新藤義孝の発言 (憲法審査会)

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○新藤委員 自由民主党の新藤義孝です。
 本日は、国民投票法に関する幾つかの論点について意見を述べます。
 二〇二一年六月に成立した国民投票法改正の附則四条では、第一号で投票の外形的事項である投票環境の向上について、第二号で投票の質に関する事項であるCM規制などについて検討条項が設けられています。
 まず、第一号で規定されております投票の外形的事項につきましては、自民、維新、公明、有志の四会派が昨年四月に、いわゆる三項目案を提出し、趣旨説明済みでございます。その内容については、公選法で既に設置されている事項であり、審議でも異論はなかったものです。趣旨説明済みの法案を審議するのは国会の当然の責務ですが、提出以来、立憲民主党と共産党の理解を得ることができず、一年以上審議が行われていません。速やかに審議を行い、採決すべきということを改めて申し上げます。
 次に、附則四条二号に規定されている投票の質に関するCM規制の問題に関しては、まず、国民投票法制定時の基本的な考え方を確認しておく必要がございます。
 法制定時の国民投票運動に関する基本的な考え方は、国民投票は国民主権最大の発露の場であり、国民投票運動はできるだけ自由にというものです。これは当時の民主党自身が強く主張したものであり、その結果、CM規制は法的な規制をできるだけ避け、自主的な規制によって国民投票の公平公正を確保するとの整理がなされ、放送CMについては期日前投票が始まる二週間前からの禁止に落ち着いたという経緯があります。
 これに対して、放送CMの規制に関し、勧誘CMは個人、団体、政党等を問わずに全期間禁止、政党については意見表明CMも禁止といった法規制を導入すべきという意見があります。しかし、これらの点は、国民投票運動はできるだけ自由にという基本原則に照らし、問題があると思われます。
 そもそも、政治的な表現活動である放送CMに関しあらゆる主体について禁止するというのは、憲法で保障された表現の自由に対する必要以上の制約になるおそれがあります。また、発議された憲法改正案について、国会における議論を一番よく把握しているはずの政党に対して意見表明CMまでも禁止することは、国民が判断する際の議論の経緯や内容に関する重要な材料を奪ってしまうことにもなりかねません。慎重な議論が必要と考えているわけです。
 さらに、近年、市場規模において放送CMを上回っているネットCMについて、政党による有料ネットCMを禁止すべきとの意見もあります。しかし、放送CMはあらゆる主体について禁止とする一方、ネットCMは政党のみ禁止とする政策判断の合理的な説明、これまた困難と思われます。
 なお、ネットCMのみならず、ネット空間における表現活動全般については、フェイクニュース、マイクロターゲティング、フィルターバブルなど様々な課題が指摘されております。これらは、国民投票に限った課題ではなく、むしろ頻繁に行われている一般選挙において検討が必要な課題であり、倫選特における議論や情報通信分野、その他の社会的課題全般として、総務委員会やデジタル社会形成に関する特別委員会における議論も必要と考えています。
 また、国民投票運動に係る資金規制に関し、支出が一千万円を超える団体の届出、支出金額の上限の設定、収支報告書の提出の義務づけなどの法的規制を行うべきとの意見があります。
 団体の届出制の導入については、そもそも国民投票運動を行っている団体の支出が一千万円を超えるかどうかを判断することは、団体の実態を把握できることが前提と思われますが、これを正確に把握することは困難ではないでしょうか。加えて、国民投票運動とその他の活動を行っている団体については、国民投票運動に関する支出だけを切り分けて把握する必要が発生しますが、実態の把握は更に困難と考えます。
 次に、支出金額の上限規制については、一つの団体の上限を規制しても、資金提供者は複数の団体に支出できることから、総括的な資金提供の上限規制を担保することは、これまた困難であります。
 さらに、届出団体の数が多数に上る場合、それをチェックするのは国民投票広報協議会ですが、全ての事務を広報協議会が行うことは無理があり、実質的には中央選管や都道府県選管などに事務的支援を依頼することになると思います。その場合には、この中央選管、都道府県選管などに過度な事務負担が生じるおそれが出てくるわけであります。
 そもそも、収支報告書の提出や公表は、国民投票運動期間が終了した投票期日後とならざるを得ないことから、収支報告書のチェックは事後的なものとなり、資金規制の実効性は低いものになると言わざるを得ません。
 以上、国民投票運動に関する団体の活動や資金について法的規制を行うことには様々な問題があり、困難が伴うと思われます。
 とはいえ、国民投票運動に関わる政党や団体の活動に対しては、公平公正を確保するための何らかの措置が必要とも考えており、厳密な法的規制は難しくても、例えば、政党間の申合せによる自主的な取組などについて検討してはどうかと考えております。放送CMの受け手である民放連及び民間放送事業者の自主的規制ガイドラインが、量的なものを含め既に準備されているように、放送CMの出し手である我々政党側の自主的取組についても、今後議論を深める必要があると思っております。
 また、これとは別に、国民投票法では、正確な情報を提供するための取組として、国民投票広報協議会を設置することが定められています。憲法改正案の国民への周知、広報を行うこの協議会がどのような活動をするのか、公平公正をどう確保しようとするのか、協議会の内容を詰めることは、我々政党側の取組と密接な関連があります。協議会は憲法改正を発議した賛成、反対の政党から構成されており、この協議会がどのような活動をどの程度行うかということは、それぞれの政党が独自に展開する国民投票運動にも大きな影響を及ぼすからであります。そうした観点からも、広報協議会の内容を速やかに詰めるべきと考えています。
 そのため、広報協議会規程、事務局規程、放送及び新聞広告規程と、国会職員法、国会職員育児休業法などの関連法律の改正が必要となってくるわけであります。これらは事務的な法整備であり、まずは、規程案や改正案についてのたたき台の作成を法制局及び事務局に依頼し、審査会として、広報協議会規程の整備に向けた具体的な作業の促進を図るべきではと考えております。
 会長におかれましては、こうしたたたき台の作成について事務方へ要請いただきますよう、お取り計らいのほど、お願いいたします。
 最後に、緊急事態条項についても意見を述べます。
 審査会が現在のように毎週開かれるようになった昨年の常会以降、緊急事態条項についてはかなりの議論が積み重ねられ、今国会においても、参議院の緊急集会の位置づけを始め、緊急事態条項全般についての議論が更に深められております。ここまで議論が積み重ねられた現状を踏まえれば、各会派委員の意見の概要を事務的に取りまとめるため、法制局に客観的な論点整理資料を作成してもらい、今後の討議に生かしてはと考えております。
 既に複数の会派、委員からも会長に対し要請がなされておりますが、改めて私からも会長に要請をさせていただきます。お取り計らいのほど、よろしくお願いいたします。
 今朝の幹事会におきましては、来週十五日に審査会を開催し、緊急事態条項についての論点整理資料の説明を法制局より聴取し、これを踏まえた討議を行ってはと提案をしております。今後も憲法審査会が安定的に開催され、充実かつ深い論議が行われるよう、委員各位の御理解と御協力をお願いして、私の発言といたします。

発言情報

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発言者: 新藤義孝

speaker_id: 16290

日付: 2023-06-08

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会