浜地雅一の発言 (憲法審査会)

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○浜地委員 公明党の浜地雅一です。
 本日は、反撃能力と専守防衛、また自衛隊の憲法上の位置づけについて私見を述べたいと思います。
 まず、反撃能力と専守防衛については、私も参加しました安保三文書の与党ワーキングチームでの議論も紹介しつつ、見解を述べたいと思います。
 今日は、一枚ペーパーをお配りしております。
 専守防衛とは、言うまでもなく、お配りしましたこの図の下の方の三つのパーツから成っておりますけれども、まず、このワーキングチームでは、先制攻撃は許されないという専守防衛の一つ目のパーツ、これを端的に表すものとして、名称を反撃、あくまで相手方の武力攻撃が発生してからのカウンターであることを意識しまして、このような名称、定義といたしました。英語で読みますとカウンターケーパビリティーズというふうに表現をされます。
 また、この反撃の定義の中で、「我が国に対する武力攻撃が発生し、」としたため、存立危機事態において反撃を行使し得るかが表現されていないのではないか、我が国と密接に関係のある他国に対すると加えるべきではないかとの指摘もございましたが、この反撃能力は、そもそも政策的な概念で、法的な概念ではありません。また、この反撃の定義の中に、「武力の行使の三要件に基づき、」と明記することで、存立危機事態も含むと読める、そのように整理を行いました。
 とはいえ、確認的に、安保三文書の中には、二〇一五年、平和安全法制時に示された自衛の措置の三要件に当てはまる場合にこの反撃能力は行使し得る旨を記載させていただいたところでございます。
 次に、反撃に用いるスタンドオフミサイルと専守防衛との関係について。これは、専守防衛の定義の三つ目に関わる問題だと思っております。いわゆる、保持できる必要最小限度の防衛力かどうか。
 この問題につきましては、その時々の国際情勢や、科学技術の、安全保障の環境によって左右される相対的なものであることは皆様御承知のとおりだと思っております。しかし一方で、安全保障環境が変化すればどのような装備も保持できるかというとそうではなく、政府は、これまで、保持できる防衛力の限界として、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いる核兵器や長距離戦略爆撃機など、攻撃的兵器は必要最小限度を超えると答弁をしてきております。ですので、スタンドオフミサイルはこの限界を超えないのかという問題が生じました。
 スタンドオフミサイルは、まず、通常弾頭を搭載し、その上で、精密誘導ミサイルでございます。性能上、目的を的確に捉えることができます。よって、相手国の国土全体を五月雨式、網羅的に攻撃するものではない。当然、的確な目的情報や攻撃効果の測定が前提となりますが、いわゆる壊滅的破壊にのみ用いるような装備ではないというふうに整理をいたしました。
 次に、とはいっても、現下の安全保障環境は、反撃能力の保有は質的に必要最小限度を超えないかということが問題になります。
 これは、変則型ミサイルやマッハ五を超える極超音速弾の登場によりまして、BMDを中心とする現在のミサイル防衛網だけでは防ぎ切れないかもしれない、国民の生命、安全を守るために、現下の安全保障環境では、まずはミサイル防衛で防ぎつつ、有効な反撃を加えることは必要だろうということで整理をいたしました。
 次に、専守防衛の二つ目の、行使の態様としての必要最小限度性の問題でございます。
 これは、自衛権三要件のうちの、相手方の武力攻撃を排除するに必要最小限度というものを超えないかどうかということの問題でもございますが、これは裏を返せば、自衛権行使の場合に必ず反撃能力を行使するのではなく、反撃を加えなければ相手方の武力攻撃を排除できない場合でなければ、行使の態様としての必要最小限度を超えるものと理解されます。
 これを担保するために、ワーキングチームでは、国会承認の対象となります武力攻撃等の認定における対処基本方針において、事態の経緯や武力攻撃の認定に当たっての前提となる事実を記載する際、反撃まで加えなければ相手方の武力攻撃を排除できないような事態であるのか、もちろん、反撃能力は自衛権の一環ですから、明示的に反撃能力行使の要否までの記載は求めませんが、事態の経緯等から反撃も含む防衛出動の発動の要否を我々国会が判断できるように、詳細に記載するよう求めたところでございます。
 また、軍事目標以外に反撃を加えることは国際法上違反であるため、これも行使の必要最小限度性の問題として整理をいたしました。スタンドオフミサイルは精密誘導弾であるため、軍事目標のみを攻撃することは性能上可能であり、必要最小限度は超えないと判断したところでございます。
 ワーキングチームでは、反撃能力は自衛権の一環であるため、自衛の措置の三要件、そして、その前提となる専守防衛との整合性を意識して議論したことを紹介させていただきました。
 次に、自衛隊の憲法上の位置づけについて述べますと、まず、憲法九条一項、二項は堅持すべきです。また、一部にある自衛隊違憲論を払拭するために憲法上明記するという議論ではなく、自衛隊は言うまでもなく我が国の最大の実力組織であるわけでありますので、これに対する民主的統制の観点から憲法上に書き込んでいく。民主主義、国民主権という観点から、憲法価値を高めていく意味で、ふさわしい書きぶりを求めていくべきだろうと思います。
 そこで、私は、自衛隊法七条の、内閣総理大臣が内閣を代表して自衛隊に対する指揮監督権を有するという民主的統制を定めた規定、これを憲法価値を高めるために憲法上明記していく。そうなりますと、恐らく、憲法の統治機構の中の、七十二条とか七十三条の内閣の職務として書き込んでいくのも一つ考えられるのではないかと思います。この考え方は、前回、自民党さんも示されました図の、自衛隊を国防の担い手としての組織的側面及びシビリアンコントロールの側面から規定するという部分と重なると思います。
 他方、行動的側面、つまり、自衛権の具体的な内容を書き込むことについては慎重さが求められると思います。御案内のとおり、自衛隊の存在及び自衛の措置の限界については、これまで、長い綿密な議論を通して、解釈に解釈を積み重ねて現在、確立されたものでございます。
 特に、限定的集団的自衛権を含む自衛の措置の限界を示した平成二十六年七月一日の閣議決定においては、憲法九条と前文及び憲法十三条から、我が国の存立を全うするために必要な自衛の措置を取ることは禁じていないと、砂川判決と軌を一にするこれまでの解釈を紹介しつつ、自衛の措置は、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される事態に対し、やむを得ない措置として初めて許容されるという、昭和四十七年十月十四日参議院決算委員会への提出資料を引用して、これが、政府が一貫して表明してきた見解の根幹、基本的論理として、憲法九条下では今後も維持されなければならないと明記をされております。その上で、武力の行使は、我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として許容されると、あくまで自国防衛に限る旨が明示をされておるわけでございます。
 当時の安倍総理も、国会答弁で、憲法九条の解釈に関する従来の政府見解の基本的論理を超えて武力の行使が認められるとするには、憲法改正が必要になると述べられております。
 憲法九条下で許容される自衛の措置の限界は解釈を積み上げて確立したものでありまして、これを正確に表現することは私は大変難しいものではないかと思いますし、また、これをあえて表現をしますと、かえって自衛の措置の必要最小限度性や専守防衛について新たな解釈が生まれる余地が生じてしまうのではないかと私は懸念をするところでございます。
 私の見解は以上でございます。

発言情報

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発言者: 浜地雅一

speaker_id: 20553

日付: 2023-04-13

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会