柴山昌彦の発言 (憲法審査会)

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○柴山委員 自由民主党の柴山昌彦でございます。
 本日の緊急集会の議論に当たって、大切なのは、やはり危機管理の要諦である想定外をできるだけなくすという視点から議論をすることがまず一点の要諦だと思います。そして二点目は、これまで議論をされなかったことかもしれませんけれども、この緊急集会というのは、一種の緊急事態条項ではあるけれども、世界でも類を見ない我が国独特の制度であるということ、あるいは、玉木委員もお話をされておりましたけれども、統治機構のルールは基本的には厳格に解釈をしなければならない、そういう視点だと思っております。二院制の例外である緊急集会の活動範囲を拡張して解釈するということは、今申し上げた諸点からも、私は基本的には慎重であるべきだというふうに考えております。
 まず、解散による衆議院不存在の場合のみこの緊急集会が適用されるのかどうかという論点についても今申し上げたような諸点で臨まなければいけないということと、あと、任期満了の場合は、基本的にはあらかじめその満了時期が分かっているということから、この明文が解散の場合に限定をされているということを重く見なければいけないということであろうかというふうに思います。
 現に、昭和五十一年、もし仮に任期満了と災害等がダブルで来た場合にこの緊急集会を準用することができるのかということが国会で議論されたときに、憲法学者が主張しているようなもちろん解釈ですとか拡張解釈について、時の法制局はこれに踏み切ることができませんでした。それだけやはりこの準用ということを議論するのは重いことだということの表れでないかというふうに考えております。
 この点、日本維新の会あるいは国民民主また有志の会の三会派で、選挙の一体性が害されるほど広範な地域において国政選挙の適正な実施が七十日を超えて困難であることが明らかな場合には緊急集会ではなくて任期の延長をもって臨むべきだという提案をされていることは、これは一考に値する非常に理論的な提案ではないかなというように思っております。
 もちろん、私どもも、いざというときに、緊急集会が任期満了のときに利用されることが絶対にいけないのかということを否定しているわけではなくて、今おっしゃったような限定的な期間、あるいは、当初は範囲内で緊急事態が終わると思っていたんだけれどもそれが長引いてしまったというときには、これはやはり緊急集会で臨むというようなこともあり得るのかなというように考えております。
 さて、この緊急集会について、権能の限定ということが言われております。
 おっしゃるとおり、衆議院というものの存在がない以上は、衆議院の優越の決議、あるいは憲法改正のように衆議院の議決が必要な決議というものは、この緊急集会によって行うことができません。そして、さらに、留意しなければいけないのは、衆議院の任期と参議院の任期が接着しているような時点で緊急事態が起きてしまったような場合、参議院の緊急集会を開催するときの人数が僅か百二十四名と、参議院の法定議員総数の二分の一になってしまうということでございます。
 こういった限定的な権能、あるいは範囲についても、人数についてももしかすると半分になってしまう参議院にフルスペックの国会審議を委ねてよいのかということは、私は慎重に考えるべきだというように考えておりますし、また、立憲民主党や共産党がこの任期延長の濫用による歯止めというものをしっかりと考えるべきだということに関して言えば、それは、緊急事態が去ったときにしっかりと政治部門が民意による選挙という形で審判を受けるということを強調させていただきたいというように思っております。
 最後になりますけれども、では、任期延長あるいは緊急集会があれば緊急政令や緊急財政処分というものは必要ないのかという論点について付言をさせていただきます。
 先ほど申し上げたように、当初、この緊急集会を制度化した時点においては、当時のドイツなどの事例や、あるいは明治憲法下の緊急勅令などの弊害を想定して、そのような処分あるいは政令というものは認めないという判断を下しましたけれども、その後の様々な激甚な災害あるいは諸外国の事例等を見た場合、あるいは選挙ができない場合の多くは、国会すら開けない、あるいは国会を開いて審議をするいとまがない、そういった事例をきちんと想定した場合に、諸外国で見ているような形での緊急政令や、あるいは政令に包括的な委任を設けるという対応の仕方を私はしっかりと制度化するべきだということを申し上げて、発言を終わらせていただきます。

発言情報

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発言者: 柴山昌彦

speaker_id: 2168

日付: 2023-05-11

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会