谷田川元の発言 (憲法審査会)

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○谷田川委員 立憲民主党の谷田川元です。
 緊急事態であっても国会の機能を維持しなければならない、そのためにも議員の任期延長が必要だとの意見がこれまで多く出されました。しかしながら、国会機能の維持にそれほどこだわるのであれば、その国会機能を不全にする、時の政権による恣意的な衆議院解散について、なぜ議論しないのでしょうか。この問題は、緊急事態ではなくても常に生じることです。先に議論するのが筋ではないでしょうか。
 岸田総理は、衆議院解散は時の総理大臣の専権事項と何度も発言しています。私はこの表現に違和感を覚えます。専権という字を広辞苑で引いてみますと、「権力をほしいままにすること。思うままに権力をふるうこと。」とあります。すなわち、専権事項というのは、総理大臣が勝手に決めて、決めた以上は従わなければならないということです。
 令和五年度予算が成立して、岸田総理が公明党に挨拶したときに、山口代表が、解散ではありませんねと発言し、岸田総理を牽制したとの報道を目にしました。山口代表もかねてより、解散は総理の専権事項という表現を何度も用いられていますが、総理にあのような発言をするなら、今後、解散は総理の専権事項という表現は避けた方がよいのではないでしょうか。
 総理の専権事項ではないことを示す実例を一つ紹介したいと思います。
 戦後行われた二十六回の衆議院総選挙で唯一、任期満了選挙となったのは、一九七六年の十二月のことです。その三か月前の段階で、三木武夫総理は解散を行うための閣議を開きましたが、実に十五名の閣僚が反対をし、解散を断念せざるを得ませんでした。反対する閣僚十五名を罷免し、三木総理自身が十五名の閣僚を兼務し、解散する手段はありましたが、自分は議会人としてそれはできなかったと後に語っておられます。
 まして、現在の岸田内閣は自公連立政権です。連立与党である公明党の意向を無視して岸田総理が解散を強行しようとすれば、公明党の閣僚を罷免せざるを得なくなります。公明党の支持を得て国会の指名を受け就任した岸田総理がそのような暴挙に出ることは、議会人としてあり得ないことです。解散は総理の専権事項という言葉は、現状ではなおさら誤っています。
 また、衆議院議長を務められました保利茂氏が、衆議院解散に関してとても見識の高い文書を残しています。福田赳夫内閣が日中平和友好条約締結という外交的成果を掲げて、解散を検討していた一九七八年七月に書かれたものです。
 保利氏は次のように述べています。憲法上、国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会を、内閣が勝手に助言と承認をすることによって七条解散を行うことは問題がある、それは憲法の精神を歪曲するものだ、特別の理由もないのに、行政府が一方的に解散しようということであれば、それは憲法上の権利の濫用だ。
 また、佐藤内閣によるいわゆる沖縄解散直後の一九七〇年二月の国会の代表質問で、自民党の政調会長であられた水田三喜男氏も、国会議員の任期が保障されない限り、議員は常に選挙運動に追われて落ち着かず、国会の公正な審議と採決が常に選挙用のジェスチャーによって妨げられる実情も、決して故なしとは思わないと述べているのです。
 こうした良識あるお二人の自民党の政治家が今生きておられたら、現状をどう思われるでしょうか。
 残念ながら、直近三回の解散は、今やれば勝てる、一週間でも選挙を早くやった方が有利だとの党利党略以外の何物でもありません。
 小選挙区制導入等の政治改革を主導した佐々木毅元東大教授は、安倍政権による二回の恣意的な解散を批判し、政治改革の議論の中で総理の解散権の制限にまで考えを及ばせなかったことに反省の弁を述べられています。
 民主主義の土台である選挙の公正性を確保するという観点からも、総理の解散権の濫用を防止する立法措置を検討すべきです。仮に法律の射程範囲を超えるのであれば、憲法改正を視野に入れるべきだと私は思います。国会機能の維持を重視するのであれば、緊急事態という万が一の場合の議員任期延長を議論するよりも、通常事態における恣意的な解散権行使の抑止を先に議論すべきだということを重ねて申し上げ、私の発言を終わります。

発言情報

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発言者: 谷田川元

speaker_id: 21282

日付: 2023-04-13

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会