岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 石井啓一議員にお答えいたします。
中小企業の賃上げについてお尋ねがありました。
中小企業の賃上げを実現するためには、生産性の向上、下請取引の適正化、価格転嫁が重要です。
このため、賃上げ促進税制の活用促進に加え、事業再構築補助金やものづくり補助金、IT導入補助金、新規輸出一万者支援プログラムなど、令和四年度補正予算に盛り込んだ施策の早期執行により、生産性向上支援を着実に進めてまいります。
また、事業者に寄り添い、支援を有効活用してもらうため、商工団体等への専門家の配置に加え、新たに指導員向けの研修など、相談体制を強化します。
また、公正取引委員会、中小企業庁の下請Gメンの大幅増員を行ったところであり、取引適正化に向けたヒアリング調査や指導等を強化していきます。
こうした取組を通じ、中小企業の賃上げを強力に後押ししていきます。
GX経済移行債の制度設計と、中小企業を含むサプライチェーン全体のGX化についてお尋ねがありました。
GXに向けた今後十年間で百五十兆円を超える官民の投資の実現に向け、国による二十兆円規模の大胆な先行投資を進めるため、GX経済移行債の枠組みを新たに創設します。
この枠組みにより、国が複数年の支援計画を示し、中期的な予算のコミットを行うことで、企業などの予見可能性を高めます。その際、支援対象とする分野については、日本の持つ強みも考慮して、将来的な日本の競争力を高めることにつながるようにいたします。
また、日本の競争力の維持強化とカーボンニュートラルの両立を実現するためには、中小企業を含むサプライチェーン全体のGXの取組が不可欠です。
中小企業が脱炭素に取り組むに当たっては、情報収集や費用負担等に課題があることから、省エネ、脱炭素設備の導入支援や、脱炭素に向けた事業再構築支援などを進めるとともに、こうした支援策がより効果的に中小企業に届くように、中小機構における相談窓口の設置や、専門家によるエネルギー使用の改善アドバイスの実施、また、地域の支援機関や金融機関における脱炭素に知見のある人材の育成など、相談支援体制の充実を進めてまいります。
リスキリングへの支援等についてお尋ねがありました。
賃上げは新しい資本主義の最重要課題であり、意欲ある個人の能力を最大限生かしながら、企業の生産性を向上させ、更なる賃上げにつなげる好循環をつくり、持続的な賃上げを実現していきます。
このため、まず、令和五年度予算案において、転職前の賃金より高い賃金で雇い入れる企業に対する支援や、新規事業に従事する労働者のリスキリングへの企業を通じた支援等を盛り込むとともに、主体的に学び直しに取り組む個人に対する直接支援も行うこととしており、その際、御指摘のような、無料でキャリアコンサルティングを受けられる機会の提供や、デジタル分野等成長分野のメニューの充実、土日、夜間対応等の講座拡充も進めていきます。
さらに、昨年四月に策定した女性デジタル人材育成プランを着実に実行するとともに、令和五年度予算案にも盛り込まれた地域女性活躍推進交付金を通じて、地域の実情に応じた取組を後押しし、女性デジタル人材や女性起業家の育成を進めていきます。また、男女間の賃金格差に係る情報の開示や、女性に多い非正規雇用労働者の待遇改善、正規化の促進等により、男女間の賃金格差の是正に取り組んでまいります。
雇用保険財政についてお尋ねがありました。
コロナ禍において雇用調整助成金の特例措置を講じたことにより、雇用保険財政は極めて厳しい状況にあります。
リスキリング支援など人への投資への支援や、労働移動の円滑化の強化に万全を期すとともに、雇用情勢が悪化した場合にも十分な対応を図るため、雇用保険財政の早期再建に取り組んでまいります。
食料自給率の向上と生活困窮者への食事支援についてお尋ねがありました。
世界規模の食料危機の中、昨年末、公明党の提言も踏まえ、食料安全保障強化政策大綱を決定したところであり、輸入に依存する肥料、飼料、主要穀物の国産化推進など、食料安全保障の強化に向けた施策を継続的に講じ、食料自給率の向上に取り組んでまいります。
あわせて、国民一人一人が健康な食生活を確保できるよう、総合経済対策において、子供の居場所づくりの支援や食事提供等を行うNPO等への支援を拡充したところであり、政府備蓄米も活用しつつ、生活困窮者の食事支援において重要な役割を担っているフードバンクや子供食堂を支援してまいります。
子ども・子育て政策の具体的な議論の進め方についてお尋ねがありました。
子ども・子育て政策は、最も有効な未来への投資です。個々の政策の内容や規模面はもちろんのこと、地域社会や企業の在り方も含めて、社会全体で子ども・子育てを応援するような、社会全体の意識を高め、年齢、性別を問わず皆が参加する、次元の異なる少子化対策を実現したいと考えております。
御提案をいただきましたが、御党の子育て応援トータルプランも参考にさせていただき、子ども・子育ての当事者である、お父さん、お母さん、子育てサービスの現場の方、若い世代の方々の意見を伺いながら、まずは、こども政策担当大臣の下、子ども・子育て政策として充実する内容を具体化し、六月の骨太方針までに、将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示いたします。
高等教育の奨学金についてお尋ねがありました。
経済的困難を抱える学生等の支援のため、令和六年度から給付型奨学金等の見直しを行うこととしております。
このため、給付型奨学金等の対象拡大については、対象となる世帯年収の目安を六百万円に引き上げるべきとの御提案も踏まえ、その年収目安を早急に明らかにできるよう進めてまいります。
また、奨学金の減額返還制度については、ライフイベントを踏まえて柔軟に返還できるよう、御提案いただきました簡単な手続や利息負担の取扱い等に関して、具体的な枠組みをつくってまいります。
医療保険制度改革の意義とかかりつけ医機能の強化についてお尋ねがありました。
今回の医療保険制度改革は、出産育児一時金を増額し、その費用を高齢者を含む全世代で支え合うとともに、急増する高齢者の医療費について、現役世代の負担上昇を抑制するため、全世代で負担能力に応じて公平に支え合う仕組みとするなど、全世代対応型の持続可能な制度の構築に取り組むものです。
また、併せて行うかかりつけ医機能が発揮される制度整備については、国民、患者がそのニーズに応じてかかりつけ医機能を有する医療機関を適切に選択できるよう情報提供を強化するとともに、医療機関に対してその機能の報告を求め、都道府県がその体制を有することを確認、公表し、そして地域の関係者との協議の場で必要な機能を確保する具体的な方策を検討、公表する、こうしたことにより、地域において必要なかかりつけ医機能を確保する仕組みを設けています。こうした制度整備を進めることにより、国民、患者から見て、一人一人が受ける医療サービスの質の向上につながると考えています。
引き続き、今国会への法案提出に向けて準備を進めるとともに、広く国民の理解を得られるよう丁寧な説明を行ってまいります。
介護保険制度改革についてお尋ねがありました。
超高齢社会に備え、生産年齢人口の減少に対応していく観点から、介護保険制度改革は重要な課題と認識をしております。
このため、介護人材の確保や生産性の向上に取り組むとともに、認知症の方への対応や地域の相談体制などを充実してまいります。それとともに、制度の持続可能性を確保するため、保険料負担や利用者負担の在り方などについて、関係者の御意見を丁寧に伺いながら議論を進めてまいります。
感染症危機に対応するための司令塔機能の強化についてお尋ねがありました。
政府においては、今後の感染症危機に適切に対応するため、司令塔機能を担う組織として内閣感染症危機管理統括庁を内閣官房に設置するとともに、質の高い科学的知見を獲得し、内閣感染症危機管理統括庁等に迅速に提供する役割を担う新たな専門家組織として、いわゆる日本版CDCを設置するため、今国会に所要の法案を提出することとしております。
両組織がしっかりと連携しながら、平時から、感染症危機を想定した実践的な訓練等により有事への備えを万全に行うとともに、専門家組織の科学的知見を得て政府全体として感染症危機に迅速かつ的確に対応できるよう、司令塔機能の強化に取り組んでまいります。
新型コロナ対策についてお尋ねがありました。
新型コロナの感染拡大から約三年。国民の皆さん、そして現場で働く医師、看護師、介護職員などエッセンシャルワーカーの皆さんの御協力をいただきながら、ウィズコロナへの移行を進めてきました。
そして、原則、この春に、新型コロナを新型インフルエンザ等から外し、五類感染症とする方向で議論を進めます。また、これに伴う医療体制、公費支援など様々な政策措置の対応について、議員の御指摘のとおり、医療現場の混乱等を回避するためにも段階的な移行が重要であると考えており、具体的な内容について検討、調整を進めます。
こうした見直しのスケジュール等について、厚生労働省の審議会等の議論を踏まえ、早期にお示ししていきます。
なお、ワクチンについては、類型の見直しにかかわらず、予防接種法に基づいて実施することになりますが、今後の接種の在り方についても検討を進めており、結論を得てまいります。
東日本大震災からの復興への取組についてお尋ねがありました。
本年三月で発災から十二年を迎える中、被災地の方々の絶え間ない御努力により復興は着実に進んでいる一方で、心のケア等の残された課題についてきめ細かく対応していく必要があります。
また、原子力災害被災地域では、復興再生に向けた動きが本格的に始まっている一方、いまだ多くの方々が避難生活を余儀なくされており、引き続き、国が前面に立って中長期的に対応していくことが必要です。
御指摘の福島国際研究教育機構、F―REIについては、福島、東北の復興を実現する夢や希望となるとともに、我が国の科学技術、産業競争力の強化を牽引する、創造的復興の中核拠点とすることを目指しています。まず、本年四月の設立に向けて、地元である福島県を始めとする関係機関と連携しながら、政府一丸となって取組を進めてまいります。
また、廃炉を着実に進め、福島の復興を実現するためには、ALPS処理水の処分も決して先送りできない課題です。今後も、国が前面に立ち、責任を持って、漁業者や国民への説明、風評対策、安全性の確保等にしっかりと取り組みます。
引き続き、東北の復興なくして日本の再生なしとの強い決意の下、被災地の皆様の声をしっかりと受け止め、東日本大震災からの復興に全力を尽くしてまいります。
国土強靱化についてお尋ねがありました。
激甚化、頻発化する災害に対応するため、防災・減災、国土強靱化の対策を着実に進めているところです。
国土強靱化の五か年加速化対策後についても、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的、安定的に国土強靱化の取組を進めていくことが重要です。そのため、新たな基本計画を策定するなど、国土強靱化の着実な推進に向けて強力に取組を進めてまいります。
欧州、北米訪問における首脳会談の成果及び本年の外交の展開についてお尋ねがありました。
今回訪問した欧州及び北米五か国の各首脳とは、二国間の懸案、協力やウクライナ情勢を始めとする地域情勢等について率直な意見交換を行いました。
また、私からは、G7議長国としての考えを説明した上で、G7が結束して法の支配に基づく国際秩序を守り抜くべく連携していくことについて、改めて確認が得られました。
国際社会が歴史的な転換点にある中、我が国は、本年、G7議長国及び国連安保理非常任理事国を務めます。私は、今回の歴訪での各国首脳とのやり取りの成果を踏まえつつ、国際社会が直面している様々な課題への対応において、首脳外交を積極的かつ力強く展開してまいります。
本年五月開催のG7広島サミットでは、力による一方的な現状変更の試みや、ロシアが行っているような核兵器による威嚇、ましてやその使用を断固として拒否し、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くとのG7の強い意志を力強く世界に示していきたいと考えています。
ウクライナと周辺国への人道支援及び今後の停戦に向けた対応についてお尋ねがありました。
日本は、これまで、ウクライナ及び周辺国等に対して、本年度六百億円の補正予算を含め、総額約十五億ドルの支援を順次実施しています。その中には、発電機等の越冬支援、カンボジアと協力した地雷対策支援も含まれています。G7議長国として、引き続き、国際社会と連携しつつ、人道復興支援においても積極的に役割を果たしていきます。
停戦に向けた対応については、ロシアは、ウクライナ侵略を重ねて正当化しており、自らの強硬な立場を和らげ、歩み寄ろうとする兆しは全く見せていません。このような状況下で、ロシアに一刻も早く侵略をやめさせるために今必要なことは、国際社会が結束し、強力な対ロ制裁措置を講じつつ、ウクライナへの支援を継続していくことです。我が国は、G7議長国として、また国連安保理非常任理事国として、国際社会と連携しつつ、適切に取り組んでまいります。
国家安全保障戦略等についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、新たに策定された三文書に基づく取組は、憲法及び国際法の範囲内で行うものであり、専守防衛の考え方を変更するものではありません。こうした点を含め、三文書で示した施策について、国民の皆様への丁寧な説明を行いながら、早急に取り組んでまいります。
また、反撃能力は、弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合に、武力行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐためにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として行使するものであり、専守防衛を逸脱するものではありません。これには、スタンドオフ防衛能力等を活用することとしております。
防衛力強化の財源確保や復興事業への影響についてお尋ねがありました。
抜本的に強化される防衛力は、将来にわたって維持強化していかねばならず、これを安定的に支えるため、令和九年度以降、裏づけとなる毎年度約四兆円のしっかりとした財源が必要となります。財源確保に当たっては、国民の御負担をできるだけ抑えるべく、行財政改革の努力を最大限行った上で、それでも足りない約四分の一について、将来世代に先送りすることなく、令和九年度に向けて、今を生きる我々が将来世代への責任として対応すべきものであると考えております。
税制措置については、現下の家計や一般の中小企業に十分な配慮をすることとしています。具体的には、法人税については、中小企業への配慮を大幅に強化し、全法人の九四%は対象外としております。また、復興特別所得税については、現下の家計の負担増にならないよう、税率を引き下げるとともに、課税期間を延長することとされており、その延長幅は、復興財源の総額を確実に確保するために必要な長さとされているところであり、復興事業に影響を及ぼすことはありません。
さらに、廃炉や福島国際研究教育機構の構築など、息の長い取組についてもしっかりと支援できるよう、東日本大震災からの復旧復興に要する財源を引き続き責任を持って確保してまいります。
こうした内閣の方針について、国民の皆様に御理解を深めていただけるよう、国会での議論も含め、引き続き、丁寧な説明を行っていく考えです。
マイナンバーカードの利活用についてお尋ねがありました。
マイナンバーカードは、対面に加え、オンラインでも確実な本人確認ができる、安全、安心なデジタル社会のパスポートであり、その早期普及のため、カードの利便性の拡充が重要です。
これまで、健康保険証としての利用、ワクチン接種証明アプリ、確定申告での医療費控除等など、カードの利活用シーンを順次拡大してきました。本日から重複投薬や不適切な飲み合わせチェックができる電子処方箋の運用が開始され、マイナポータルでも処方情報を確認できるようになるほか、五月にはスマホへのカード機能の搭載が始まります。
さらに、各地域におけるカードを活用したデジタル実装を進めることも重要です。御指摘の、役所の窓口で住民が書かない、住民を待たせない取組は、好事例として横展開が始まっており、デジタル田園都市国家構想交付金等で支援をしております。
今後も、運転免許証との一体化や、各種国家資格の証明書のデジタル化、学生証への利用、買物時の年齢確認など、カードの利便性の向上を飛躍的に高めてまいります。また、全国のモデルとなる地域の先行的な取組については実用化まで支援をいたします。全国津々浦々で、あらゆる公的、民間サービスを簡単、便利に利用できる社会をつくるため、官民で取り組んでまいります。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕