理に提出した日本維新の会の国家安全保障戦略等の改定に対する提言書でお示ししたとおり、専守防衛とは、国土や国民の生命に被害が出た後のみ反撃が可能となることを意味するものではなく、他国の侵略を未然に防ぐに足る十分な抑止力、すなわち、我が党が掲げる積極防衛能力の保持は専守防衛の理念に合致すること、及び、必要最小限度の実力とは、その時々の国際情勢や相手国の状況及びそれらへの対処の選択肢等に応じて変化するものであることに留意する必要があります。
 次に、ポイントの二つ目は、自衛隊の保持と任務の明確化です。自衛隊を憲法に位置づけるに当たっては、それが何を任務とする、どのような組織なのかを書く必要があります。
 この点、自民党案では、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つための実力組織とされていますが、簡潔な記述を基調とする我が国の憲法においては、他の規定とのバランスからも、シンプルに、自衛のための実力組織と書くだけでよいと考えます。すなわち、自衛隊という実力組織の任務が、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つこと、つまり国防であることを示すには、単に自衛のためと書くだけで必要かつ十分です。
 次に、ポイントの三つ目は、自衛隊が行政機関であることの明確化です。
 自衛隊を憲法に明記することで、自衛隊が国会、内閣、裁判所や会計検査院と同じような憲法上の機関となりますが、それに加えて、防衛省と異なる位置づけの機関になったのかとの疑問が出てきます。
 そこで、自衛隊と防衛省との関係を明確に整理しておく必要がありますが、この点については、行政各部の一つとしてと書けばよいと考えます。行政各部という表現は、現行憲法七十二条に、内閣総理大臣は行政各部を指揮監督するという形で用いられており、行政各部の一つと書くことによって、自衛隊が各行政機関と同格であることが明確となり、防衛省との関係を含めて、現在の位置づけから変わらないことが明確になります。この視点は、自民党の条文イメージにはなく、我が党の独自の緻密な条文作成のポイントでもあります。
 ポイントの四つ目は、シビリアンコントロールの明確化です。
 自衛隊は、武力を行使する究極の実力組織であることから、民主的統制に服せしめることを憲法上明確にすることも重要なことです。
 そこで、維新の案では、法律の定めるところによりと書いています。これにより、具体的には自衛隊法や事態対処法などで規定することになり、既に現行法に規定があるとおり、一、内閣総理大臣を最高指揮監督者とする行政府内の統制と、二、国会承認、報告等による立法府の統制の両方を機能させることが明確になると考えます。
 なお、この点について自民党案は、「内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする」や「法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。」とされており、行政府と立法の両方の統制を図る点で同様の趣旨の規定になっていると理解しております。
 以上のような我々の案は、現行の政府解釈を前提に、必要最小限の改正によって自衛隊の合憲性に対する疑義の解消を図るものであり、多くの国民の皆様にも受け入れていただけるものではないかと考えています。
 なお、我々維新の会が提案しているように、憲法を改正して憲法裁判所が設置されれば、現行の憲法の下での自衛隊の合憲性に関して抽象的違憲審査が行われることになると想定されます。そして、合憲と判断されれば違憲性の疑義は解消されますし、仮に違憲と判断されれば、現実的な判断として、憲法九条を改正し自衛隊を合憲化する動きが一気に進むものと考えられます。
 すなわち、憲法裁判所はいわゆる裁判の政治化や政治の裁判化を引き起こすのではないかとの御意見をいただいておりますが、このように、憲法裁判所が設置されれば、裁判が政治を動かす、あるいは政治が裁判を動かすダイナミックで動的な権力分立となり、それは望ましいことであるとも考えられることを付言いたしまして、私の発言を終わります。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 岩谷良平

speaker_id: 33412

日付: 2023-04-13

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会