玉木雄一郎の発言 (憲法審査会)
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○玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。
私も国民投票広報協議会のことについて述べたいと思います。
現在の国民投票法は、百五条で、投票期間前十四日間については、テレビ、ラジオのCMを禁止しています。
そして、同法百六条で、その禁止期間は国民投票広報協議会が憲法改正案の広報のための放送をするものと定めています。また、放送に関しては、賛成の政党等及び反対の政党等の双方に対して同一の時間数、同等の時間帯を与えるなど同等の利便を提供しなければならないとしています。改憲に賛成する政党等及び反対する政党等について、協議会の費用で各自の広告が行える規定が整備をされています。
また、同法百七条では、新聞について、憲法改正案の広報のための広告をするものとするとされており、この広告に関しては、憲法改正案に対する賛成の政党等及び反対の政党等の双方に対して同一の寸法及び回数を与えるなど同等の利便を提供しなければならないとしています。
しかし、現在の憲法改正の手続法には、協議会のインターネットを利用する広報についての規定がありません。また、協議会の費用で、賛成、反対する政党等の広告をインターネットで行うことの規定もありません。インターネットがテレビやラジオと同等又はそれ以上に国民が情報を獲得する媒体となっている状況を考えると、協議会がインターネットを利用した広報や禁止期間における政党等の広告を行うための具体的な法整備が必要だと考えます。
ただし、その際重要なのは、禁止期間中に協議会の負担で行うインターネット広告について、どのようなルールを定めれば公平性、公正性が担保されるかです。特に、テレビ、ラジオ、新聞における同等の利便の提供をインターネット広告でどのように担保するのか。つまり、テレビやラジオ放送での同一の時間数及び同等の時間帯や新聞広告での同一の寸法及び回数を、インターネット広告でどのように確保し、公平性、公正性を担保するのか、具体的に検討する必要があると思います。
例えば、静止画の広告では、同一の寸法として左右上下に一体に並べるような表示をしたり、動画の場合は、賛否の一連の動画として、順次、同じ秒数表示をさせるようなことが考えられますが、例えば、今、公明党さんからもありましたけれども、検索をしたときの検索連動型広告についてはどうするのか。検索の画面上で、例えば、同一の寸法で左右上下などに一体に並べるように、賛成意見と反対意見が表示されるようにすることまで求めるのか。これは、技術的な可能性も含めて、業界の意見もきちんと踏まえた上で検討する必要があると思います。
次に、禁止期間のみならず、発議後から投票日までのインターネット広告について、プラットフォーム事業者が守るべき、放送法四条のような政治的中立性を求める一般ルールの必要性であります。これについては、必要だという意見がある一方、そういったルールが果たして可能なのかの議論も必要だと思います。そして、これは国民投票法に限らない議論であります。ちなみに、新聞には放送法四条のような政治的中立義務はかかっていません。
そして、難しいのは、インターネットのプラットフォーム事業者の多くは海外事業者であることが多いために、公的規制やその適切な法執行が果たして可能なのか、できるのかという議論も重要です。欧州では、インターネットのプラットフォーム事業者に対する公的規制の試みが見られる一方で、プラットフォーム事業者等の自主的な措置も取られつつあります。我が国では、公的規制と自主規制とそして協議会によるインターネット広告の充実とを適切に組み合わせていくことが現実的なアプローチだと考えます。
なお、個人が発信主体を明示してSNSで発信するような憲法改正に対する賛否の意見については規制すべきではないと思いますし、できないと思います。そして、個人に限らず、SNS等によるいわゆるフェイクニュースや誤情報の発信の問題も、これも憲法改正に限った問題ではないので、SNS一般の問題として、公職選挙法なども含めて包括的に取り組むべき課題だと思います。リテラシー教育の充実も同様です。
そして、個人の発信を制限できない以上、膨大なフェイクニュースの情報発信に協議会の発信だけで対抗できるのかという疑問もあります。例えば、国民民主党の緊急事態条項は国会機能を低下させ、人権を侵害するものだといったフェイクニュースに対して、広報協議会は果たして十分な対抗をしてくれるのかということは、非常に疑問が残ります。
そこで、少なくとも、協議会に何らかのファクトチェック機能、本体が行うのか、あるいは民間機関との連携、あるいはファクトチェックの一定のルールとかガイドラインを示す、こういったことも新たな協議会の機能として検討すべきだと思いますし、少なくとも現行法にはこういったことが書かれていないので、ファクトチェック機能についても併せて議論が必要だと思います。
最後に、前回の参考人の質疑について一言申し上げたいと思います。
お二人の先生方には改めて感謝を申し上げたいと思いますが、長谷部先生の発言は、立憲主義とはそもそも何なのかということを考えさせられるものでありました。すなわち、四十日や三十日といった憲法に具体的に数字も入って明記されている準則規定は、平時には一〇〇%守らなければいけないけれども、緊急時においては、生き残るのが最優先だから、必ずしも一〇〇%従わなくていいとの主張です。しかし、これはリベラルの皆さんが最も恐れる事態ではないのでしょうか。
つまり、緊急事態においては、既存のルールを行政の解釈で、書いてあるルールを恣意的に拡大してもいいということなので、危険です。この法理が許されるのであれば、例えば憲法九条の規定や解釈は全く意味がなくなってしまいます。国家の存亡をかけた究極の緊急事態が戦争であり、そのときに、国家の生き残りのためであれば、敵基地攻撃どころか、フルスペックの集団的自衛権の行使も今の憲法九条で可能となります。ふだん憲法の条文を守れとおっしゃっている方は、このようなモーリス・オーリウ流の緊急事態の法理を許すんでしょうか。
立憲主義の基本は、まず、憲法に書いてあることをできるだけ書いてあるとおり尊重することではないでしょうか。私も、緊急時には赤信号を無視していいと思います。だからこそ、それを事前に憲法や法律に書いておきましょうと提案しているんです。憲法に書いてあることを緊急事態の名の下に無視することこそ、最も立憲主義に反する行為ではないでしょうか。
できれば、次回、共産党や立憲民主党さんを始めとした各会派の皆さんの意見を伺いたいと思いますので、改めて緊急集会についての集中討議を求めたいと思います。
以上です。