浜地雅一の発言 (憲法審査会)
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○浜地委員 公明党の浜地雅一です。
前々回、お二人の憲法学者の先生方に、参考人として当審査会において御意見を頂戴いたしました。改めて感謝を申し上げたいと思います。
緊急集会の性質につきましては、両参考人とも、衆議院の解散時のみならず、任期満了選挙時にも類推適用ができること、しかし、あくまで緊急集会は暫定的な措置であること、その権限も一定の限界があることは共通をしていたと思います。ただし、その期間については、大石先生は、あくまで七十日程度であるべき、長谷部先生は、平時は七十日程度であるが、非常時は日数にこだわらずに総合的に判断し得る旨述べられました。
私の理解では、大石先生は、七十日間を超えて影響が及ぶような場合には、明文化するか否かは別として、国家緊急事態に対する対応を検討すべきであるとのお考えを示され、長谷部先生は、国家緊急時においても緊急集会を活用し得る、若しくは活用すべきとの見解であると拝察をいたしました。
この点について、公明党としては、参議院の緊急集会は、あくまで二院制及び衆参同時活動の原則の例外である以上、その適用範囲は厳格に解釈すべきであり、また、権限も一定の限界があるため、国政選挙が実施困難となる緊急時においては国会機能の維持を図るべきである、その国会というのは、二院制及び衆参同時活動の原則の下での国会機能の維持であり、七十日間を超えるような選挙困難事態においては、一定の要件の下、国会議員の任期の延長を認めていくべきとの立場であります。
そこで、参考人の意見の中で、特に長谷部先生の御意見で印象深かったのは、広範かつ長期にわたり選挙実施が困難となる事態が発生し、かつ、それを予測することができるのかといった問題提起でありました。
確かに、任期満了選挙前、若しくは衆議院の解散後に、あらかじめ震災等の選挙困難事態が生じるかを確実には予測はできません。しかし、我々は、実際に東日本大震災を経験し、発災後、翌月の四月に迫った地方選挙では、特例法を制定し、多くの自治体で選挙期日が延期され、地方議員の任期も延長されました。最も遅い自治体では、約七か月間延期されたわけであります。
残念ながら、災害の多い我が国では、同じような規模の大震災が起こり得ることは予測しなければならないわけでありまして、また、東日本大震災や阪神・淡路大震災など、実際に起こった経験を踏まえれば、災害が発生したその時点において、被害の状況等から、その影響がどの程度広範な範囲に及ぶのか、また、その期間もどの程度長期にわたるのか、すなわち、選挙困難事態が生じるか否かを予測し得る知見が既に我々にはあるわけであります。
現実に大規模災害を経験し、また今後も同程度以上の災害が発生する可能性が指摘されている現状において、国民の生活を守るための予算措置や立法措置を図るための国会機能の維持をいかに構築すべきかを議論すべきは、我々立法者に与えられた責任であると思います。
また、繰延べ投票を活用し、順次選挙を実施していくべきとの指摘もございました。
東日本大震災のときには、繰延べ投票制度によることなく、特例法を制定いたしました。確かに、法律で任期延長ができない国会議員を選ぶ国政選挙の場合は、特例法では対応できない、繰延べ投票を活用するしかないとの見解もありますが、一定範囲の自治体若しくは選挙区で議席が確定する地方選挙と異なり、国政選挙の場合は、全国一斉に同時に行うべき選挙の一体性が求められる点が重要であります。
これは、選挙を同時に行わないと、被災地域の議員や、また比例代表議員が選出されないことのみならず、首班指名を始めとする国政全般に対する選挙時における民意の適切な反映が行われないからであります。仮に、繰延べ投票を順次行っていくと、既に実施された選挙結果を考慮して有権者の投票行動が左右される可能性は否定できず、選挙で反映されるべき民意に時間的な幅が生じてしまいます。
確かに、国政の補選でも同じ現象は生じると言えますが、広範なエリアで繰延べ投票が行われる場合と一部限定された選挙区で行う補選とでは、有権者の投票行動に与える影響は大きく異なるものです。
やはり国政選挙というのは選挙時の民意を同時一体的に反映させる必要がありますので、広範な地域で国政選挙が実施困難な場合に繰延べ投票を順次行っていくことは、選挙の一体性の観点から許容できないのではないかと思っております。
また、国会議員は全国民の代表であるため、定足数が満たされる議員が選出できれば国家運営が行えるとの指摘もありました。
しかし、被災地域の議員が不在では、議員と有権者の近接性の観点に照らすと、果たして、被災地域選出議員が不在のまま行う復興に関する予算審議や立法活動に対し、現実的に地元有権者の理解が得られるのか、疑問であります。
四十三条に言う全国民の代表とは、選挙区の有権者の意思や後援団体などの特定の選挙母体の代表ではない、言い換えれば、選挙母体の訓令に拘束されないという政治的代表という概念と、国民意思と代表者の意思の事実上の類似性が求められる社会学的代表の概念があることは、言うまでもありません。社会学的代表という側面もあることからすれば、被災地域の議員が不在でも定足数を満たす議員がいればよいというのは、いささか形式的過ぎると思います。
国会議員の任期を延長することによる濫用の危険性についても指摘がございました。
この点、我が党としては、国会議員の任期延長に係る議決要件を出席議員の三分の二とする特別議決とし、その延長の期間は原則六か月間であり、再延期できる場合も一年間を上限とする案を提示しております。これにより、時の政権が選挙期日を無用に引き延ばすという濫用の危険は回避できるものと思います。
ただし、衆議院解散後に選挙困難事態が生じた場合、衆議院が存在しないため、任期延長の議決を行うのは参議院の緊急集会となるのか、それでよいのか、この点は議論すべきと思います。
以上、先日の参考人の御意見も踏まえて、改めて会派としての意見を述べましたが、我々立法者は、選挙困難事態が生じる可能性がある以上、たとえ発生する蓋然性が低いとの指摘があったとしても、国民の命や権利を守るため、あるべき法制度を構築する責任を負っております。参考人からあった濫用の危険にも十分配慮しながら、いかなる事態にも万全を期すための制度設計をしなければならないと思います。
以上でございます。