岩谷良平の発言 (憲法審査会)
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○岩谷委員 日本維新の会の岩谷良平です。
本日、私の手元には、六百八十三ページに及ぶ衆議院憲法調査会報告書があります。これは、御案内のとおり、平成十二年の憲法調査会設置時から五年余りの間、中山太郎会長の下で、自民党も公明党も当時の民主党も含む各党が加わって調査、議論し、作成されたもので、自民党の新藤筆頭幹事や立憲民主党の中川筆頭幹事も当時委員を務められたと承知をしておりますが、総計四百五十時間を超える精力的な調査、議論をされた当時の委員の皆様の大変な御努力の結晶だと伺っております。
この報告書の中で、何々とする意見が多く述べられたとの記述がありますが、これは、おおむね三分の二以上の委員が述べた意見を多く述べられたと記載しているものです。この点に関して、立憲民主党の枝野議員も、去る三月三十日の本審査会において、報告書には合意形成の見通しが示されている、幅広い、真の合意形成に向けて建設的な議論を進めるのであれば、報告書がスタートラインになることは間違いない旨を述べておられることから、多く述べられたで取りまとめられた論点について、具体的な改正作業に入っていくことに異論はないものと思われます。
そこで、この報告書を見ますと、緊急事態条項について、憲法に規定すべきであるとする意見が多く述べられたとあり、その論拠として、非常事態においては、内閣総理大臣に権限を集中し一元的に事態を処理し、人権を平常時よりも制約することが必要となる場合がある、そのような措置を発動し得る要件、手続及び効果は憲法に規定すべきである。地域紛争、テロリズムの蔓延等、現代社会は多様な危険を内包しているにもかかわらず、非常事態への対処規定が設けられていないのは憲法の欠陥である。非常事態への対処に当たっては、為政者に超法規的措置の発動を誘発することが多く、それを防止するためには、憲法保障の観点から、非常事態に関する規定が必要であるといったものが挙げられています。
このように、非常事態、すなわち緊急事態条項について、憲法に規定すべきであるとする意見が多く述べられたとあるにもかかわらず、それから十八年が経過し、いまだに憲法改正発議が行われていないどころか、緊急事態条項創設に消極的あるいは否定的な議論を続けられる党がいらっしゃるということに驚きを禁じ得ません。本報告書とこの間の議論を踏まえて、結論を出すべきときが来ていると考えます。
次に、この報告書では、憲法裁判所についても、設置すべきであるとする意見が多く述べられたとあり、その論拠として、司法消極主義により、司法権が行政権をチェックする機能を果たしておらず、また、付随的違憲審査制の下では、最高裁判所に憲法の番人としての積極的な役割を期待することは無理である。最高裁判所が憲法判断に消極的であるため、行政の一部局である内閣法制局に事実上の憲法解釈権が委ねられており、その解釈が有権解釈として扱われているため、憲法解釈が恣意的なものとなりやすい。政策的課題として必要な法律が憲法裁判所によって憲法違反とされた場合、国会は、その政策を実施するために、憲法改正を検討するという関係こそが権力分立の本来の在り方ではないかといったものが挙げられています。
憲法裁判所が必要だと多く述べられたにもかかわらず、この間二十年近く、制度設計の詳細について議論がなされていないどころか、憲法裁判所設置の是非すらも結論を出さないまま今に至り、当時、影も形もなかった我々維新の会が最も積極的に憲法裁判所の設置を主張しているという今の状況は、ある種滑稽で、本報告書取りまとめ以降、国会議員は一体何をしていたのかと批判を免れません。
本報告書がまとめられた平成十七年当時、私は二十五歳で、ちょうど大学院で法律を学んでいた頃でした。十八年たち、学生だった私は衆議院議員に当選させていただき、本審査会の委員になってみたら、私が学生だった頃の十八年前と同じような議論ばかりがいたずらに繰り返されている現実を目の当たりにして、愕然としています。
岸田総理は御自身の任期中に憲法改正を目指すとおっしゃっておられますが、そうであるならば、自民党さんは憲法改正発議に向けたスケジュールをお示しされるべきではないでしょうか。
以上、本報告書をまとめられた各党各委員の皆様に敬意を表するとともに、改めてその重みを我々は自覚し、もう結論を出すべきときが来ているということを申し上げまして、私の発言を終わります。
ありがとうございました。