北神圭朗の発言 (憲法審査会)

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○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
 本日は、私も、国民投票法のネット規制について意見を述べたいというふうに思います。
 これは、階幹事がおっしゃったようなフェイクニュースとかアテンションエコノミーとかマイクロターゲットだけじゃなく、やはり我が国の選挙、国民投票だけじゃなくあらゆる選挙について、外国からのよからぬ意図を持った偽情報の問題に備える必要があるというふうに思います。
 これを言うと、北神もとうとう陰謀論者になったと皆さん思われるかもしれませんが、いわゆるサイバー攻撃の最たるものが偽情報によって国民を分断するというのは、ロシアが一番得意なんですけれども、世界的な常識になっていますし、今まで日本語の壁によってある程度守られてきましたけれども、これも、玉木委員が大好きなチャットGPTの翻訳機能もかなり飛躍的に向上して、これがなかなか正確な日本語になるということで、私は非常にこの問題について、もちろんこれは国民投票だけじゃなくあらゆる選挙に関連しますけれども、だからといって放置していいのか、憲法改正をこのままの状態で、この法案でいくべきなのかということは、やはり真剣に議論すべきだというふうに思います。
 この点について、階幹事は、内外のフェイクニュースの蔓延により憲法改正に関する世論が誤った方向に導かれる可能性が増しており、民間のファクトチェック機関から国民投票広報協議会に対してフェイクニュースの疑いがある情報について照会があった場合に、国民投票広報協議会が現に保持する情報を提供するなど、両者が連携することを可能とする規定を設けるといった具体案が示されました。
 私も、民間のファクトチェック団体との連携は重要だというふうに考えます。ただ、我が国のファクトチェック団体の実情を見てみますと、まず、そもそも量的に、数的に心もとない。
 世界のファクトチェック団体を研究する米国のデューク大学のリポーターズラブという機関によりますと、本年五月現在、世界で登録されているファクトチェック団体の総数は四百団体となっています。そのうち、北米に八十三団体、欧州には百十団体あり、韓国の十三団体を筆頭にアジアでも九十団体もありますが、我が国で登録されている団体は五団体のみとなっています。五団体で十分じゃないかと思われる方もいるかもしれませんが、この中には、自らファクトチェック活動を行わず大手メディアに調査を依頼するような形の団体も実は含まれているということです。
 東京工業大学の准教授であります西田亮介先生は、こうした我が国のファクトチェック団体の現状について論文を書いています。その一説を引用しますと、
 日本における偽情報対策は、表現の自由に強く配慮し、もっぱら民間の自主的な規律を重視する欧州型の対策にも似た標準的な規制枠組みを採用している。他方で、実務的にみれば、欧州各国における制裁金等の強力な規制ツールが乏しいことに加えて、偽情報を検証する民間のファクトチェック団体の存在感も小さく、プラットフォーム事業者とファクトチェック団体の本格的な協働も機能しているとは言い難い現状がある。
 理論的には民間の自主的な規律を重視するという至極まっとうな選択をしながら、実務的な視点では、未だに強力なマスメディアと、脆弱なネット・メディアと非営利団体といった日本独特のメディア・エコシステムの実状が対策の実効性に懸念をもたらしているようにも見える。
と分析されています。
 要は、我が国のファクトチェックの担い手は、体制面でも能力面でも必ずしも十分ではないという指摘だと思います。このことと、冒頭申し上げた、数も少なく多様性も確保されていないことからして、果たして、国民投票広報協議会と民間団体が連携するだけで氾濫する偽情報に対応し切れるのかという疑問を抱かざるを得ません。
 他方、アメリカ、イギリス、ドイツ等では、民間機関だけでなく、政府としても、偽情報による干渉、特に選挙に対する干渉について何らかの対策を講じています。例えばドイツでは、内務省の連邦選挙管理委員会が選挙過程全般に関係する偽情報を特定し、これに対処する責任を負っており、特定した情報についてはファクトチェックサイトを通じて公表しています。
 以上の国内外のファクトチェック体制の実情を踏まえると、我が国でも、民間に任せるだけではなく、政府か、あるいは公的機関か、例えば国民投票広報協議会において、ファクトチェック機能を担わせる必要があるのではないか。同時に、意図的に偽情報を植え付ける外国からのサイバー攻撃に対しても、政府の関係部署との連携も併せて確保すべきだと思います。さらに、国民投票広報協議会の機能として、各政党の主張を大量にインターネットに流すことにより、正確な情報を広く、そして頻繁に普及させることも検討すべきだというふうに考えています。
 どうも、憲法九条あるいは緊急事態条項の議論をしていても、我が国では外国よりも自分たちの政府や公的機関の関与を疑い、忌み嫌う向きもありますが、逆に、民間だからといって思想的、信条的に公正中立とは限りません。諸外国では、官と民とで偽情報を公表し説明することを通じて、多様性があるがゆえに幅広く選択可能なファクトチェックの言論空間がつくられています。やはり、多様性が確保される中で、可能な限り正確な情報が幅広く流通して初めて、偽情報がある程度淘汰されていくのではないでしょうか。
 同時に、我が国でも、外国からの選挙介入を突き止める能力の向上や有権者に正確に事実を伝達する体制が強く求められます。公正な選挙の実現、とりわけ憲法改正に関する国民投票は民主主義の根幹であります。国民の自律的な意思が阻害されないためにも、我々も責任を持ってより積極的な姿勢で臨むべきと申し上げて、私の意見とします。
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発言情報

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発言者: 北神圭朗

speaker_id: 4662

日付: 2023-05-25

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会