田野瀬太道の発言 (憲法審査会)
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○田野瀬委員 自由民主党の田野瀬太道です。
発言の機会をありがとうございます。
本日は、参議院の緊急集会を含めた緊急事態条項に関して発言させていただきたいと思います。
まず、先週六月一日、審査会での立憲民主党の階幹事の御発言についてコメントをさせていただきます。
階幹事は、緊急時における議員任期延長の措置が必要と本気で考えているならば、衆議院解散中に選挙困難事態が生じても二院制国会が機能するための措置を講じてから解散するのが筋だと述べられました。その上で、現時点で衆議院を解散することを容認する方々は、選挙困難事態には緊急集会で対応すればよいとする我々のような立場か、そもそも選挙困難事態は起こり得ないという、いわゆるお花畑の立場か、いずれかであると指摘しておきますと発言されました。
階幹事、だからこそ我々は、憲法を改正して、憲法の明確な要件の下に発動される議員任期延長などの措置を講ずることは一刻の猶予もならないと主張させていただいているのであって、そのことが、そもそも解散中に選挙困難事態は起こり得ないというお花畑の立場とされるのは、いささか乱暴であると思います。
階幹事御本人の意図と反して、憲法改正による議員任期延長を主張するならば憲法改正が実現しない限り衆議院解散はできないはずという誤ったメッセージと受け止められかねず、心配をいたしておるものでございます。是非、引き続き、真摯で建設的な議論をこれからも一緒に進めてまいりたいと思っております。
さて、立憲主義は、憲法によって国家権力を縛り、恣意的な権力行使を防ぐことが本質であることは確かですけれども、その前提といたしまして、国家機関に適切に権限を分配するということも本質であることを忘れてはならないと思います。だからこそ、両院同時活動の原則の重大な例外である参議院の緊急集会についても、一、内閣が案件を決めて集会を求め、二、参議院が審議、決定し、三、事後に衆議院が同意するとして、三つの国家機関に権限を分配することにより単独の国家機関への権限集中を防ぐ仕組みになっているわけであります。
憲法が予定する七十日を超えて、さらに、権限も拡大して参議院の緊急集会でいつまでも対応するというのは、憲法が衆議院、参議院、内閣に分配した権限のバランスを崩し、その結果、権限行使に対するコントロールが不十分になり、国民の権利、自由が不当に侵害されることにもなりかねません。
また、なるべく選挙を早く実施すべしというのはそのとおりです。しかし、緊急事態発生時には選挙人名簿が作れるかどうかも分からず、選挙活動もできず、選挙公報を発行できるかどうかも分からず、ポスターも印刷することができず、投票日当日に投票のみを行うという選挙になるかもしれません。このような選挙で、有権者が自分の思いを託す一票を投じたということが言えるのでしょうか。
実際、二〇二〇年四月二十六日、新型コロナウイルス感染症のために緊急事態宣言下で行われた静岡四区の補欠選挙では、投票率が三四・一%となり、二〇一七年の衆議院選に比べて約二〇ポイント低下いたしておるわけでございます。
そうであるならば、憲法上の明確な要件に基づいて議員任期延長を行い、参議院一院ではなく、職務執行内閣でもなく、衆参両院と内閣がそろった状態で緊急事態対応を行い、平常時に戻った時点で可及的速やかにきちんとした形で選挙を行うということの方が国民の権利を守ることにつながるものと私は考えるものであります。
最後に、先ほど来各委員もおっしゃっておりましたけれども、森会長に、参議院の緊急集会を含めた緊急事態条項に関しまして、衆議院法制局によります総括的な論点整理を行うことを私からもお願い申し上げて、発言を終わります。
ありがとうございました。