北側一雄の発言 (憲法審査会)
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○北側委員 公明党の北側一雄です。
両先生におかれましては、大変お忙しい中、御参加いただきましてありがとうございました。
私は、時間も限られておりますので、今日のお話の中で、長期間、国政選挙、特に衆議院選挙を実施することが困難ということはなかなか想定し難いというお話があったかと思います。また、繰延べ投票制度があるじゃないか、それを使えばいいじゃないかという御趣旨もあったかと思いますので、私なりの意見といいますか、考えを述べさせていただきたいと思うんです。
まず、繰延べ投票制度というのは、過去に何度も実施されているんですが、既に選挙の告示がなされて、既に選挙戦が始まっている、そういう中で、災害等の不測の事態が生じて、決められた投票所で投票できないといったときに、その地域の投票所に限って所定の投票日を延ばすという制度が繰延べ投票制度でございます。過去の事例を見ましても、地域が極めて限定されていて、繰延べされた投票期日も、一週間後のような短期間の延期というのがほとんどでございます。
二〇一一年三月の東日本大震災のとき、その年はちょうど四月に統一地方選挙が予定されていました。繰延べ投票制度が想定します適用範囲をはるかに超えているという認識の下で、国会では新たに震災特例法というのを制定しました。その結果、五十七の被災自治体で選挙期日の延期と、また、議員や首長の任期が延長をされたわけでございます。選挙期日が最も遅かった自治体は二〇一一年十一月二十日でございまして、予定された選挙期日から約七か月先に選挙が延期され、さらに、議員や長の任期も選挙期日まで延長されたわけでございます。
被災地域で選挙の適正な実施が長期間困難と認められ、その間、被災自治体の長や議会の議員が不在というわけにはいかないということで、このような特例法を制定したわけでございます。一九九五年一月の阪神・淡路大震災のときも同様の特例法を制定しております。
是非思い起こしたいと思うんですが、東日本大震災の際は、当然のことながら、有権者である住民が極めて甚大な被害、被災を受けて、到底選挙ができる状況にはないということですが、一方で、選挙事務の執行も事実上不可能であったという事情もあります。多くの投票所となるべき場所が損壊し、また、選管や地方公共団体の職員自身が被災者でありながら、被災者の救助、救援、復旧に当然のことながら最優先に取り組みました。
一方、国会議員の場合は、任期が憲法で明記されていますから、このような法律の制定で任期の延長はすることができないわけでございます。
そもそも、広範な地域での繰延べ投票の実施は、公平公正な選挙の確保、選挙の一体性の確保という観点からも疑問があります。国政選挙については、全国一斉に実施するというのが原則と考えられます。そのときの国民の意思を公正に議会構成に反映させることが必要だからです。公職選挙法の繰延べ投票制度があるから国会議員の任期の延長は必要はないとは言えないというふうに考えます。
具体的に申し上げたいと思うんですが、国政選挙の場合は、衆参とも比例区選挙もあります。東日本大震災のように広域な地域で国政選挙の繰延べ投票を実施するとした場合には、被災地の繰延べされた投票の結果が判明するまで比例区の当選者が長期間確定しない、また同様に、本当に多くの被災地の選挙区選挙での投票が繰延べされて、被災地選出の国会議員が長期間存在しない、こういうことが現実に、東日本大震災のことを考えると想定されます。
例えば、衆議院の場合ですと、東日本大震災の被災三県プラス茨城県で十六選挙区あります。比例代表も二ブロックありまして、三十四名。合計五十名の衆議院議員が長期間この地域においては不在。さらに、参議院議員のことを考えますと、仮に参議院議員の場合については、この被災地では四選挙区で五名の参議院議員。そして、比例代表は、これは全国比例代表ですので、全国の比例ブロックが確定をしないと当選者が確定をしない。そうすると、四十八名。だから、五十三名も長期間不在ということになるわけでございます。
やはり、我々、現実に経験した東日本大震災のことを考えますと、長期間、総選挙また参議院の通常選挙が、適正な実施をすることが困難ということは十分あり得る。現実に首都圏直下型地震だとか南海トラフ地震というのが想定をされているわけです。起こらない方がいいに決まっているんですが、想定されています。もしそうした事態になりますと、より広範な地域で選挙が適正に実施できないということになるわけでございまして、おっしゃっている、繰延べ投票でやればいいんじゃないかだとか、長期間困難というのは想定しにくい、だから定足数が不足するということはあり得ないんじゃないか、こういう御議論は私にはちょっと理解ができないというふうに考えております。
私の意見に対して、両先生、どういうふうな御所見をお持ちか、是非聞かせていただきたいと思います。