玉木雄一郎の発言 (憲法審査会)

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○玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。
 私からも、冒頭、この立派な資料をまとめていただきました法制局、事務局に感謝を申し上げたいと思います。
 改めて、今日、これを見ると、五つの会派ではほぼ意見が一致しております。是非、この議論の積み重ねの上に幹事会の場やあるいは作業部会を設置するなどして、議員任期の延長については具体的な条文化作業に入ることを求めたいと思います。既に、国民民主党は、日本維新の会、有志の会の皆さんと具体的な条文案も作成しておりますので、そういった条文案作りにも積極的に貢献していきたいと思います。
 いろいろ憲法改正については立場があるんですが、やはり危機感の共有が大事だと私は思っています。首都直下型地震などの緊急事態は、いつ発生するか分からないような状況にあります。次の衆議院選挙が行われる前に憲法改正を実現することが理想だと思います。
 加えて、先ほど来議論になっています、岸田総理自身も、自らの任期中、この任期中の定義はいろいろあるんでしょうが、そのうちに憲法改正をするという意欲を示されているのですから、遅くとも来年の通常国会で発議ができるスケジュールで作業を進めていただきますよう、特に自民党にはこの作業をリードしていただきたいとお願いをしたいと思います。
 そして、私は、この議員任期の延長については、依然、立憲民主党の皆さんとも合意が得られるものと期待をしております。
 奥野議員も前回、立憲主義の立場からは、想定し得ることは、権力抑制の観点、分立の観点から、憲法にあらかじめきちんと規定しておくべきだと考えている、そして、それは、任期の延長でいくのか、あるいは緊急集会でいくのか、どっちが民主的正統性があるのかということから検討すべきであると述べられておられます。今日、階委員からは、立憲民主党の意見としては緊急集会だということがありましたけれども、ただ、私は、議論次第では、まだ十分に合意の余地があるのではないかと期待をいたしております。
 私たちは、七十日を超えて長期に選挙ができないような場合に、最も民主的正統性がある制度として、両院同時活動原則に合致した議員任期の延長を憲法改正で実現することが適切だということで提案をいたしております。同時に、時の権力者が安易に長期に任期を延長して政権を延命させるとの、階委員からも示された危険性には当然留意する必要があることから、司法による権力抑制の仕組みも同時に改正条文として提案をいたしております。
 階委員が前回、議員任期の延長での対応について、恣意的な権力行使の余地が広がるように憲法を解釈し、国家権力にとって都合のよい憲法改正を主張することは、立憲主義に名をかりた立憲主義の破壊だというふうにおっしゃられました。ただ、私は、緊急集会が七十日を超える長期間にわたって対応できるという解釈こそ、階委員が懸念する恣意的な権力行使の余地が広がる可能性があるのではないかと考えています。
 なぜなら、参議院といえど権力だからです。しかも、憲法五十四条二項の条文を見ると、参議院の緊急集会は内閣の求めによって開かれるものであるので、実質的には時の内閣が主導権を発揮することになります。
 改めてお伺いしたいのは、緊急集会で長期に対応する方が、議員任期の延長に比べて時の内閣の恣意的な権力行使を抑制できると考えるのか。曖昧な解釈に基づいて行われる七十日を超える緊急集会での対応の方が、時の内閣の恣意的な権力行使の余地を広げることになるのではないかと懸念します。これは、まさに大石先生がおっしゃる参議院による権力の簒奪を招くのではないでしょうか。
 特に、この資料にもあるとおり、立憲民主党は、任期延長された議員には民主的正統性が欠けていると批判されますけれども、任期の切れた多くの衆議院議員で構成される内閣の方がよっぽど民主的正統性を欠いているのではないかと考えます。このことについても併せてお考えを伺いたいと思います。
 あした解散して、私も階さんと一緒で、やるべきじゃないと思いますよ、ただ、あした解散して、緊急事態が発生した場合には、今憲法改正ができていないので、私も、ある程度この緊急集会で対応せざるを得ないと思います。これは、そうなんだと思います。
 ただ、私たちは立法府の人間なので、これもまさに奥野委員が言ったように、立憲主義の立場からは、想定し得ることは憲法にあらかじめきちんと規定しておくべきだと思います。であれば、より民主的正統性を担保できる制度を憲法改正によって創設し、想定される緊急事態に備えることが、責任ある国会議員の立場だと私は考えます。少なくとも私は、選挙困難事態は起こり得ないと考えるお花畑の立場ではないことは改めて申し上げておきたいと思います。
 それと、そもそも、緊急事態における議員任期の延長の憲法改正が国家権力にとって都合のよい憲法改正であるとの主張は、正直、違和感を覚えるんです。
 東日本大震災の際に議員任期の延長あるいは首長の任期を延長したのは、ただただ、あのとき、大混乱の中で、有権者も役場の職員も選挙することが不可能だったので、それに対する最低限の手当てをしたんだと思います。仮に、時の権力、とりわけ内閣の暴走を恐れるのであれば、今私が冒頭申し上げたように、司法のチェックに加えて、緊急事態下であっても、おかしな内閣に対しては不信任案を突きつけて議決することは認めるような制度にしておけばいいと思います。
 これは先ほど三木さんからもあったんですけれども、我々三会派のオリジナルの案では、緊急事態においては内閣不信任案の提出はできないように最初は条文を作っていたんですけれども、ちょっとここは考えた上で、それでもやはり暴走する内閣が出てきたときには時の立法府からのチェック権限は残しておくべきだということで、内閣不信任案の議決の禁止規定は取りました。ですから、ここはちょっと資料とは違うんですが、そこは、そういう権力チェックの役割を果たした方がいいんじゃないかということで、最新の案ではそうなっているということは申し添えたいと思います。
 要は、制度のつくり方次第だと思うんですよ。それを憲法に明記した方が、解釈によっていろいろ権力を広げるよりはよっぽど危険性の抑制はできると思います。
 もう一つ確認したいのは、階委員が、七十日ルールを守れなくなるような選挙実施困難事態の対応につき議論することはやぶさかではないと述べておられます。この七十日を超えるような選挙実施困難事態に対して緊急集会で対応する場合に、では、その緊急集会は最大どこまでの期間対応できるようにするのか。そして、仮に選挙ができるようになったと判断して、緊急集会での対応を終わらせて、さあ選挙をしましょうと決める権限は一体誰が持っているのか。そして、その要件についてはどういうものなのか。これは具体的にお示しをいただきたいと思うんですね。
 というのは、選挙実施困難、可能性の判断は、結局内閣だということに多分なると思うんですよ。そうすると、結局、緊急集会だろうが何だろうが、権力維持をもくろむ内閣は、いつまでも緊急集会での対応をすることを続けて、まともな状態に戻らないようなことを時の内閣は判断することができると思うんです。
 特に、これは一回指摘しましたけれども、例えば岸田官邸と世耕会長が結託したとき、つまり、具体的に言いました、内閣と時の参議院が結託して権力を行使する、その恣意性をどのように防止するのかということも、権力抑制の観点から考えておかなきゃいけないと思うんです。
 階委員は、七十日という上限を設けず緊急集会の活動を認めるとともに、その権限の範囲は必要最小限かつ暫定的なものにとどめると述べられました。つまり、期間は無限だけれども権限はやはり暫定的だということなんですが、ただ、権限には限定があるけれども期間には限定がないとする解釈そのものが極めて恣意的であって、権力濫用の危険性を払拭できないと思うんですね。
 この資料の立憲の案のところの真ん中どころにあるんですが、「七十日超の開催を前提に、権限の拡大も選択肢としてあり得る」と書いてあるんですよ。つまり、期間が延びるということは、それに合わせて権限を膨らますということを既に御発言されているので、結構これは危険だというふうに私は思います。
 だから、立憲主義の基本というのは、まず、憲法に書いてあることを重視するというのが大原則だと思います。そして、立憲主義を徹底するためにも、事前に緊急事態における例外的対応を憲法にやはり明記しておくべきだと思います。その意味でいうと、緊急集会を七十日を超えて使いたいのであれば、そのことを、憲法を改正して書くべきだと思うんです。我々は、その間の案として両院合同委員会ということも実は提案しているんですが、もし緊急集会を今の権限を越えて使うのであれば、その要件と効果を、憲法を改正して書くべきだと思います。それが立憲主義だと思います。
 いずれにせよ、最後に、私たち国会議員は立法者なので、蓋然性が低くても可能性のある限り、国民の生命や権利を守るために、あるべき法制度を構築する責任を負っています。危機に備えてどのように我が国の統治機構を決めるかは、学者の仕事ではなく我々の仕事です。私たちが答えを出していかない限り、何も決まらないと思います。
 緊急事態における対応についても、いや、緊急事態における対応こそ、権力の濫用につながりやすい解釈を安易に認めるのではなくて、やはり憲法改正によって緊急集会における権力抑制のルールを明文化し、立憲主義を守るべきであるということを主張して、発言を終わります。(階委員「会長、十秒だけ」と呼ぶ)

発言情報

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発言者: 玉木雄一郎

speaker_id: 29596

日付: 2023-06-15

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会