小林鷹之の発言 (憲法審査会)

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○小林(鷹)委員 自由民主党の小林鷹之です。
 本日は、私からは、参議院の緊急集会を含めた緊急事態条項に関し発言をさせていただきます。
 まず、これまでの討議を経て、参議院の緊急集会は、その名称に緊急とあるために誤解されることがありますが、あくまでも一定期間内に衆議院の総選挙が実施されることを前提にした平時の制度であることが明らかになったと考えます。参議院の緊急集会の緊急とは、過去の実例がそうであったように、衆議院解散中に国会同意人事を取る必要が発生したような、急ぎの必要があるときという意味にすぎません。
 そもそも、日本国憲法は、衆議院の総選挙を実施できない、いつできるか見通しが立たないというような、文字どおりの緊急事態は全く想定しておりません。そのような事態が発生した場合において、どのように国民の生命、権利、財産を守り抜くかという規定が欠落しております。
 参議院の緊急集会について、場面の限定や期間の限定を緩和して、国会権限全般を代行する真の緊急事態に対応できる機関として運用すればよいとの発言もありました。すなわち、衆議院の解散の場面だけでなく任期満了の場面にも緊急集会を類推適用すればよい、あるいは、憲法五十四条が規定している総選挙までの四十日、特別会召集までの三十日を超過したとしても、緊急の場合には、法は不可能を強いるものではないので、参議院の緊急集会で対応すればよいといった主張です。
 しかし、任期満了にも類推適用する、また七十日を超えても臨機応変に緊急集会で対応するというような、憲法の明文規定に反するような重大な判断を、一体、誰がどのようにして行うのでしょうか。そのとき衆議院は既に存在しておりませんから、参議院が自ら決めるのでしょうか。それとも、緊急集会を求める立場の内閣が自分の都合で決めてよいのでしょうか。
 二院制国会の例外的措置として短期間かつ権限が限定された機関として設けられている緊急集会を、長期間かつ権限限定が緩和された強力な組織とすることの判断権を内閣あるいは参議院にのみ与えてしまうことは、極めて重大な問題を引き起こしてしまうのではないでしょうか。しかも、そのときの内閣は、総理を始め多くの閣僚が衆議院議員の身分を失った職務執行内閣にすぎません。やはり、明確な要件の下で憲法に議員任期延長の規定を設けて、衆議院、参議院の二院制国会が内閣の行政権行使をチェックするといった憲法が想定しているとおりの仕組みをつくることが、憲法の趣旨にかなうのではないでしょうか。
 また、現行の公選法に規定されている繰延べ投票を活用すればよいという主張がなされるときもあります。しかし、肝腎の被災地の選挙について、今週はこの選挙区、来週はあの選挙区と五月雨式に選挙が行われることの違和感につきましては、既に複数の委員から発言があったとおりです。
 参議院の緊急集会において、選挙期日全体を先送りする特別法を制定すればよいと主張されることもあります。衆議院が事後にチェックするからよいのだというのかもしれませんが、そのような立法が行われてしまった後で、仮に衆議院が不同意とした場合、どのようなことになるのでしょうか。その効力を遡及させれば、その法律の下で行われた選挙は無効になって大混乱を引き起こすでしょう。そもそも、不同意議決をした衆議院議員自身が無効な存在とならざるを得ないといった矛盾、自己否定に陥ってしまいます。他方、その不同意の効力は将来に向かってのみ生ずるとすれば、結局、参議院一院の議決のみで重大な事項が決定された事実を衆議院は追認するしかないことになります。いずれにしても、大問題だと考えます。
 なお、議員任期延長などの手当てをしたとしても国会権能を維持できない究極の事態についても想定しておくことが必要です。我が党の新藤筆頭、柴山幹事からも既に指摘があったとおり、いかなる場合であっても超法規的な政策判断が行われることがないよう、緊急政令や緊急財産処分の在り方についても制度化しておくことを私は検討すべきと考えます。
 最後に、会長にお願いをいたします。
 本日も既に何名かの委員から御発言がありましたけれども、ここまで討議が深まってきたことに鑑みまして、参議院の緊急集会を含めた緊急事態条項に関し、衆議院法制局により総括的な論点整理を行うことをお願いしたいと思います。
 以上申し上げて、私の発言を終わります。

発言情報

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発言者: 小林鷹之

speaker_id: 27647

日付: 2023-06-08

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会