岸田文雄の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 志位和夫議員にお答えいたします。
 まず、新型コロナの医療体制と地域医療構想についてお尋ねがありました。
 いわゆる第八波への対応については、これまで拡充強化してきた医療体制に加え、発熱外来や電話診療、オンライン診療の強化、救急医療機関の外来、入院機能の強化などに取り組んできました。足下の感染状況については、感染防止対策や医療体制の確保に努め、この感染の波を乗り越えるべく、全力を尽くしてまいります。
 一方、中長期的な人口構造の変化や地域の医療ニーズに応じて、病床機能の分化、連携により質の高い効率的な医療提供体制を確保するため、地域医療構想を進めることは必要であると考えています。病床の削減や統廃合ありきではなく、地域の実情を十分に踏まえて、都道府県と連携して着実に進めてまいります。
 新型コロナを季節性インフルエンザと同じ五類に引き下げる方針についてお尋ねがありました。
 まず、足下の感染状況については、感染防止対策や医療体制の確保に努め、いわゆる第八波を乗り越えるべく、全力を尽くしてまいります。
 そして、原則、この春に、新型コロナを新型インフルエンザ等から外し、五類感染症とする方向で議論を進めます。これによって、より幅広く、一般の医療機関においてもコロナ患者の診療が可能となります。また、これに伴う医療体制、公費支援など様々な政策措置の対応については、医療現場の混乱等を回避するためにも段階的な移行が重要であると考えており、具体的な内容について検討、調整を進めてまいります。
 賃上げについてお尋ねがありました。
 この十年間、女性や高齢者等の多様な労働参加が進む中で、パートタイム労働者等が増加し、賃金の単純な平均値は押し下げられた一方、約五百万人の雇用増が実現をし、総雇用者所得は増加をしています。
 そうした中、賃上げは新しい資本主義の最重要課題であり、まずは、この春の賃金交渉に向け、物価上昇を超える賃上げに取り組んでいただくべく、民間にだけ任せるのではなく、政府としても、政策を総動員して環境整備に取り組んでいます。
 具体的には、賃上げ税制や補助金等における賃上げ企業の優遇などの取組に加えて、公的セクターや政府調達に参加する企業で働く方の賃金引上げなどに取り組むとともに、中小企業における賃上げ実現に向け、生産性向上などへの支援の一層の強化や、公正取引委員会、中小企業庁における下請Gメンの大幅増員による下請取引の適正化、価格転嫁の促進に取り組んでまいります。
 最低賃金については、消費者物価指数のみならず、労働者の生計費、賃金、企業の賃金支払い能力のデータを総合的に勘案して決定することとされており、引き続き、各種指標を注視してまいります。また、できる限り早期に全国加重平均千円以上となることを目指し、引き続き取り組んでまいります。
 なお、御指摘の内部留保への課税については、二重課税に当たるとの指摘があることから慎重な検討が必要であると考えておりますが、企業の抱える現預金を人への投資や設備投資などに活用いただくことは重要です。あらゆる政策により、こうした未来への投資を促していきたいと考えております。
 消費税減税とインボイス制度についてお尋ねがありました。
 消費税については、急速な高齢化等に伴い、社会保障給付費が大きく増加する中で、全ての世代が広く公平に分かち合う観点から、社会保障の財源として位置づけられています。このように消費税は社会保障制度を支える重要な財源であるため、減税は考えておりません。
 インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものです。中小・小規模事業者、クリエーター、フリーランスなど様々な方の懸念について、丁寧に課題を把握しながら、取引環境の整備やインボイス対応のための支援策の充実、さらには新たな税制上の負担軽減措置など、政府一体で連携して、制度の円滑な実施に向けて万全の対応を図ってまいります。
 教育費負担の軽減についてお尋ねがありました。
 子ども・子育て政策は、最も有効な未来への投資です。御指摘の教育費負担の軽減を始め、個々の政策の内容や規模面はもちろんのこと、地域社会や企業の在り方も含めて、社会全体で子ども・子育てを応援するような、社会全体の意識を高め、年齢、性別を問わず皆が参加する、次元の異なる少子化対策を実現したいと考えております。
 今後、まずは、こども政策担当大臣の下、子ども・子育て政策として充実する内容を具体化します。あわせて、高等教育の負担軽減に向けた出世払い型の奨学金制度の導入にも取り組みます。そして、その内容に応じて、財源についても、各種の社会保険との関係、国と地方の役割、高等教育の支援の在り方など様々な工夫をしながら、社会全体でどのように安定的に支えていくかを考えてまいります。
 原子力政策についてお尋ねがありました。
 歴史上初の世界エネルギー危機に直面していると言われる中、エネルギー政策については、いわゆるSプラススリーEの原則の中で、近年は脱炭素に重きを置いて検討を進めてきましたが、これからはエネルギーの安定供給と脱炭素をいかに両立させるかが重要です。
 我が国の低いエネルギー自給率、高い中東依存度、再エネ適地が限られているといった厳しいエネルギー供給の状況を踏まえると、再エネ導入を最優先とし、全国規模での系統整備や海底直流送電の整備などを加速した上で、原子力を含めたあらゆるエネルギー源の活用を進める必要があります。
 原子力については、安全神話に陥ってしまった東京電力福島第一原子力発電所事故の反省を踏まえ、いかなる場合もゼロリスクはないとの認識に立ち、安全性の確保を最優先として取り組んでまいります。
 その上で、年末に示したGXに向けた基本方針では、既存の原子力発電所の再稼働や、廃止決定した炉の次世代革新炉への建て替えを進めるとともに、運転期間について最長で六十年に制限するという現行制度の枠組みを維持した上で、一定の停止期間に限って除外を認めるということ、また、最終処分を含めたバックエンドに政府を挙げて全力で取り組むこと、これらを盛り込んだところです。なお、運転期間の延長を行うか否かにかかわらず、高経年化を含めた安全性に関する原子力規制委員会の厳しい審査を経て、認可を受けなければ運転できないことには変わりはありません。
 この基本方針は、政府・与党において一年以上にわたる丁寧なプロセスを経て示したものであり、進め方に問題があったと考えてはおりません。国会では、関連予算、関連法案に関する活発な論戦を通じて、国民の皆様への説明を徹底してまいります。
 国家安全保障戦略等の決定の在り方についてお尋ねがありました。
 三文書については、国家安全保障会議四大臣会合、有識者会議、与党ワーキングチームなどで活発な議論を積み重ねてきました。その集大成として、政権与党としての方針を三文書の閣議決定の形でお示しをしました。議院内閣制の下では政権与党が国政を預かっており、まずは政府・与党において、一年以上にわたる丁寧なプロセスを経て方針を決定いたしました。
 この政府・与党の決定を踏まえて今国会に令和五年度予算案を提出しており、与野党との活発な国会議論を行ってまいります。それによって、更に国民の皆様への丁寧な説明を行ってまいります。
 そして、米国に対しては日本の現状について説明をしたものであり、国会と米国への説明の順序が逆や、民主主義を無視したということはないと考えております。
 反撃能力と憲法の関係についてお尋ねがありました。
 政府としては、従来から、一九五六年の政府見解で述べたような措置を行うことは法理上可能であり、そうである以上、そのための必要最小限の能力を保持することも法理上許されると繰り返し答弁しております。したがって、反撃能力に活用する装備について、憲法上の観点から認められないものとは考えておらず、今般、憲法解釈を変更したということはありません。
 その上で、近年、我が国周辺では、ミサイル関連技術と運用能力が飛躍的に向上し、質、量共にミサイル戦力が著しく増強される中、既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することは難しくなりつつあるという現実があります。
 これを踏まえて、弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合に、武力行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限の防衛措置として行使するものであり、こうした考えに基づいて反撃能力の保有を決定したところです。
 防衛力強化の内容と専守防衛の関係についてお尋ねがありました。
 防衛費の規模については、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるか、極めて現実的なシミュレーションを行い、必要となる防衛力の内容を積み上げ、導き出したものです。
 また、反撃能力は、弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合に、武力行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限の自衛の措置として行使するものです。
 これらは、憲法及び国際法の範囲内で行うものであり、専守防衛の考え方は堅持をいたします。また、あくまで国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要となるものです。他国に脅威を与えるような軍事大国になろうとしているわけではなく、専守防衛を完全に投げ捨てているものでもありません。
 反撃能力の目的及び沖縄県における反対の声についてお尋ねがありました。
 そもそも、反撃能力は、相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力となるものです。お尋ねのような、日本を米国の戦争に巻き込み、国土を廃墟と化すものではなく、むしろ、武力攻撃そのものの可能性を低下させることができるものであると考えております。
 一方で、反撃能力に活用する地上配備スタンドオフ防衛能力の具体的な配備先は決定しておりませんが、南西地域の防衛体制を強化することは今回の防衛力強化の柱の一つです。三文書の考え方について丁寧に沖縄県に説明していくこと、これも重要であると考えます。
 統合防空ミサイル防衛能力についてお尋ねがありました。
 国家防衛戦略においては、統合防空ミサイル防衛能力を強化し、我が国に対するミサイル攻撃については、ミサイル防衛システムを用いて迎撃しつつ、反撃能力を持つことにより、ミサイル防衛と相まってミサイル攻撃そのものを抑止していくこととしております。
 その上で、自衛隊及び米軍は各々独立した指揮系統に従って行動し、かつ、自衛隊は憲法、国際法、国内法に従って行動することから、米軍が先制攻撃で戦争を開始したら自衛隊も一体で戦うとか、自衛隊の指揮下で自衛隊が参戦することになるということはありません。
 防衛力強化の財源についてお尋ねがありました。
 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙するため、新たな国家安全保障戦略等の策定を通じて防衛力の抜本的強化を具体化し、将来にわたって維持強化していくことで、国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜いていく決意です。
 このために、令和九年度以降、裏づけとなる毎年度約四兆円のしっかりとした財源が必要ですが、これを歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保、税制措置などによりしっかりと確保していく考えです。
 その際、歳出改革は社会保障関係費以外の経費を対象としており、社会保障大削減の危機といった御指摘は当たりません。また、税制措置について、国民の負担感をできるだけ抑える観点から、個人、法人への影響に最大限配慮する仕組みにするとともに、政府として、コロナ禍や物価高などに機動的に対応しつつ、経済再生と財政健全化の両立に取り組む所存であり、軍事栄えて民滅ぶといった指摘も当たりません。
 なお、防衛関係費を建設公債の発行対象経費として整理したことについては、新たな国家安全保障戦略等において、防衛力の抜本的強化を補完する取組として防衛省と海上保安庁の連携や公共インフラ等が明確に位置づけられた中で、海上保安庁の船舶や空港、港湾等の公共インフラ整備が建設国債の発行対象であることを踏まえて、安全保障に係る経費全体で整合的な考え方を取る観点から、防衛省・自衛隊の施設整備や艦船建造に係る経費四千三百四十三億円について同様に建設公債の発行対象とする、こうした整理を行うことといたしました。
 インド太平洋に関するASEANアウトルック、AOIPへの支持と日米同盟の抑止力、対処力の強化の関係についてお尋ねがありました。
 我が国は、自由で開かれたインド太平洋、FOIPと本質的な原則を共有するAOIPを一貫して強く支持し、地域の平和と繁栄のための協力を進めています。
 そして、先般の日米首脳会談においては、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化していくとの決意を新たにし、同時に、引き続きAOIPを支持していくことで一致をいたしました。
 これらは互いに矛盾するものではなく、日米同盟の抑止力、対処力を強化することで、厳しさを増す地域の安全保障上の課題に的確に対応し、自由で開かれたインド太平洋地域を擁護していくとともに、AOIPに示されているような地域の平和と繁栄の確保と増進に向けた取組を日米が共に推進していく、こうした考えを示したものであります。(拍手)

発言情報

speech_id: 121105254X00320230126_014

発言者: 岸田文雄

speaker_id: 6324

日付: 2023-01-26

院: 衆議院

会議名: 本会議