石井啓一の発言 (本会議)
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○石井啓一君 公明党の石井啓一です。
私は、公明党を代表して、施政方針演説等政府四演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。(拍手)
ロシアによるウクライナ侵略に端を発したエネルギーや食料品の価格高騰や、いまだ続く新型コロナウイルスの感染拡大など、国民生活は大きな打撃を受けております。
ウィズコロナへとかじを切る中で、物価高騰対策、経済の再生、直面する少子化や超高齢化社会を克服するための社会保障の充実、地政学リスクに対応した安全保障の強化など、我が国が乗り越えるべき課題は山積しております。
公明党は、どこまでも生活現場の一人一人の小さな声に耳を傾け、地方から国政へとつながるネットワークを生かし、その中から練り上げた現場第一主義の政策実現に取り組んでまいりました。その中にこそ、この困難な状況を打開する鍵があると考えます。
本年五月には、G7サミットが被爆地広島で開かれます。議長国として平和で安定した世界構築へのリーダーシップを発揮するとともに、日本経済を力強い回復軌道に乗せていかなければなりません。
岸田総理は、持ち前の聞く力を存分に発揮し、こうした難局打破に向けて的確なかじ取りをお願いしたい。公明党は、与党としてしっかりと政権を支え、国民に安心と希望を持っていただくための政策実現に全力を挙げてまいります。
以下、諸課題について質問いたします。
初めに、物価高騰、経済再生への取組について伺います。
電気代、ガス代の高騰による家計への影響を少しでも和らげるため、一月分から負担軽減策が始まっております。公明党の主張によりまして、都市ガス代への支援も決まり、電気やガスの使用量に応じて料金は値引きされ、御家庭や事業所に届く一月使用分以降の請求書や検針票、ウェブ明細等でも値引き額が確認できるような仕組みになっております。
こうした前例のない負担軽減策の実行を高く評価します。引き続き、国民生活への影響を注視し、必要に応じて臨機応変の対応をお願いしたい。
現在の日本経済にとって最も大きな課題は、持続的な賃金上昇です。近年は緩やかな賃上げ傾向にはありますが、物価上昇に追いついていないのが実情であり、これを打破する力強い政策の実行が重要です。既に大企業が次々と今春の賃上げを明らかにしておりますが、コロナ禍や原材料、資材高などの影響を受けて傷んでいる中小企業には重い課題です。
原材料高などに見合った価格転嫁や取引適正化の徹底、円安を好機と捉えた輸出への挑戦、DX、デジタルトランスフォーメーションを導入しての生産性向上の強化、事業承継などによる世代交代への取組など、あらゆる政策を総動員して、日本経済の屋台骨とも言える中小企業を支援していかなければなりません。
政府として、事業再構築補助金やIT導入補助金などの種々の補助金のほか、賃上げを促すための税制など、中小企業の経営を後押しする様々なメニューを用意していることは承知しておりますが、その施策がより高い効果を生むためには、それぞれの事業者が抱える多種多様な悩みに寄り添った丁寧な対応が必要です。
中小企業の賃上げに対し、政府はどういった支援を講じるのか、また、その実効性を高めるための取組について、総理の答弁を求めます。
エネルギー燃料の多くを輸入に頼る我が国は、世界情勢の変化によってエネルギー供給が不安定化することが改めて浮き彫りになり、脱炭素化と自給率向上を同時に進めていくことが最重要課題であることが明らかになりました。こうした中で二〇三〇年度の温室効果ガス四六%削減や二〇五〇年のカーボンニュートラルという国際公約を達成するには、産業社会構造の大きな変革は待ったなしであり、これを好機と捉え、日本の強みを生かした経済成長のエンジンにしていくべきであります。
そのためには、再生可能エネルギーの主力電源化と、あらゆる分野でGX、グリーントランスフォーメーションを進める施策を総動員しなければなりません。
昨年末に示されたGX実現に向けた基本方針案によれば、成長志向型カーボンプライシング構想の実現に向け、GX経済移行債の発行による二十兆円規模の先行投資を行うこと、二〇二五年度までに少なくとも百か所の脱炭素先行地域を選定して推進することなどが明記されており、公明党が主張してきた地域の特性に応じた脱炭素への取組の加速化も期待をされます。
一方で、GXに向けて何をしたらよいか分からないという中小企業も多く、八割近くが検討すらできていない状況との指摘もあり、きめ細かい支援策を実行すべきです。
今後十年間で官民合わせて百五十兆円以上の投資が必要と言われている中で、GX経済移行債の制度設計と中小企業を含むサプライチェーン全体のGX化をどう進めていくのか、総理の答弁を求めます。
リスキリングへの支援等について伺います。
岸田総理は、年頭の記者会見において、意欲ある個人に着目したリスキリングによる能力向上支援等を進め、構造的な賃上げを実現すると表明されました。
本人の希望に応じて、広く国民がリスキリングに挑戦をし、賃上げに結びつく環境を整備していくことが重要です。例えば、学び直しの必要性を感じているものの、どういった目的、方法、内容の学びをしてよいか分からない方には、無料でキャリアコンサルティングを受けられる機会を提供するとともに、教育訓練費用の一部を支給する教育訓練給付については、デジタルなど成長分野のメニューの充実、土日、夜間、オンラインなど働きながら受講しやすい講座の拡大など、利用者のニーズを踏まえて拡充すべきです。また、転職、再就職する方を前職より高い賃金で雇い入れる企業に対して助成を行うなど、リスキリングの成果を賃上げへと着実に結びつけていくことも重要です。
公明党は、コロナ禍が女性の就業に大きな影響を与えたことや、デジタル人材の需要が高まっている状況を踏まえ、女性デジタル人材育成プランの策定、実行を推進してまいりました。女性の経済的自立は新しい資本主義の中核とも位置づけられており、地域における女性デジタル人材や女性起業家の育成を力強く推進し、男女の賃金格差の是正へとつなげていくべきであります。
また、リスキリング支援など人への投資の強化に当たっては、その財源として雇用保険も活用することが必要となりますが、雇用保険の財政状況は現在極めて厳しくなっております。雇用保険については、雇用調整助成金を大幅に拡充し、国費も投入しながら、企業による休業手当の支払いを支援してきたことにより、失業者の急増を防ぐなどの効果を上げてきたことを高く評価いたします。
一方で、今後、長期間にわたって、事業主が拠出する保険料の一部を失業者の給付の積立金に回さなければならない事態となっており、経済界からは、この問題を早期に解決し、人への投資に注力できる基盤を整えるべきではないかといった声が寄せられております。経済再生に向け、リスキリング等、人への投資を強力に推進していくためにも、まずは雇用保険の財政問題を解決することが重要であります。
リスキリングへの支援や女性デジタル人材等の育成、雇用保険の財政改善について、岸田総理の答弁を求めます。
ウクライナ情勢等により、食料の安定供給のリスクが急速に高まったことを受け、食料安全保障の確立が急務となっております。
政府は、公明党の提言を踏まえ、昨年十二月に食料安全保障強化政策大綱を策定しました。麦、大豆や肥料、飼料の国産化など、本大綱に盛り込まれた施策を継続的に実行し、食料自給率の向上に取り組むべきであります。
また、国連食糧農業機関、FAOでは、食料安全保障について、全ての人がいかなるときにも十分で安全かつ栄養ある食料を入手できることと定義をしております。我が国では、コロナ禍の長期化を受け、家計の急変に苦しむ方々への食事支援が課題となっております。
そこで、我が国としても、関係省庁が連携をして、生活困窮者等への食事支援を強化すべきであります。
食料自給率の向上と生活困窮者への食事支援という食料安全保障の確立に向けた取組について、総理の答弁を求めます。
次に、子育て、教育、社会保障の充実について伺います。
まず、喫緊の課題である少子化対策です。
昨年の出生数は八十万人を割り込むと見込まれ、少子化は想定を上回る進み方です。
公明党は、子供の幸せを最優先する社会の実現と、少子化、人口減少を乗り越えるための具体策として、子育て応援トータルプランを昨年十一月に発表し、結婚、妊娠、出産から子供が教育を受けて社会に巣立つまで、ライフステージに応じた支援策の充実を提言しております。
岸田総理は、年頭の記者会見で、異次元の少子化対策に挑戦するとして、児童手当など経済的支援の強化、学童保育など子育て家庭向けサービスの拡充、働き方改革の推進とそれを支える制度の充実との三つの基本的な方向性を示されました。これらはいずれも公明党のトータルプランと軌を一にするものであります。
総理は本年六月に大枠を提示するとしておりますが、今後、具体的な議論に当たっては、公明党のトータルプランも参考にしつつ、子供、若者、子育て世帯の声をしっかりと聞き、当事者のニーズを踏まえた検討を進めていただきたい。
例えば、経済的支援では、児童手当について、対象年齢、所得制限、支給額など、制度の見直しによる拡充を具体的に検討すべきです。また、自治体による子供の医療費助成について、高校生を対象としている自治体は約五〇%、中学生を対象としている自治体は九五%以上に上ります。高校三年生までの無償化を目指して、是非推進すべきと考えます。さらに、〇―二歳児の保育料の無償化については、所得制限の緩和や第二子以降の無償化など、対象を段階的に拡大すべきであります。
少子化対策について、岸田総理の答弁を求めます。
未来を担う若者こそが持続可能な社会を実現していく力であるとの考えから、公明党は、返済不要の給付型奨学金の創設など、若者の声を政治に反映してまいりました。
子育て応援トータルプランに掲げた、多子世帯や理工農系学部の中間所得層までへの給付型奨学金の対象拡大や、奨学金の減額返還制度の見直しも、令和六年度開始される予定であります。
給付型奨学金の対象については、昨年六月の予算委員会で、総理より、年収六百万円までという考え方をしっかり受け止めたいとの前向きな答弁をいただきましたが、令和六年度のスタートと考えると、高校生の進路の判断や若者世代の人生設計のために、できるだけ早くこれらの制度の年収目安等を発表すべきであります。
特に、貸与型奨学金の月々の返還額を柔軟に変えられる減額返還制度は、仮に年収目安の上限を四百万円にした場合、二十代の返還者の八〇%、三十代の半数以上が対象になります。返還者である若者の立場に立った制度にするためには、オンラインを活用した簡単な手続や、既卒者の利用開始時期の前倒し、月々の返還額を減額することにより返還期間が長引いたとしても一定額で返還したときと利子の総額が変わらないこと等が重要であります。
給付型奨学金と減額返還制度について、総理の考えをお伺いします。
今国会には、全ての世代が負担能力に応じて医療保険制度を支える仕組みを強化するための法改正が予定されております。
この改正は、制度の持続可能性確保の観点から重要である一方で、現役世代から高齢者まで幅広い層に影響が及びます。本改正の必要性とその効果について政府は丁寧に説明をし、国民の理解を得られるよう最大限の努力を尽くしていただきたい。
また、制度の持続可能性とともに、サービスの提供体制の強化も重要であります。医療機関のかかりつけ医機能を高めるための法改正も予定されておりますが、国民にとって何がどう変わるのか分かりづらいとの声も耳にします。私たちが受ける医療サービスの質はどのように向上するのか、国民目線に立った分かりやすい説明が求められます。
今回の医療保険制度の改革の意義とかかりつけ医機能の強化について、総理の答弁を求めます。
高齢者の暮らしを支えるため、介護保険制度は重要な役割を果たしておりますが、高齢者人口の急増などにより、取り組むべき課題は山積しております。
今後も必要なサービスを提供し続けるためには、特に、総合的な人材確保対策と介護現場における生産性向上を加速させることが急務であります。
認知症施策の推進も待ったなしです。認知症施策推進大綱の中間評価では、初期集中支援チームやチームオレンジの取組に課題が指摘されており、改善に向けた速やかな対応をお願いしたい。
また、総合相談支援などの役割を担う地域包括支援センターの体制強化なども急ぐ必要があります。
一方、給付と負担については、高齢者の生活への影響を把握し、サービスの利用控えや家族への負担が増えることのないよう、丁寧に検討していただきたい。
介護保険制度について、総理の答弁を求めます。
次に、新たな段階へ移行するコロナ対策について伺います。
さきの臨時国会においては、感染症法を改正し、平時から都道府県と医療機関との間で病床や外来医療の確保などに関する協定を結ぶ仕組みを法定化し、感染症危機への備えを大きく前進させました。
一方で、残されている課題として、感染症危機に対応する政府の司令塔機能の強化が挙げられます。
公明党は、新型コロナとの戦いが始まった二〇二〇年の党大会において日本版CDCの創設を重点政策の一つとして掲げ、司令塔機能の強化に向け、党を挙げて取り組んでまいりました。
こうした後押しもあり、今国会には内閣感染症危機管理統括庁の設置や日本版CDCの創設が盛り込まれた法案が提出される予定であり、評価をいたします。平時から実践的な訓練、研修を積み重ねるとともに、両組織との間で緊密な連携を図りながら、感染症危機に迅速的確に対応できる体制を構築していただきたい。
感染症危機に対応するための司令塔機能の強化について、総理の答弁を求めます。
この三年間でワクチン接種は進み、多様な治療薬が実用化されるなど、新型コロナ対策は大きく前進いたしました。また、全数把握の見直しや療養期間の短縮などを行い、ウィズコロナに向けた取組も進んでおります。
本年は、新型コロナ対策による社会的負荷をできるだけ軽減しながら、社会経済活動を大きく回復させてまいりたい。そのためにも、新型コロナの感染症法上における位置づけなど、必要な見直しは着実に進めていくべきであります。総理も、一月の二十日に、原則としてこの春に五類に移行する方向で検討を進めるよう指示をされたところです。
ただし、位置づけの見直しは、国民生活を始め医療機関や自治体などに大きな影響が及びます。仮に見直す場合は、新型コロナの感染力が季節性インフルエンザよりはるかに高いことなどを踏まえ、段階的に見直すべきであります。
感染拡大防止のために、また、感染者がこれまでと同様に検査や治療が受けられるよう、ワクチン接種や検査費、治療費などの公費負担は当面の間継続すべきであります。
あわせて、医療体制の確保、充実に全力で当たるべきです。入院調整や病床確保費用の補助、診療報酬加算等が直ちになくなれば、感染症法上の位置づけを見直したとしても、かえって医療現場の逼迫、混乱を招く可能性があります。したがって、特例的な予算措置は段階的に縮小すべきであります。
さらに、新たな変異株が発生した際には、その特性を踏まえ、迅速かつ柔軟な対応が必要であります。
こうした状況に鑑み、エビデンスに基づく丁寧な議論を積み重ねるとともに、平時へ移行する道筋を国民に分かりやすく説明していただきたい。
以上の内容について、公明党として、一月の二十四日に政府に申入れをしたところであります。
新型コロナの感染症法上の位置づけの見直しについて、総理の見解を伺います。
次に、東北の復興と防災・減災対策について伺います。
本年四月、いよいよ、福島国際研究教育機構が福島県浪江町に設立される予定です。同機構は、ロボットや放射線科学等の分野で、我が国の科学技術力、産業競争力の強化を牽引する司令塔となることが期待されております。政府は、同機構の設立に向けて、地元の意見をよく聞きながら、万全に準備を進めていただきたい。
一方、原子力事故災害からの復興再生に向けては、ALPS処理水の処分など、引き続き、国が前面に立ち、責任を持って万全の対策を講じるべきであります。
公明党はこれからも、人間の復興、心の復興を成し遂げるその日まで、被災者に寄り添い、復興に取り組んでまいります。
東北復興への取組について、総理の答弁を求めます。
令和三年度から始まった国土強靱化五か年加速化対策は、来年度で三年目を迎え、防災・減災のための対策が全国的に着実に進んでおります。
五か年加速化対策後の在り方をどうするか。公明党がこれまで実施をしてきた地方自治体や業界団体との意見交換の中では、五か年加速化対策後も継続的に強靱化を進めるため、実施計画を法定化し、中長期的かつ明確な見通しの下、自治体が安心して推進できる仕組みや制度を構築することが必要との声が寄せられました。
それを受け、昨年十一月には与党プロジェクトチームを立ち上げ、議員立法で今国会に国土強靱化基本法改正案を提出することを目指し、ポスト五か年対策の在り方について議論を開始しております。
国民の命と財産を守るため、五か年加速化対策後も強力に防災・減災、国土強靱化を進めるべきと考えますが、総理並びに国土交通大臣の答弁を求めます。
次に、外交・安全保障について伺います。
今、国際社会は、協調と分断、協力と対立が複雑に絡み合う時代に入っております。そうした中、本年は新たに平和と安定を目指す結束した取組が重要となります。
総理は、今月、フランス、イタリア、英国、カナダ、米国を歴訪し、各国首脳らと会談をされました。各国と、ウクライナ危機への対応を始め、国際秩序維持への結束、安保協力の強化、五月のG7広島サミット成功に向けた協力などを確認されました。また、米国とは、改定した日本の安保戦略文書を踏まえ、日米同盟の抑止力、対処力の強化や安全保障、防衛協力の方針の一致などを確認できたことを評価いたします。
厳しい外交・安全保障環境の中で、国際社会と緊密に連携協力を図り、対話外交を積み重ねていくことは極めて重要であります。
日本はG7議長国としてリーダーシップを大いに発揮していただきたい。G7サミットが被爆地広島開催だからこそ、核兵器のない世界に向けた大事な一歩としていくことも期待されます。公明党は、核保有国と非保有国の橋渡し役を担う政府の取組を力強く後押しいたします。また、政党外交も積極的に進め、地域の平和と安定に貢献していく考えであります。
日米首脳会談を始め、各国首脳との会談の成果について、また、G7サミット開催の本年、どのような外交を展開していくのか、総理の見解を求めます。
ウクライナにおける戦争は長期化し、今なお続いております。
昨年九月、公明党は、ウクライナ周辺三か国に調査団を派遣して現地の窮状を把握し、冬の寒さに備えた支援の提供などを政府に訴えました。その結果、第二次補正予算に支援策を盛り込むことができ、現地には発電機などが届いております。
引き続き、ウクライナと周辺国の人々に寄り添った復旧復興、人道支援を力強く進めていただきたい。
また、ウクライナでの戦争の一日も早い終結に向け、国連がいま一度仲介する形で、ロシアとウクライナを始め、主要な関係国の首脳、外相などによるハイレベル会合を早急に開催し、停戦合意を図るなど、平和の回復に向けた本格的な協議を進めるべきだと考えます。そのために、G7議長国、また国連安保理の非常任理事国である日本が、これまで以上に国際社会と緊密に連携を図り、主導的役割を果たすべきではないでしょうか。
ウクライナと周辺国への人道支援と今後の停戦対応について、総理の御所見を伺います。
我が国周辺の厳しさを増す安全保障環境に対して、国民の命と平和な暮らしをどう守っていくのかが問われている中、政府は、昨年末、国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の三文書の改定を行いました。
今回の三文書改定に向け、公明党は、実務者を中心とした与党協議を積極的に行い、その中で、防衛力の抜本的強化の施策として、反撃能力を持つことを決定いたしました。
その背景として、北朝鮮がかつてない勢いで様々なミサイルを発射し、関連技術と運用能力を飛躍的に向上させ、質、量共に著しく戦力を増強しており、既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することが難しくなりつつあることがあります。
このような状況を踏まえ、相手からミサイルによる攻撃がなされた場合、ミサイル防衛網により、飛来するミサイルを防ぎつつ、相手の領域において我が国から有効な反撃を加える能力を保有する必要があると判断をいたしました。こうした有効な反撃を加える能力を持つことにより、相手からの武力攻撃を抑止する力が増大すると考えます。
一部に、専守防衛を逸脱するのではないか、先制攻撃になるのではないかなどの批判もありますが、公明党は、反撃能力といっても、あくまでも憲法九条の専守防衛の自衛権行使の一環であり、その範囲内である以上、先制攻撃は許されないことを主張いたしました。結果として、国家安全保障戦略には、平和国家として、憲法及び国際法の範囲内で、専守防衛に徹すること、先制攻撃は許されないことが明記されました。
今後も、丁寧な説明の下、国民の理解を得ながら、安全保障政策を進めていただきたい。
反撃能力の保有が専守防衛の逸脱になるのではないかとの懸念に対して、さらに、現段階において具体的な運用構想についてどう考えているのか、総理の答弁を求めます。
防衛費の増額に伴い、負担が大きく増えるのではないかと多くの国民が不安を感じております。
財源確保に向け、公明党は、国民の負担を最小限に抑えるために、まずは無駄の削減や使われなかった予算の活用を優先すべきと主張いたしました。
政府は、歳出改革の徹底、決算剰余金の活用、特別会計からの繰入れなどで可能な限りの財源を確保した上で、不足する分について、税制措置を取ることとしております。
昨年末の与党税制協議において、公明党は、中小企業に影響を及ぼさないこと、復興事業に影響を及ぼさないことの二点を強く主張いたしました。
結果、与党として、法人税については、当初の案では百七十万円だった控除額を五百万円に拡充して対象法人を大幅に縮小することとし、復興財源については、大綱に「責任を持って確実に確保する」と明記をいたしました。また、所得税額に対して新たな付加税を一%課すものの、現在の復興特別所得税の税率を一%引き下げることで、当面、国民には負担が増えないようにしております。
中小企業や被災地の皆さん、そして多くの国民の不安感を少しでも取り除くため、防衛力強化の財源確保について政府の取組と、国民負担をどう抑えるのか、復興事業実施への影響はどうなるのか、総理の具体的な説明を求めます。
最後に、マイナンバーカードの活用について伺います。
昨年末、デジタルを活用し、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会の実現を目指す、デジタル田園都市国家構想総合戦略が策定をされました。
その中で、極めて重要な役割を果たすのがマイナンバーカードであり、今後、医療機関などが患者の処方歴を把握し、不適切な飲み合わせなどを未然に防ぐ電子処方箋の運用や、アンドロイドスマホにカード機能を搭載する予定となっており、引き続き、国民の利便性を拡充すべきであります。
また、自治体では、住民視点に立った質の高い窓口サービスを提供する、書かない窓口の導入が増えております。これは、来庁者が申請書等を記入することなく、職員の聞き取りやマイナンバーカードの活用などで簡単かつ効率的に手続の申請ができるシステムであります。
こうしたマイナンバーカードの利活用の好事例を横展開するなど、デジタルによる住民生活の向上を後押しするとともに、成果として実用化できるまで、しっかりと検証していくべきであります。総理の答弁を求めます。
結びに一言申し上げます。
久しぶりにマスクなしでの質問となりました。長期に及んだコロナ禍から次のステップを踏み出す象徴的な出来事とも言えます。
大きな変化を迎えるとき、我々政治家にとって重要なことは、国民が何を求めているのかを敏感に感じ取ることであります。その意味で、公明党は、全国に張り巡らしたネットワーク力を存分に発揮し、これまで以上に国民に寄り添う政策の実現に全力で取り組んでいくことをお誓いいたしまして、代表質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕