岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 馬場伸幸議員の御質問にお答えいたします。
防衛力強化の財源等についてお尋ねがありました。
まず、防衛力の抜本的強化に当たっては、その具体的内容、予算、財源を一体的に国民にお示しするとの方針を昨年の通常国会から、そして会見でも一貫して申し上げてきました。その方針に沿って、国家安全保障会議四大臣会合、有識者会議、与党ワーキングチーム、与党税制調査会などで活発な議論を積み重ねてきました。御党からも提言を頂戴し、馬場議員とは十一月の予算委員会の質疑でも議論をさせていただきました。
その集大成として、政権与党としての方針を三文書や税制改正大綱の閣議決定の形でお示しし、所要の法案を今国会に提出する予定です。昨年末に急に議論して決定をしたというわけではありません。
その上で、抜本的に強化される防衛力は将来にわたって維持強化していかなければならず、これを安定的に支えるため、令和九年度以降、裏づけとなる毎年度約四兆円のしっかりとした財源が必要となります。
財源確保に当たっては、国民の御負担をできるだけ抑えるべく行財政改革の努力を最大限行うべきとの御指摘、それはそのとおりであると思います。だからこそ、必要となる財源の約四分の三は、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保など、あらゆる工夫を行うことにより賄うこととしております。それでも足りない約四分の一について、税制措置での御協力をお願いしたいと考えています。
経済成長に伴う税収増を目指すべきとの御指摘については、常々、経済あっての財政と申し上げているとおり、まずは経済を立て直すことが重要であり、その結果として見込み以上に税収が伸びれば、決算剰余金にも反映され、防衛力強化の財源として活用されることとなります。
また、新型コロナ対策の関連歳出については、今般、これまでのコロナ予算により積み上がった積立金や基金等について、不用分を精査した臨時の国庫返納として、約〇・四兆円を防衛財源として充てることとしております。
国債の六十年償還ルールについては、様々な意見があることは承知をしておりますが、政府としては、これを見直した場合、債務償還費の繰入れが減少する分、赤字公債は減りますが、借換債が増えることから、国債発行額は変わらず、この見直しを行いつつ、その分、政策的経費の増加に使うと、結果的に国債発行額は増加するということ、また、市場の信認への影響、こうしたことに留意する必要があると考えております。
こうした内閣の方針について、国民の皆様に御理解を深めていただけるよう、国会での議論も含め、引き続き、丁寧な説明を行っていく考えです。いずれにせよ、何についてどのように国民の信を問うかについては、時の内閣総理大臣の専権事項として適切に判断をいたします。
国会議員の定数削減や委員長手当等の扱い、また調査研究広報滞在費の扱いについてお尋ねがありました。
議員定数の削減については、民主主義の根幹に関わる重要な問題であり、国会において国民の代表たる国会議員が真摯な議論を通じて合意を得る努力を重ねていくべきであると考えております。
また、御指摘の委員長手当等や調査研究広報滞在費の扱いについては、議会政治や議会活動の在り方に関わる重要な課題であり、各党各派において御議論いただくべき事柄であります。是非、国民の皆様から御理解いただける合意に至るよう、議論を進めるよう期待をいたします。
若い世代が出産、子育てがプラスになると実感できる社会環境の整備についてお尋ねがありました。
子ども・子育て政策は、最も有効な未来への投資です。個々の政策の内容や規模面はもちろん重要でありますが、地域社会や企業の在り方も含めて、社会全体で子ども・子育てを応援するような、社会全体の意識を高め、年齢、性別を問わず皆が参加する、次元の異なる少子化対策を実現したいと考えています。
検討に当たって、何よりも優先されるべきは、当事者の声です。当事者の声をよく聞き、若い世代が出産、子育てがプラスになると実感できる社会環境の整備に向け、しっかりと取り組んでまいります。
御指摘のいわゆるN分N乗方式については、共働き世帯に比べて片働き世帯が有利になることや、高額所得者に税制上大きな利益を与えることなど、様々な課題があるということは承知しております。
いずれにしろ、子ども・子育て政策は我が国の経済社会の持続性と包摂性を考える上で最重要政策であり、制度、予算、税制など幅広く必要な対応を検討してまいります。
子供政策に関する地方自治体との連携等についてお尋ねがありました。
子供政策の具体的な実施を中心的に担っているのは地方自治体であり、地方自治体の取組状況を把握し、取組を促進するための必要な支援等を行うとともに、現場のニーズを踏まえた地方自治体の先進的な取組を横展開し、必要に応じて制度化していくことは重要であると考えています。
子ども・子育て政策に関し、地方自治体との連携を強化するため、本年四月に発足するこども家庭庁においては、国と地方との定期的な協議の場を設けることとしておりますが、これに先立ち、先日、こども政策担当大臣の下で準備会合を開催したところです。先駆的な子供政策に取り組んでいる自治体との情報共有や対話を丁寧に行い、子供政策の充実に取り組んでまいります。
また、具体的な政策についても様々な御意見をいただきました。
政府としては、まずは、こども政策担当大臣の下、今の社会において必要とされる子ども・子育て政策の内容を具体化し、六月の骨太方針までに、将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示いたします。
子ども・子育て政策の財源についてお尋ねがありました。
子ども・子育て政策は、最も有効な未来への投資です。これを着実に実行していくため、まずは、こども政策担当大臣の下、子ども・子育て政策として充実する内容を具体化します。
そして、その内容に応じて、財源についても、各種の社会保険との関係、国と地方の役割、高等教育の支援の在り方など様々な工夫をしながら、社会全体でどのように安定的に支えていくかを考えてまいります。
中小企業への賃上げ支援策等についてお尋ねがありました。
目下の物価高に対する最大の処方箋は賃上げであり、まずは、この春の賃金交渉に向け、物価上昇を超える賃上げに取り組んでいただくべく、下請Gメンの体制充実等による価格転嫁対策の強化、賃上げ税制、また補助金等における賃上げ企業の優遇など、政策を総動員して環境整備に取り組んでまいります。
その上で、下請Gメンは、中小企業が取引先に対して直接に声を上げにくいという我が国の商慣行を踏まえ、取引上の困り事を含めた取引実態を把握し、業界単位で改善を働きかけるために創設された取組であり、取引適正化の観点から有効であると考えています。いただいた御指摘も含め、様々な事業者の声を伺いながら、下請Gメンや公正取引委員会の体制充実を通じて、価格転嫁対策の取組を強化してまいります。
なお、御指摘の社会保険料の事業主負担については、医療や年金の給付を保障することで働く人が安心して就労できる基盤を整備することが、事業主の責任であるとともに、働く人の健康の保持や労働生産性の増進を通じ事業主の利益にも資するという観点から、事業主に求められているものであり、この負担を軽減することは適当ではないと考えます。
また、賃上げのための法人税率の引下げについては、令和四年度税制改正において、賃上げ税制の抜本的拡充を行い、企業の税額控除率を大幅に引き上げたところであります。
成長戦略についてお尋ねがありました。
私が掲げる新しい資本主義は、官民連携で気候変動等の様々な社会課題を成長のエンジンへ転換し、力強く成長を続ける持続的な経済をつくっていくものです。昨年六月に、骨太な成長戦略として、グランドデザインと実行計画を策定いたしました。
これらに基づき、昨年末までに、スタートアップ育成五か年計画、資産所得倍増プラン、GX実現に向けた基本方針の策定など、個別の政策の具体化に取り組んでまいりました。
御党の日本大改革プランの中の成長戦略は、こうした政府の成長戦略とも基本的な考え方において共通する部分が多いと考えています。昨年は御党からも提言をいただき、政策立案の参考とさせていただきました。
また、経済安全保障も待ったなしの課題であり、新しい資本主義の重要な柱として位置づけ、方針を示しています。この方針に基づき、我が国経済構造の自律性や優位性、不可欠性を高めるため、重要な物資に関するサプライチェーンの強靱化や先端的な重要技術の育成などに取り組みます。
具体的には、半導体、蓄電池、クラウドサービスの基盤ともなるプログラムなどを特定重要物資として指定し、令和四年度第二次補正予算において、一兆円を超える国内投資支援や研究開発支援を措置いたしました。こうした取組により、戦略的に国内の製造基盤の確保などを進めてまいります。
GX実現に向けた基本方針に関し、最終処分及びカーボンプライシングについてお尋ねがありました。
原子力に対する国民の皆様の懸念の一つが使用済燃料の最終処分であることを踏まえ、政府一丸となって、かつ政府の責任で、最終処分に向けた取組を加速してまいります。
今後、国、NUMO、事業者で体制を強化し、全国のできるだけ多くの自治体に最終処分事業に関心を持ってもらう掘り起こしに取り組みます。手挙げを待つのではなくして、自治体に対し、政府から調査の検討などを段階的に申し入れます。そして、文献調査の受入れ自治体に対して政府一丸となった支援体制を構築いたします。こうした具体的なアクションを早急に取りまとめ、文献調査実施地域の拡大を目指し、その実行を加速してまいります。
また、成長志向型カーボンプライシングは、今後十年間に必要とされる百五十兆円超のGX投資を積極的に引き出していくために、投資に対するインセンティブとなる施策と投資の前倒しを促していく施策を同時に講ずるものです。
投資のインセンティブとしては、GX経済移行債によって二十兆円規模の資金を確保し、リスクを取った先行投資がより有利となるように、大胆な支援を行っていきます。そして、投資の前倒しを促していく施策としては、炭素に対する賦課金や排出量取引市場における発電部門への有償オークションの導入により、十分な準備期間を置いた上で、炭素の価格づけを行っていきます。
あわせて、水素や蓄電池など、先行市場を早期に立ち上げるべく、新たな規制や制度を講じていきます。これらの仕組みを具体化するための関連法案を今国会に提出する予定です。
新型コロナ対策についてお尋ねがありました。
新型コロナについては、原則、この春、新型インフルエンザ等から外し、五類感染症とする方向で議論を進めます。これに伴う医療体制、公費支援など様々な政策措置の対応について、医療現場の混乱等を回避するためにも段階的な移行が重要と考えており、具体的な内容について検討、調整を進めてまいります。
マスクの着用についても、五類感染症への見直しと併せて、考え方を整理し、国民の皆様に分かりやすく説明をしていきたいと思います。
また、今後、仮に病原性が大きく異なる新たな変異株が発生した場合には、科学的知見や専門家の意見等を踏まえ、行動制限が必要となるかどうかも含めて速やかに検討し、改めて、新型インフルエンザ等対策特措法に基づき適切に対応してまいります。
専守防衛の下での防衛力についてお尋ねがありました。
専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものであり、我が国の防衛の基本的な方針であることから、これを変更することは考えておりません。
その上で、今回の防衛力強化の検討に際しては、国民の命を守り抜けるか、極めて現実的なシミュレーションを行った上で、必要な防衛力の内容を積み上げました。例えば、反撃能力は、相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力として今後不可欠となる能力です。また、現状では十分でなかったミサイルや弾薬についても、必要な装備、数量を積み上げました。
これらの取組により、自衛隊の抑止力、対処力を向上させることで国民を守り抜くことができると考えていることを御理解いただきたいと思います。
日米首脳会談での核抑止に関する議論についてお尋ねがありました。
先般のバイデン米国大統領との会談において、我が国の新たな国家安全保障戦略等に関し、私から説明をし、バイデン大統領から全面的な支持を得ました。また、バイデン大統領からは、核を含むあらゆる能力を用いた、日米安全保障条約第五条の下での、日本の防衛に対する揺るぎないコミットメントが改めて表明をされました。
これに先立ち開催された日米2プラス2において、拡大抑止について閣僚レベルで突っ込んだ議論が行われ、日米拡大抑止協議その他のハイレベル協議において、実質的な議論を深めていくことを改めて表明しました。これを受けて、私とバイデン大統領から、具体的協議を更に深化させるよう指示をしたところです。
今後とも、日米同盟を強化し、もって我が国国民の安全と繁栄の確保に一層努力していく所存です。
国民保護についてお尋ねがありました。
武力攻撃を想定した避難施設に関しては、まずは弾道ミサイル攻撃による爆風等からの直接の被害を軽減するための緊急一時避難施設の指定促進に取り組んでいるところです。核攻撃等の、より過酷な攻撃を想定した施設については、必要な機能や課題の検討を進めているところであり、特定の地域への整備についてお答えできる状況にはありませんが、引き続き、様々な種類の避難施設の確保に向け、しっかりと取り組んでまいります。
また、お尋ねのような、住民の避難等の国民保護措置が必要となる状況とは、少なくとも我が国に対する武力攻撃が予測される事態と評価される状況であると考えられ、そのような状況においては、重要影響事態と併せて武力攻撃予測事態の認定を適切に行い、国民保護法を適用し、国、地方公共団体、指定公共機関等が連携して国民保護に当たることになります。
南西地域の住民避難に関しては、特定の事態を想定したものではありませんが、今年度末に、国、沖縄県、先島諸島の五市町村等が協力して、武力攻撃予測事態を想定した図上訓練を実施することとしております。こうした検討、訓練等を積み重ね、練度の向上や課題の改善を図り、迅速な住民避難が行われるよう、実効性の向上に努めてまいります。
憲法改正についてお尋ねがありました。
私自身、総裁選挙等を通じて、任期中に憲法改正を実現したいということを申し上げてまいりました。憲法改正は先送りできない課題であり、こうした考えにいささかの変わりもありません。
昨年の臨時国会では、衆議院の憲法審査会において、御指摘の緊急事態条項をめぐって各党の主張に関する論点整理が行われるなど、与野党の枠を超え、活発に御議論いただいたことを歓迎したいと思います。
内閣総理大臣の立場からは、憲法改正についての議論の進め方あるいは内容について直接申し上げることは控えなければならないと思いますが、憲法改正は、最終的には国民の皆様による御判断が必要であり、そのための発議に向け、今国会においても、与野党の枠を超えて、更に積極的な議論が行われることを心から期待いたします。
天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に関する報告書についてお尋ねがありました。
附帯決議に示された課題については、令和三年十二月に取りまとめられた有識者会議の報告書を尊重することとし、昨年一月、私から衆参両院議長に対して報告を行いました。
附帯決議においては、政府の報告を受けた場合、国会は、安定的な皇位継承を確保するための方策について、立法府の総意が取りまとめられるよう検討を行うものとされていると承知をしております。
昨年四月、御党が衆参両院議長に対して意見書を提出されたことは承知しておりますが、引き続き、衆参両院議長の下で検討が行われていくものと認識をしております。(拍手)
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