北神圭朗の発言 (憲法審査会)

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○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
 どうしても皆さんの発言のリサイクルになってしまいますけれども、参議院の緊急集会について意見を述べたいと思います。
 まず、私の理解を申し上げますと、緊急集会は、選挙ができる状態を前提とするという意味での平時の制度です。確かに、憲法制定の経緯の中で緊急時のための制度として設けられていますが、問題は、どう考えても長期にわたり選挙が実施できないような事態を想定していないというところにあります。
 こうしたことから、日本維新の会、国民民主党との三会派による共同提案では、選挙ができる場合の緊急対応は緊急集会で対応する、しかし、選挙が長期にわたり実施できず、国会が開会できないおそれがある場合には、議員任期の延長で対応できることとしています。
 今、意見を申し述べた上で、三つの論点について私の考えを申し述べたいと思います。
 第一の論点は、解散時以外の任期満了時にも緊急集会の規定を類推適用できないかという点についてです。
 憲法第五十四条第二項では、内閣が緊急集会を求めることができるのは衆議院の解散中と限定されています。しかし他方で、確かに、議員が不在になるという状況は解散時も任期満了時も同じです。そうしたことから、緊急集会を解散時だけでなく衆議院の任期満了時にも類推適用できるという学説があることも承知しています。
 我々三会派の共同提案では、衆議院議員の任期満了後に総選挙が行われる場合において、緊急集会を求めることができるとする改正を提案しています。こうすることにより、任期満了時の取扱いが解釈によらず明確なものになると考えています。
 しかし、任期満了時に緊急集会を活用できたとしても、繰り返しになりますが、元々緊急集会が想定している緊急時とは、普通に選挙が行われることを前提としています。第五十四条第二項で、「衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。」とした上で、第三項で、「緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。」と規定されています。任期満了時に緊急集会を開けるように類推適用したとしても、この条文との整合性を図るためには総選挙が前提となります。
 次に、七十日の期限限定を少しでも緩和することができないかとの論点が本審査会で出されています。
 我々の三会派の案もそうですが、憲法上許される緊急集会の活動期間が七十日以内という考え方は、先ほど申し上げた第五十四条第一項及び第三項の規定から自然に計算されるものです。つまり、解散から次の特別国会までの期間は、第一項に従って、解散から総選挙実施までの四十日に加え、総選挙から特別国会召集までの三十日を加えて最大七十日になります。
 また、任期満了の場合は、根拠規定が公職選挙法第三十一条第二項と国会法第二条の三になりますが、任期満了後に総選挙が行われる最大の期間は三十日、また、その後に召集される臨時会は、その任期が始まる、つまり任期満了時の総選挙の場合は投票期日から三十日以内とあるので、最大六十日となります。したがって、いずれの場合でも、憲法改正をしない限り、七十日間を超えることは違憲のおそれがあるというふうに思います。
 三つ目の論点として、緊急集会が審議できるのは、内閣提出の案件及びこれに関連する案件に限られるとされているけれども、この条件を緩和できないかとの意見もありました。
 これは、国会法上、緊急集会は内閣が個別具体的に示した案件しか審議できないと規定されているので、この法律を改正すれば、緊急集会でも他の国会活動が可能になるという主張かと推測します。しかし、事はそう単純ではありません。まず、国会法で内閣が請求した案件とこれに関連する案件の審議しか認められないとされるのは、緊急集会は内閣が求めた場合に限り開催されるといった憲法の趣旨から導かれるものであり、この案件の限定は憲法の要請するところと解されているからです。
 憲法学の通説でも、参議院の緊急集会で行使できる権限は国会の権限全般に及ぶのではなくて、行使できない権限があると限定的に解釈されています。もっと言えば、この学説の根本にある考え方は、参議院だけで国会活動をなし得るのは極めて異例なことであって、権力均衡の観点から、わざわざ内閣に緊急集会の請求権を与えている、この重みを踏まえたものであると私は理解しています。
 以前も引用しましたが、憲法学者佐藤功先生の言葉をかりれば、緊急集会制度は、両院制の国会に対する極めて特殊な場合の異例的、変則的措置であります。これが、緊急集会に関する国会法の条文において内閣の請求する案件に限定されている実質的な考え方だと考えています。したがって、形式的に国会法を変えましょうという話には簡単にならないというふうに思います。
 以上、参議院の緊急集会は、国会の二院制の例外であるがゆえに、審議の対象や活動期間の面でおのずと制約があります。この件に限らず、一般的に、法律を考える上で例外規定というものは厳格に解釈しなければなりません。だからこそ議員任期の延長制度というものが必要だと考えているわけですが、これらの点について、来週、本物の憲法学者の御意見を聞きたいと思います。
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発言情報

speech_id: 121104183X01020230511_014

発言者: 北神圭朗

speaker_id: 4662

日付: 2023-05-11

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会