小野泰輔の発言 (憲法審査会)

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○小野委員 本日、数え年で五十歳となりました、日本維新の会の小野泰輔です。(発言する者あり)ありがとうございます。
 私が生をうけて半世紀もの間、憲法が一度も改正されなかったことは、それぞれのお立場により感じ方が異なるとは思いますが、私は、時代とともに、憲法も必要に応じ適切に見直していくことが大切だと考えております。
 さて、先週は、各会派から憲法九条改正に関する意見表明が多くなされました。
 公明党の浜地委員からは、自衛隊の明記に関しては、行政各部を指揮監督する対象として、憲法第五章の「内閣」の中の憲法七十二条に書き込む案や、七十三条の内閣の事務に自衛隊の指揮権を明記することなどの御提案がありました。
 自衛隊を国防の担い手としての組織的側面及び文民統制の側面から規定するやり方として有力なアイデアではあると思いますが、以下申し上げる理由で、九条に書き加える自民党や我が党の案の方が自然かつ適切なのではないかと考えます。
 憲法七十二条や七十三条は内閣の在り方について規定したものであり、指揮監督する対象としては行政各部をひとしく扱っており、特定の官署を挙げておりません。仮にこれらの条文に自衛隊を明記するとすれば、自衛隊だけがなぜ行政各部の中で特出しされているのか、その理由がよく分からないことになるのではないかと思います。
 やはり、先週、自民党の複数の委員の皆様が言及されていたとおり、自衛のための実力組織という特殊性、独自性に鑑み、我が国の平和の維持を定めた憲法九条に自衛隊を書き加えることが適切であると考えます。
 その上で、我が党の憲法改正原案では、自衛隊は防衛を担う実力組織ではあるものの、あくまで行政各部の一つであって、各行政機関と同格であり、内閣総理大臣の指揮監督権に服することも九条で明確に規定しております。自衛隊を明記するのであれば、「内閣」の章ではなく、九条で行うのがふさわしいと考えております。
 この点、立憲民主党の中川幹事からは、憲法への自衛隊の明記は必要ないとの御意見がありました。しかし、先週の議論で玉木委員が赤嶺委員に水を向けられましたが、共産党として自衛隊を合憲と認めるというような、玉木委員がおっしゃる双方ハッピーになる答弁は残念ながら赤嶺委員からはありませんでしたので、引き続き、自衛隊は違憲との疑義を唱える政党が国会に議席を有されていると言え、憲法に自衛隊を明記すべき憲法改正事実が依然として存するものと考えます。
 ただ、先週、玉木委員から、たとえ憲法九条に自衛隊を書き込んだとしても、自衛権の範囲が解釈に委ねられている限り、結局のところ、当該解釈は憲法九条を逸脱しているのではないかという論争が永遠に続くのではないか、そのためには、九条の解釈の内容、例えば新三要件をある程度書き込むなどすべきではないかとの御発言もありました。
 しかし、まず、憲法改正手続上、新三要件のような現在の政府が生み出した解釈が、国会でのコンセンサス、つまり衆参各議院の総議員の三分の二以上の賛成を得られる見込みが乏しいことは、事実上、重い問題であると思います。立憲民主党や共産党はもちろん反対をされていますし、公明党は憲法九条に自衛隊を書き込むことにも慎重な立場を取っておられます。
 自民党と同じく限定的な集団的自衛権を認める立場である私ども日本維新の会も、新三要件を議論していた当時、政府の存立危機事態については要件が曖昧かつ広過ぎ、純粋な他国防衛にまで関与してしまうおそれがあるとし、米軍等防護事態という、政府の要件をより絞り込んだ提案を行いました。
 そのように、各政党や国民の間でかなり考えに幅のある自衛権の範囲について、憲法改正の手続を経て具体的に書き込むことは可能なのかという問題があると思います。
 さらに、仮に書き込むことが可能として、自衛権の範囲について、新三要件のような具体的な項目を憲法に書き込むことが適切かという問題もあるのではないかと思います。
 我が国の安全保障環境は、世界や東アジアなど、国外の政治、軍事情勢に大きく左右されます。改正が難しい硬性憲法である日本国憲法において、一度具体的な自衛権の範囲を規定してしまうと、迅速で現実的な対応が事実上困難になってしまうという問題もあるのではないかと考えます。
 そういう意味では、憲法上、自衛権の中身を明確に規定せず、そのときの安全保障環境に応じて解釈に委ねる現在の在り方は、現行憲法の諸制約の中で現実に適用する方法としては、苦しいながらも一定程度妥当だったと言えるのではないかと思います。
 そのようなことから、日本維新の会も、九条に関して、現状を維持し、解釈によって自衛権の範囲を伸縮させる考えを是認した上で、自衛隊を明記する改正案を提示しております。
 ここから先は、頭の体操のような話になります。
 先週、玉木委員からは、九条二項をそのまま残しておいてよいのかという議論も行うべきとの御発言がありました。
 九条二項を削除して、戦力の不保持の問題を解消し、他国同様軍隊が持てるようにし、その上で、普通の国のごとくフルスペックの集団的自衛権まで憲法上許され得るのだということにすれば、考えとしてはシンプルにまとまっているため、その政治的ハードルはかなり高いにしても、国会の各会派の考えがそこに収れんし、憲法改正発議にこぎ着けることは、理屈の上では可能かもしれません。
 そして、そのように憲法上はフルスペックの集団的自衛権まで認め得るとした上で、具体的な制限については、憲法の平和主義の原則を踏まえた上で、その時代の我が国周辺の安全保障環境や同盟国との関係等の状況に応じて法律できめ細かく決めていくといった方が、より実効的かもしれません。
 これに対しては、そんなことをしたら政府の暴走を憲法で止めることができないではないかとの批判もあろうかと思います。しかしながら、最高裁判所は、砂川事件判決で、憲法九条二項がいわゆる自衛のための戦力の保持をも禁じたものであるか否かは別としてと述べるにとどめ、その後も自衛隊の合憲性の問題に直接答えることを控えてきました。このような中では、実際に政府が行う自衛権の範囲の解釈について、どれだけ裁判所に違憲を訴えても、これまで同様、司法による判断が下される可能性は少ないと思います。
 むしろ、自衛権の範囲をどこまでにするのかを憲法上明記せず、九条二項を削除することで、フルスペックの集団的自衛権から検討をスタートさせ、それを法律で制約するプロセスとして、政治の側で激しく論戦しながら適切な自衛権の形を模索していく。下される可能性の乏しい裁判所の違憲判断を期待しながらじりじりと政府の解釈が広がっていくよりも、立法府において自衛権の範囲を制限する方向で議論を徹底し、法律を創造していく方が、効果的に適切な歯止めをかけられるかもしれません。そのような議論が国会で繰り広げられることで、政権交代や政界再編のダイナミズムがもたらされるものとも思います。それでも心配で仕方なければ、私どもが提案しているように、憲法裁判所に違憲審査を必ずさせる仕組みにするのも一案だと思います。
 頭の体操はこれで終わりにしたいと思います。
 ふと我に返ると、私の傍らには、共産党そして立憲民主党の議員さんもおられます。玉木委員がおっしゃった意欲的な改正目標は私も魅力を感じますが、現実的な憲法改正はどの辺りなのかを考えることもまた重要だと思っています。
 一方で、タブーなく議論することの重要性も認識をしております。委員間でそのような姿勢で憲法を論議していけば、更によい憲法を我々で作ることができると考えます。来週も自由闊達で建設的な憲法論議が展開されることを大いに期待いたしまして、私の発言を終わります。

発言情報

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発言者: 小野泰輔

speaker_id: 13603

日付: 2023-04-20

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会