奥野総一郎の発言 (憲法審査会)

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○奥野(総)委員 立憲民主党、奥野総一郎でございます。
 本日は、国民投票法の改正について述べます。
 二〇二一年、国民投票法改正の際、附則四条の趣旨説明で、私は、CMの扇情的な影響力や、インターネット広告も含めCMに投じる資金の多寡が投票結果に与える影響等を踏まえると、CMや運動資金などについて一定の規制が設けられなければ、公平公正な国民投票の実施は期待できません、このような積み残しの課題についても、早急に具体的な検討を開始し、一定の結論を得る必要があると考え、本修正案を提出しましたと述べました。
 運動資金規制によりCMへの支出も抑制されることになり、間接的にCM規制にもなり得ます。また、外国政府の干渉も防ぐことができます。運動資金規制こそ最優先に導入すべき問題であります。
 ところが、これまでほとんど議論が行われていません。先日も述べましたが、実際に国民投票が行われたイギリスなどの国々を参考に、それらの問題点も含めて早急に運動資金規制を議論して、国民投票法を改正すべきであります。イギリスなどは、期間中に収入報告、投票日前でも収入についてはしっかり報告させることにしています。こういった点も参考にすべきであります。
 運動資金規制について、集中討議及び参考人質疑を求めます。
 一方、CM規制については、これまで一定の議論が積み重ねられてきました。放送CMについては、民放連の考査ガイドラインにより、投票期日十四日以内についてでありますけれども、意見表明CMについても取り扱わないこととする自主規制が導入されることになったなど、評価できる点もあります。
 しかし、発議後から投票期日十五日前までは、賛否の勧誘のためのCMも意見表明CMも自由に放送ができ、先ほど申し上げたような、運動資金の多寡や外国政府の介入で投票結果が左右される可能性がいまだあります。この期間は政党が紳士協定を結び、CMの出稿を抑えるという議論もされていますが、CMを出稿するのは政党だけではありません。政党関連の政治団体、外国政府のダミー団体などが自由にCMを出稿できるとすれば、自主規制の意味は乏しいと言えます。
 また、国民投票法第百四条は、放送事業者は、国民投票に関する放送について、放送番組の政治的公平性を定めている放送法第四条第一項の趣旨に留意することを定めています。つまり、この規定によれば、発議後全ての期間において放送の量的な公平が求められていると解することもできます。
 ところが、民放連は量的に自主規制ができないと途中で明言をしており、制定時と異なって、国民投票法百四条に触れる可能性が出てきているわけであります。自主規制ができないのであれば、放送の政治的な公平を維持するため、我々の案にあるように、国民投票運動の全ての期間について賛否勧誘のためのCMを禁止し、また、意見表明CMについても政党は全期間を禁止して、全て国民投票広報協議会の広報放送に委ねるべきではないでしょうか。
 イギリス、ブレグジットの際のイギリスの国民投票は、政治目的の広告放送の原則禁止と、通信庁の規則による賛成、反対双方への公平な割当てが行われました。我が国も同様の仕組みを取るのが国民投票法百四条の趣旨にかなうと言えます。
 一方で、放送に規制をかけることは、ネットCM等に規制がかけられないことを念頭に、慎重であるべきとの意見があります。民放連の永原参考人は、審査会の場で、玉石混交のネット広告の真偽を国民自身が取捨選択するという観点からは、放送CMの規制は逆効果ではないかと指摘をされました。
 我々は、放送と同様、政党等によるインターネットCMを禁止し、この部分についても広報協議会によるインターネットを利用した広報に委ねる案を持っています。さらに、政党以外の主体によるネットCMについては、広告主体に表示義務を課すこととしています。この表示義務規制については、イギリスでも近年法制化されており、十分実現も可能だと思われます。
 CM規制については、今述べたように、広報協議会の広報を活用することは必須となってきます。放送広告については、いまだ、期間、時間、回数等、何も決まっていません。
 また、国民投票広報協議会によるインターネットを利用した広報については、玉木委員も指摘したように、具体的な法整備が必要となります。先日、新藤筆頭からも提案がありましたが、こうした観点から、法制度の整備とセットで広報協議会の規定を整備することを急ぐべきだ、この点については同意をします、と考えます。
 その上で、なお残された課題もあります。政治的中立性等をプラットフォーマーに求めるのか、もう少し言えば、これも玉木委員が指摘されたように、放送法四条のような一般ルールを課すのか、あるいはフェイクニュース対策をどうするのか、我が方の案はファクトチェックを行う民間団体と広報協議会との連携を求めていますが、これで本当に十分と言えるのか。
 ネット規制については、表現の自由、検閲の問題もあり、諸外国でも内容規制には及び腰であります。こうした整理の困難な部分については、表現の自由、公職選挙法との関係で、総務委員会や倫選特とも連携をして議論を進めていくことを提案いたします。
 最後に、選挙困難事態について少し申し述べます。
 定足数を満たさなくなるような選挙困難事態が長期にわたる場合をどう捉えるのかという問題です。
 現行憲法を改正せず、国家緊急権を発動して、緊急集会を長期にわたり続けるのか。それとも、憲法を改正して備えるのか。この場合、選挙困難事態の認定を厳格に行う、期間、要件を厳格にした上、そういう仕組みをつくった上で、一つは議員任期の延長を図る、あるいは、七十日間以上緊急集会が開会できることを前提として、緊急集会の権限を広げるような憲法改正というのも選択肢となり得ます。いずれを取るかは、選挙困難事態がどの程度起こり得るか、いずれを取るかというのは国家緊急権を発動するかどうかという問題ですが、どの程度選挙困難事態が起こり得るかということだと思います。
 例えば、「シン・ゴジラ」という映画がありましたが、あれはゴジラが国会を襲って、放射能を吐いて、首相がやられてしまうんですね。そういう事態が、国会が壊滅する、政府も国会も壊滅するような事態が起きれば、これは国家緊急権を発動して、残った人間で超法規的に戦うということになると思います。これは国家緊急権だと思います。
 私は、立憲主義の立場からは、想定し得ることは、権力抑制の観点、分立の観点から、憲法にあらかじめきちんと規定しておくべきだと考えています。そして、それは、民主的な正統性の観点から、よりふさわしい制度であるべき、議員任期の延長でいくのか、あるいは緊急集会でいくのか、どっちが民主的正統性があるのかということから検討すべきであります。この問題は、純粋に制度論として論じて結論を得る必要があります。論点についても、こうした観点から公平に論点を整理するべきだというふうに思います。
 以上であります。

発言情報

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発言者: 奥野総一郎

speaker_id: 32692

日付: 2023-06-08

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会