本庄知史の発言 (憲法審査会)
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○本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。
まず、本日の主題である憲法改正国民投票に関し、安全保障との関係について申し述べます。
一昨日の本会議で防衛財源確保法案が可決されました。本法案の正式名称は、我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案です。
しかし、それは名ばかりであり、実態は、防衛力の抜本的な強化にも、必要な財源の確保にもならない、重大な欠陥法案です。にもかかわらず、政府・与党は、防衛費倍増、GDP比二%といった数字ありきで、他の政策との優先順位やバランス、財政状況も考慮せず、五年で四十三兆円もの常軌を逸した予算をつぎ込もうとしています。
総合的な見地から安全保障上なすべきことは、ほかに幾らでもあります。その最たるものが、憲法改正国民投票に外国政府や外国資本が介入し、国家国民の意思決定が支配されることを未然に防ぐための措置です。とりわけ、インターネット、SNS等、オンライン広告の規制は極めて重要です。しかし、テレビ、ラジオ、新聞広告と比べても、オンライン広告の規制はほとんど議論がなされていません。三月の当審査会でも述べましたが、外国勢力によるフェイクニュース、偽情報の流布、巨額の資金を用いた世論操作等も想定される中、これらを規制するための国民投票法の改正こそ、今、国会で行うべき安全保障論議です。
次に、今回の防衛財源確保法案に関連して、財政民主主義について申し述べます。
四月の当審査会でも指摘いたしましたが、憲法が規定する財政民主主義は、今、空文化しています。その最たるものが巨額の予備費です。予備費は、予算審議の中で具体的な使途が議論されず、事後に形式的な議決がなされるのみで、事実上政府の自由裁量となっています。
例えば、昨年度、二〇二二年度は、当初予算と補正予算で、合計約十二兆円もの予備費が計上され、そのうち四兆円近くが不用額となる見込みです。もはや、憲法第八十七条に規定する予見し難い予算の不足に充てるためと言える状況ではありませんが、本年度予算でもまた五・五兆円もの予備費が計上されています。しかも、その財源は実質的には赤字国債です。
今回の防衛財源確保法案は、この巨額の予備費の不用額が決算剰余金として防衛財源になるという、まるで国家的マネーロンダリングのような仕組みを採用しています。巨額の予備費を計上し、事実上それを別の政策に流用するこの法案は、憲法第八十三条、第八十五条に規定する財政民主主義の趣旨に反するものです。また、今後五年間にわたって財源と使途を縛るという点では、憲法第八十六条、予算単年度主義を有名無実化しかねません。税金の使い道は国民を代表する国会で決めるという財政民主主義は、今や瀕死の状態です。この認識を当審査会で共有し、財政民主主義の在り方について、集中的に討議すべきです。
最後に、この防衛財源確保法案と表裏一体であるミサイル反撃能力、敵基地攻撃能力について申し述べます。
本件については、私は三月と四月に二度取り上げましたが、憲法上の重要な論点を多く含んでいるにもかかわらず、その後も全く議論が深まっていません。
例えば、憲法上保持が許される、戦力に当たらない必要最小限度の実力としての反撃能力とは、質、量共にどういうものなのか。日米同盟に基づき盾と矛の役割分担がある中で、他に適当な手段がないとして憲法上許される反撃能力の行使とはどういう場合なのか。政府は、存立危機事態、すなわち、限定的な集団的自衛権としての反撃能力の行使も可能としていますが、我が国自身が武力攻撃を受けていない中での反撃能力の行使が果たして限定的な集団的自衛権の行使と言えるのか。相手の攻撃の着手段階での反撃能力行使は先制攻撃に当たらず、国際法に違反しないとも政府は言っていますが、技術的、能力的な可能性はもちろん、そもそも他国の意図や行動を我が国が立証できるのか。
そして、より基本的な問題として、従来想定していた我が国の領土、領海、領空に対する侵害を物理的に排除することを専らとする武力行使と、単なる物理的な排除にとどまらず、相手国の領土、領海、領空に対して武力行使することを前提としているミサイル反撃能力は、同じ必要最小限度の実力や専守防衛といっても、その合憲性の基準や論理構築はおのずと異なるのではないか。
こういった反撃能力の憲法上の論点について、政府は正面から答弁していませんが、私は、相当深い議論が必要であり、それがなければ国の行く末を誤りかねないと危惧しています。
以上、三点申し述べました。
憲法改正国民投票への外国勢力の介入防止、財政民主主義の在り方、そして反撃能力の憲法上の課題につき、それぞれ本審査会で集中的に討議するよう会長にお取り計らいをお願いして、私の発言といたします。
以上です。