玉木雄一郎の発言 (憲法審査会)
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○玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。
現在の憲法改正手続法には、インターネットを利用して行う国民投票広報協議会による広報についての規定や、協議会の費用で行う政党のインターネット広告についての明文の規定がありません。インターネットがこれだけ影響力のあるメディアになっている以上、協議会がインターネットを利用した広報や禁止期間における政党等の広告を行うための法整備が必要だと考えます。
協議会がインターネットを利用した広報、広告に関して何がどこまでできるかを明らかにしないまま政党等のインターネット広告を禁止してしまうと、過度な規制になり、国民は正確な情報に接する機会を失い、政党等の広告の禁止期間中、国民はフェイクニュースばかりにさらされることにもなりかねません。
さらに、テレビ広告と異なり、個人がSNS等で発信する意見については規制は困難だと考えます。そして、個人の発信を制限できない以上、膨大なフェイクニュース情報の発信が予想され、そうしたフェイクニュースの嵐に対して、協議会の発信だけで果たして対抗できるのかといった検証も必要です。
例えば、前回も言いましたが、国民民主党の緊急事態条項はナチス時代の緊急事態条項と同じだといったフェイクニュースが流布した場合に、それを防止したり停止するために有効な対策は打てるのでしょうか。協議会から正しい情報を大量に出すようなカウンター攻撃も一案ですが、同時に、協議会に何らかのファクトチェック機能や是正措置の機能を持たせることも検討すべきです。
例えば、フランスには、VIGINUMという政府組織が二〇二一年七月に創設され、外国勢力を含むプラットフォーム上の虚偽又は敵対的なコンテンツの伝播を監視し検出する組織を創設しています。ただし、この機関は国民投票の公正性の確保のためだけの組織ではなく、広く外国からの虚偽情報によるデジタル干渉に対抗する機関であり、国家安全保障部局の一部に位置づけられています。
次に、フェイクニュース対応に関するプラットフォーム事業者への規制の在り方について一言申し上げます。
フランスでは、投票日の三か月前に、偽りの情報、フェイクニュースが拡散されている場合、検察官、候補者等、利害関係者から求めを受けた裁判官はプラットフォーム事業者に対して送信停止を命じることができ、裁判官は申立てから四十八時間以内に停止に関する判断を行わなければならないとされています。
その一方で、EU全体としては、欧州委員会は、デジタルサービス法、DSAにおいてもその位置づけが確認された偽情報に関する行動規範、ザ・コード・オブ・プラクティス・オン・ディスインフォメーションを更新し、事業者の自主規制に委ねています。署名者は計三十四者となり、今年の二月には、メタ、グーグル、マイクロソフト、ティックトックなどを含む三十の署名者が、署名後、初のレポートを提出しています。
我が国においても、自主規制と公的規制を適切に組み合わせていくことが現実的なアプローチだと考えます。例えば、二〇二〇年に成立したデジタルプラットフォーム透明化法のような、間接規制の枠組みは参考になると思います。同法の規制の枠組みは、特定デジタルプラットフォーム提供者に対して自主的な体制整備を自己評価した報告書の提出を義務づけ、それを行政庁がレビューする仕組みです。規制の大枠を法律で定めつつ、詳細を事業者の自主規制に委ねる共同規制、これを英語で言うとコー・レギュラトリー・アグリーメンツ、の手法を採用し、国の関与や規制を必要最小限のものにしています。これは参考になると思います。
いずれにしても、誰でもどこからでも発信者になれるインターネット空間においては、テレビと全く同じ規制は現実的ではないと思われますので、インターネットの特性を生かした規制とすべきであり、その際、プラットフォーム事業者に対する規制の在り方をどのようにするのかという大枠についての合意を当審査会でも得ることが必要だと思います。
その上で、今後の当審査会の運営について三つ提案したいと思います。
まず、インターネットを使った広報、広告に関する規定やファクトチェック機能の創設なども含む、国民投票広報協議会の具体的な役割について定めた国民投票広報協議会の規程案の作成を是非、事務局にお願いしたいと思います。
次に、次回が今国会最後の憲法審査会であると思われますので、これまで議論を積み上げてきた緊急事態条項、とりわけ議員任期の延長などについて、改めて各党各会派の意見をまとめた論点整理を行い、今国会における衆議院憲法審査会としての意見の集約を図るべきです。事務局への作業の指示、森会長の取り計らいをお願いしたいと思います。
最後に、緊急集会の在り方については、参議院の意見も重要だと思います。ですから、国会法百二条の八に規定する参議院との合同審査会を是非開催して、合意形成を図っていくべきだと考えます。しかし、同法三項で、合同審査会を開催するためには、両議院の決議によって合同審査会規則を定めることになっていますが、この規則が空振りになっています。ですので、この規則案の策定についても、森会長から事務局に案の策定を指示していただきたいと思います。
次回は今国会最後の憲法審査会です。せっかくこれだけの時間をかけて議論を積み上げてきたわけですから、言いっ放しではなく、緊急事態条項について改めて論点を整理し、合意を確認し、成果を一つ一つピン留めすることを改めてお願いしたいと思います。
私はこの点に関して、前回の階委員からの指摘は全くそのとおりだと思います。選挙ができないような事態に備える改憲を議論しているわけですから、次の総選挙前に緊急事態条項の発議や改憲が間に合うようなスケジュールでの審査会運営を行うべきだと思います。
憲法審査会規程の八条では、実はこの審査会は、国会の開会、閉会に関係なく、いつでも開会できると規定されています。ですから、事務局に夏休みの宿題をお願いするだけでなくて、我々も働いて、しっかりと議論を前に進めて、いつ起こるか分からない緊急事態に対する備えを万全にすることを我々自体やるべきであることを申し上げて、発言を終わりたいと思います。