玉木雄一郎の発言 (憲法審査会)

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○玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。
 まず、緊急事態において国政選挙が実施できない場合の対応について述べたいと思います。
 先週、奥野委員から、立憲民主党は議員任期の延長のための憲法改正は絶対反対ではない、解釈や法改正でできないことが明らかになれば、改憲も当然との意見表明があったことを改めて評価したいと思います。
 これまでの議論の中で、繰延べ投票で対応できないことは明らかになったと思いますので、残された論点は、緊急集会の一時的、臨時的、限界的な射程がどこまで延び得るのかということに収れんされてきたと思います。
 前回、日本維新の会、我が党、そして有志の会の三会派で示した案では、選挙の一体性が害されるほど広範な地域において国政選挙の適正な実施が七十日を超えて困難であることが明らかな場合に延長を認めることとしております。逆に言うと、七十日までは緊急集会の活用をするということで、すみ分けを明確にしています。
 今日は公明党の先生方に伺いたいんですが、昨日、参議院の憲法審査会で、御党の議員から、七十日を超えても緊急集会で対応せざるを得ない旨の発言があったと承知しております。
 本院でのこれまでの主な議論は、あくまで緊急集会は、期間限定かつ事後的に衆議院の同意がなければ効力を失う臨時的なものであり、取り扱える案件も、浜地議員からも、過去の例も示しながら、内閣が求めた、ある種限定的なものに限定されているということだったと思います。
 仮に七十日を超えて対応できるとしたら、逆に、どの程度の期間、どのような案件について対応できると考えているのか、公明党さんのお考えがあれば伺いたいと思いますし、衆議院と参議院でそこは意見がそもそも違うのか、同じなのか、まだ収れんされていないのか、ここは現状として教えていただければと思います。
 次に、立憲民主党の篠原委員に、前議員の身分復活について改めて伺います。前回、回答をいただいたんですけれども、理解できなくて夜も眠れないので、改めて伺いたいと思います。
 前回、前議員に国会と同じような権能を与えてもいいんじゃないかと述べられて、同時に、全てのことを憲法にきちんと規定しなくちゃいけないというのは理想だ、安全保障の大事な部分だって、違憲だと思われるようなこともしているわけですからと述べられておられます。
 これは、選挙できないような緊急事態において、違憲だと仮に思われても前議員に議員と同じような特別の身分を与える法律を作れという趣旨だと理解したんですが、しかし、これは明らかに、議員でない者に議員と同様の権限を与える立法は、議員任期を定めた憲法四十五条、六条、国会が唯一の立法機関と定めた四十一条、参議院の緊急集会の対応を定めた五十四条二項にやはり違反する、違憲立法にならざるを得ないと思います。
 本当にかかる立法が可能と考えているのか、改めて篠原委員の、あるいは立憲民主党の意見を伺いたいと思います。
 次に、新藤幹事から説明のあった自民党の九条改正案、先ほど岩谷委員からも維新の会の説明もありましたので、これについての国民民主党の考え方を申し述べたいと思います。
 両党から出された案も一案だと思います。ただ、我が党の中で引き続き議論している中で、まず、自民党の改憲四項目の九条改正案については、立法事実、憲法事実というか、改正の目的は何なのかというところがやはり重要だと思っています。
 解説文書を読ませていただいたんですが、憲法学者が違憲だと言っている、教科書に違憲論がある、多分共産党さんだと思うんですけれども、違憲だと言っている国政政党があるということが憲法事実と位置づけられていて、実体的に、これこれができないから、これこれをできるようにするために改正するという実体的な目的が書いていません。
 かつては、集団的自衛権の行使ができないから改正が必要だという議論でしたが、先ほどありましたように、二〇一四年、二〇一五年の議論の中で、平和安全法制の議論の中で解釈変更を行ったので、実体的な改正の必要性が消失していると思います。
 逆に言えば、今の自民党案だと、例えば、共産党さんが自衛隊は合憲だと認めた瞬間に憲法事実がなくなってしまうということになるので、共産党さんも、護憲の立場を維持するのであれば、自衛隊を合憲だと認めれば今の憲法を一字一句変えなくて済むようになるので、双方ハッピーなのかなと思いますので。是非、護憲のためにも、自衛隊を合憲だと認めた瞬間に、少なくとも自民党案の改憲目的は一つ消えるのかなと思います。
 私たち国民民主党は、せっかく九条を改正するなら、そうした弱い理由ではなくて、国家国民を守るために、国家にどのような軍事的公権力の行使を認めるのかといった本質的な議論がやはり必要だと思います。改正する以上は、追加で何ができるようになるのか、つまり、自衛権の位置づけを国民に明確に示す改正であるべきだと考えます。
 自民党案も、そして維新の案も同様だと思いますが、改正文案を示されていますが、自衛権の範囲については、従来の九条の解釈を維持する、あるいは範囲内であるとしているので、何ができるのかは結局、解釈なんですね。憲法改正をしようとしているのに、その実態は結局、改正の文案を幾ら見ても分からなくて、解釈に委ねざるを得ない。
 自衛権の行使の範囲を解釈に委ねている以上、戦力不保持を定めた九条二項との永遠の解釈論争を、結局、改正後も引きずるのではないか。つまり、自衛隊という組織の違憲性は消えることになりますけれども、その自衛隊が行使する自衛権の範囲については九条二項との関係で永遠の解釈論争が残り続けて、自民党さんも特に明記されている、憲法学者から違憲だとか、教科書に書いているとかと言われること、あるいは共産党さんが違憲だと言うことが消えないのではないのか。
 つまり、物すごい政治的な労力を経て改正しても、目的である違憲論に終止符を打つということが達成できず、労多くして益少なしの改正になってしまうのではないのかなということを懸念します。
 もし自衛権の範囲の解釈をめぐる違憲論争に終止符を打つのであれば、維持しようとしている、あるいは範囲内としている九条の解釈の内容をある程度改正案に明記すべきではないかと考えます。今、浜地先生からも、全部書くとまたややこしい解釈が出てくるとなるんですが、書かなくても解釈は出るので。だから、例えば新三要件をある程度書くというのは一つの案ではないかということは提案したいと思います。
 結局、条文を読んだだけでは何ができるのかが分からないという根源的な問題が解決しないので、この点については、これから議論を是非深めていきたいと思います。
 私も、仮に自衛権の範囲はこれまで同様解釈に委ねるとして、自衛隊の組織としての違憲性の否定とシビリアンコントロールの明確化のみを改憲の目的とするのであれば、むしろ、第五章の「内閣」の章に、必要な自衛の措置を取るための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する、こういう規定を一文設けた方が、改正の目的には合致するのではないかというふうに思います。
 九条を改正して自衛権行使の本質の議論をするのであれば、やはり、戦力不保持を定めた九条二項を残したままでいいのか、あるいは、自衛隊を軍として位置づけなくていいのか、自衛隊は軍人なのかどうか、国際法との関係、その身分の在り方も含めて、より本質的な議論を深め、将来に禍根が残らないような、つまり、やり残した感がないような改正にしないと、非常に意味が少ないのではないかなと思っています。
 なお、我々国民民主党は、二〇二〇年の十二月にまとめた憲法改正の論点整理の中においては、九条二項を存置する案と存置しない案の、今二案を条文イメージ案として取りまとめており、党内でも議論を継続しております。本審査会でも、こうした自衛権をめぐる本質的な議論を提起していきたいと思いますし、また、各党各派の先生方からの御意見も伺いたいと思います。
 以上です。

発言情報

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発言者: 玉木雄一郎

speaker_id: 29596

日付: 2023-04-13

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会