玉木雄一郎の発言 (本会議)

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○玉木雄一郎君 国民民主党代表の玉木雄一郎です。(拍手)
 昨年の代表質問で、私は、議場の皆さんに、この国会を賃上げ国会にしようと呼びかけました。あれから一年、国民民主党は、今年の通常国会こそ賃上げ実現国会にしようと改めて訴えます。
 アメリカでもヨーロッパでも韓国でも賃金が上がっています。なのに、日本だけ、二十五年以上、賃金が上がっていません。国民民主党は、この賃金デフレこそが日本経済の最大かつ本質的な課題と考え、給料が上がる経済の実現を公約として訴え続けてきました。
 そして、昨年二月のロシアのウクライナ侵略以降、原油価格高騰などにより、三十年ぶりの物価高となっています。であれば、賃金も三十年ぶりの上昇にしないと、国民の生活は苦しくなるばかりです。賃金が上がらないと消費も落ち込み、年金も上がりません。結局、問題は賃金なのです。だからこそ、労使のみならず、政府もありとあらゆる政策を動員して、賃上げの流れを支援すべきです。もはや賃上げは、単なる個別企業の労使交渉という枠を超えた、日本経済最大の課題です。
 まず、賃上げの必要性について、岸田総理の基本認識を伺います。
 総理の言う構造的賃上げは重要ですが、あくまで中期的な目標です。問われているのは今年の賃上げです。今年の賃上げを実現するために総理は何をするのか、特に企業の九割を占める中小企業、とりわけ労働組合のない中小企業の賃上げをどのように実現するのか、また、非正規労働者や派遣社員の賃上げをどう実現するつもりなのか、具体的にお答えください。
 加えて、賃上げのために適正な価格転嫁が必要ですが、下請や中小企業はなかなか価格転嫁できません。価格転嫁をどのように円滑に進めるのか、また、価格転嫁によって懸念される家計の消費減少対策をどう考えているのか、その具体策を総理に伺います。
 今週月曜に経団連の会長と連合の会長が会談しました。日本にしみついたデフレマインドを払拭するために賃上げが必要との認識で一致したそうです。ここに政府のトップである総理もコミットすべきです。労働組合のない企業も含め、物価上昇を上回る賃上げが必要とのメッセージを目に見える形で社会に打ち出すことが重要です。そのため、政府、労働界、経済界の代表が一堂に集う政労使会議を岸田総理が呼びかけて、今こそ開催しませんか。
 国民民主党としても、賃上げに向け政治が取り組むべき、以下十の政策を具体的に提案します。
 まず、金融政策について、岸田総理は黒田総裁の後任総裁の下で金融政策を変更すべきと考えていますか。民間銀行の住宅ローンの固定金利は既に上昇しており、急に金融を引き締めると、民間の投資と消費を冷やし、賃上げの妨げになります。金融政策の変更に当たっては、雇用や名目賃金上昇率に十分配慮すべきです。国民民主党は、政府と日銀で合意する新たな協定、アコードに名目賃金上昇率五%程度の目標を掲げるべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 財政政策についても、雇用や賃金上昇率に十分配慮して決定する必要があります。国民民主党は、名目賃金上昇率が安定的に五%程度を超えるまで、財政の引締め、とりわけ増税は行うべきではないとの立場です。たとえ将来のことであっても、現時点で増税の話を持ち出すことは賃上げにマイナスの影響を与えることになります。増税議論の賃上げへの影響について、総理はどう考えていますか。また、増税を決めた場合には、その実施の前に選挙で民意を問うのが筋だと考えますが、併せて伺います。
 電力各社の発表によれば、四月から電気代が三割から四割上がる見込みです。電気代高騰に苦しむ学生や、八割節電したのに電気代は逆に四割も増えた中小企業など、悲鳴のような声がネットにもあふれています。政府の支援策で下がるのは約二割なので、四月以降は電気代が差引き一割から二割上がります。賃上げの原資を確保し、また、価格転嫁の家計への影響を和らげるためにも、電気代を更に値下げすべきと考えます。予備費を活用し、燃料費調整の深掘りや再エネ賦課金の徴収停止などで、更に一割程度電気代を引き下げませんか。総理の見解を伺います。
 クリーンルームがある半導体製造拠点や電炉のある事業所、また大型ショッピングモールなど、大量の電力を消費する工場や事業所は二万ボルト以上の特別高圧の電力を利用していますが、特別高圧は政府の支援策の対象外となっています。中には十億円単位で電気代がアップするところもあって、賃上げの原資が電気代に消えてしまって、賃上げが困難になっています。予備費を活用して、特別高圧も電気代値下げの対象に追加しようではありませんか。総理の決断を求めます。
 我が国の化石燃料依存度が八割を超え、そのほとんどが輸入に依存している現状は、エネルギー安全保障上、極めて脆弱です。昨年の貿易収支は過去最大の約二十兆円の赤字。多額の国富が海外に流出し賃上げに回らないのも、化石燃料の大量輸入が大きな原因です。持続的な賃上げの実現にとっても、エネルギー安全保障と電力の安定供給が大前提だと考えますが、総理の基本認識を伺います。
 また、電力需給逼迫の改善と電気代を下げるためには、原子力発電所の早期再稼働が必要です。とりわけ東日本における安価で安定した電力供給のためには、柏崎刈羽原発の再稼働が急がれます。そのために国が前面に出て具体的にどのような役割を果たすのか、総理の見解を伺います。
 資源価格高騰により、電力自由化によって参入した新電力の撤退が相次ぎ、電力会社と契約ができない電力難民が続出しました。また、政府は、火力から再エネに電力システムを構造転換すると言ってきましたが、今、綱渡りの電力需給を支えているのは老朽化した火力です。電力システム改革は今のような有事への備えを想定していたのか、自由化で本当に電気代は安くなったのかなどを検証し、電力の安定供給の観点から必要な見直しを行うべきです。また、供給力確保義務の徹底など、新電力への適切な事業規律の確保が必要だと考えますが、総理の見解を伺います。
 民間企業の中には独自にインフレ手当を支給するところが出てきていますが、これは本来国がやる対策です。国民民主党は参議院選挙の公約で一律十万円のインフレ手当の給付を訴えましたが、物価上昇による消費減少対策として、また、企業の賃上げ原資を確保するためにも、国がインフレ手当を支給すべきです。なお、電子マネーやQRコード決済などキャッシュレスを活用し、期限付ポイントで給付すれば、貯蓄に回ることもなく、地域の消費活性化効果もより高まります。総理、やりませんか。いかがでしょうか。
 賃金が上がっても、税金や保険料が高くて手取りが増えない、こういう声をよく聞きます。物価の上昇は、事実上、消費税率アップと同じ効果を生み出します。実際、消費税収は増えています。名目賃金上昇率が五%程度に達するまでの間、消費税を時限で減税してはどうでしょうか。また、正社員を雇ったり非正規社員を正社員化した場合には、事業主が負担する社会保険料の減免措置を講じるべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 国が賃上げを主導するのであれば、まずは、公定価格である保育士や介護士の待遇を更に改善し、公務員の給料も上げてはどうでしょうか。また、公立学校の先生が置かれている状況は更に厳しく、給特法という法律によって給料の四%分が上乗せされる代わりに時間外勤務手当がもらえない仕組みになっています。総理はこの給特法を見直す必要があるとお考えなのか、お答えください。
 総理も施政方針演説でエーザイの認知症治療薬を絶賛されました。私も期待しています。しかし、毎年薬価を引き下げていく今の仕組みのままでは、国内で優れた新薬が出てこなくなる可能性もあります。また、薬の原材料価格も高騰する中で、流通も含め、製薬業界は厳しい状況に直面しており、今のままでは賃上げは厳しいです。製薬業界での賃上げを促すためにも、薬価の毎年改定は見直すべきではないですか。総理の見解を伺います。
 昨年の臨時国会の代表質問でも見直しを提起した、百三万円、百三十万円などの年収の壁について、総理が見直しの明言をしたことは評価をいたします。では、具体的にどう見直すのか、配偶者扶養控除の廃止も含めて考えているのか、分かりやすくお答えください。
 次に、異次元の少子化対策について伺います。総理、新しい政策に取り組むには、まず、これまでの少子化対策は何が間違っていたのか、何が成功したのかを検証すべきです。また、兵庫県明石市による医療費や給食費などの五つの無償化政策は十年連続人口増加などの実績を出しているので、まず、地方で取り組んでいるこうした実績を出した政策を国が全国一律で行うべきです。住んでいる自治体によって子育て支援を受けられたり受けられなかったりする、まるで自治体ガチャのような状況は速やかに改善すべきです。
 総理、ある人からこんな相談がありました。会社から部長への昇格を打診されているけれども、子育て支援に所得制限があって、子供四人を大学に入れられなくなるから保留していると。賃上げが実現したと思ったら、所得制限にひっかかって子育て、教育支援から外れる人が増える。これは総理が目指す方向と矛盾するのではないですか。国民民主党は、昨年、所得制限撤廃法案を国会に提出しました。総理、まずは、児童手当など子育て、教育施策の所得制限撤廃を決断しませんか。賃上げと所得制限撤廃は同時に実現すべき政策です。
 国民民主党は、来週にも、障害児福祉の所得制限撤廃法案を追加で国会に提出します。子育て政策のうち、障害児の特別児童扶養手当など障害児福祉の所得制限は真っ先に撤廃すべきです。総理、せめて障害児福祉の所得制限の撤廃を決断しませんか。政治の責任で、全ての子供たちが安心して生きていける希望をつくり出していこうではありませんか。
 岸田総理、自民党が野党時代の公約に書いた年少扶養控除の復活はしないんですか。民主党政権が子ども手当を導入した際、控除から手当へということで年少扶養控除は廃止しましたが、昨年十月に六十一万人の子供を対象にする特例給付も廃止となりました。三百七十億円の財源が浮きましたが、控除も給付もなくなり、まさに子育て罰という状況が生まれています。せめて年少扶養控除だけでも復活すべきではありませんか。財源もあります。相続人なき遺産として国に帰属したお金は、昨年度六百四十七億円に達し、十年で倍増しています。こうした資金を財源として活用すれば、すぐにできます。やりましょう。
 国民民主党は、フランスの例を参考に、いわゆるN分N乗方式の導入を提案しています。昨日、茂木幹事長も言及されましたが、子供の数が多ければ多いほど世帯全体の所得税の負担が少なくなるこのN分N乗方式の導入を政府としても検討すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 さきの臨時国会で、外国人留学生の支援もいいが、日本の学生をもっと助けてほしい、こういう学生の声を紹介して質問したところ、総理は、「学生への経済的支援の充実を進めてまいりたい」と答弁されました。しかし、昨年十二月、文科省の有識者会議は、給付型奨学金の対象拡大を、三人以上の子供のいる多子世帯や理系だけに限定する報告書をまとめました。収入要件などをもっと幅広く緩和し、次元の異なるレベルに対象を拡大すべきではないでしょうか。
 異次元の少子化対策というのであれば、予算倍増の財源調達手段こそ、従来とは次元の異なる新しい発想を取り入れるべきです。国民民主党は、教育、科学技術など人的資本形成に資する予算には教育国債という新たな国債を充てることを提案し、法案も提出しました。まずは、出世払い型の奨学金などの財源として教育国債を発行し、家庭の経済事情に関係なく大学や大学院に無償で通えるようにすべきです。総理、是非前向きに検討してください。国民民主党は協力します。
 国民民主党は、必要な防衛費の増額には賛成ですが、イージスシステム搭載艦については、その有用性を厳しく検証すべきとの立場です。元々、海上自衛隊の負担を減らすためにイージス・アショアを陸上に配備するはずが、導入をめぐるどたばたでまた海に戻ることになりました。海上自衛隊の負担はかえって増えることが予想されます。迎撃能力にも疑問の残るイージスシステム搭載艦について、もっと厳格に有用性を検証すれば、必要な防衛費をもっと圧縮できるはずです。
 国民民主党は、外為特会の運用益の活用を繰り返し提案してきたので、防衛費増額の財源の一部として活用することになったことは評価します。でも、まだまだ不十分です。変動為替相場制の下で、為替介入のためだけに百五十兆円を超える多額の外貨資産を保有する必要性は乏しくなっています。むしろ、今後、外為特会は、安定財源の確保と戦略的投資のための国家ファンドに生まれ変わるべきです。資産サイドの運用を多様化、高度化すれば、シンガポールの国家ファンド、テマセク並みの年率七%程度の高いリターンも期待できます。三兆円程度の毎年の剰余金を七兆円から八兆円に倍増させることは可能です。国こそ、資産運用収入そのものの倍増を実現すべきです。総理の見解を伺います。
 日本では、暗号資産の売買益に雑所得として最高五五%の税率が課せられるため、多くの富裕層が海外に暗号資産を移転しています。今、ビットコインやアルトコインなど暗号資産の世界市場規模は二百三十兆円とも言われており、このうち日本人が約一割程度、二十兆円を保有している可能性がありますが、国内の暗号資産交換業者のビットコイン預託総量は〇・六兆円しかありません。
 そこで、暗号資産の売買益に二〇%の分離課税を導入することで国内に二十兆円規模の資産を戻すことができれば、四兆円から五兆円の所得税の税収増が見込めます。ウェブ3を活用したスタートアップ企業を育て、税収を増やすためにも、暗号資産の売買益に二〇%の分離課税を導入すべきです。総理の考えを伺います。
 防衛費を倍にしても、その分、米国からの高価な防衛装備品の購入が増えるだけでは、自分の国は自分で守る力は強化されません。一つの戦闘機を開発するのに八千四百社以上の企業が関わるとも言われますが、機微な技術であれば、そのうち一社が抜けても開発できなくなります。ましてや、他国に買収されることは避けなければなりません。総理は、施政方針演説で、防衛産業の基盤強化や装備移転の支援を進めると述べ、防衛省も法案を提出するとのことですが、こうしたリスクへの対応は十分にできていますか。
 また、防衛産業の強化と同時に、国内法の整備が急がれます。国民民主党は、経済安全保障体制を強化するためのセキュリティークリアランス法案と、積極的サイバー防御を可能とするためのサイバー安全保障基本法を議員立法として提出予定ですが、政府として、こうした法案の提出はいつを考えているのか、総理の見解を伺います。
 一昨年十二月、農林水産省は、水田活用直接支払交付金の、五年に一度の水張り要件を発表しましたが、転作を進めてきた全国の農家には不安が広がっています。このままでは離農と耕作放棄地が増え、食料安全保障にとって明らかにマイナスです。総理、水田活用直接支払交付金は、地域の実情に応じて、五年に一度の水張り要件を柔軟に緩和すべきではありませんか。
 国民民主党は、昨年、緊急事態条項に関する包括的な憲法改正の条文案を各党に先駆けて取りまとめました。緊急事態においても制約してはならない権利を定めたり、国会機能を維持する規定を設けるなど、バランスの取れた内容となっています。イデオロギー対立が起きにくい緊急事態条項、とりわけ議員任期の特例延長規定について条文案で与野党の合意を得ることが憲法改正に向けた最も現実的かつ最短のアプローチと考えますが、岸田総理の考えを伺います。
 この通常国会に、内閣提出法案として、孤独・孤立対策推進法案が提出されます。国民民主党が孤独対策と孤独担当大臣の創設を公党として初めて掲げたのが二〇一九年の参議院選挙でした。最初はユニーク政策とやゆされるだけでしたが、あれから三年半、ついに政府提出法案に至ったことは感無量です。内容も、国民民主党の法案とほぼ同じ内容です。政府・与党始め関係者の御尽力、御協力に感謝を申し上げます。
 私たち国民民主党は、これからも、必要な政策を先手先手で打ち出し、政策を先導してまいります。所得制限撤廃法案が典型ですが、そのほかにも、ヤングケアラー支援を強化するための法案や、カスタマーハラスメント対策についても具体的な政策を示し、実現につなげてまいります。もちろん、今国会最大の課題である賃上げの実現にも、対決より解決の姿勢で建設的な議論をリードしてまいります。
 賃上げ実現国会のため、そして所得制限撤廃など子育て支援の拡充のために、政府はもちろん、この議場にいらっしゃる与野党を超えた同僚議員の皆さんの協力をお願い申し上げ、国民民主党を代表しての質問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕

発言情報

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発言者: 玉木雄一郎

speaker_id: 29596

日付: 2023-01-26

院: 衆議院

会議名: 本会議