青柳仁士の発言 (本会議)
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○青柳仁士君 日本維新の会の青柳仁士です。
私は、ただいま議題となりました令和五年度一般会計予算三案について、会派を代表して、反対の立場から討論いたします。(拍手)
まず、反対の最大の理由であり、背景にあるのは、身を切る改革を進めることなく、負担を国民に押しつけ、将来世代に先送りし続ける自民党政権の財政運営の基本姿勢に、いささかの反省も変化も見られないことです。その最たる例が、岸田総理が突き進む防衛増税、増税路線です。
一月三十一日の予算委員会において、岸田総理は、防衛費増額の財源として、所得税、法人税、たばこ税の年間一兆円の増税を行うことを明言しました。これに対し、我が党は委員会質疑を通して度重なり撤回を求めてまいりましたが、岸田総理が聞く力を発揮する場面は最後までありませんでした。
政府・与党は、この増税について、深刻化する昨今の国際情勢を鑑み、防衛費の拡充は不可欠であり、その財源を得るために仕方がないものだ、このように説明しています。しかし、これは国民を欺く詭弁であると言わざるを得ません。
防衛費増額に必要な予算額四兆円のうち、三兆円までは増税なしで確保することが既にできています。今回の一兆円の増税が必要なのは、防衛費増額の規模が四兆円だからであり、仮に三兆円以下であったなら増税は必要ありません。つまり、防衛費を増額するために増税が絶対に必要なわけではないのです。
裏を返せば、増税以外の手段でもう一兆円の財源を確保できれば、増税は必要ないということです。この点は自民党内からも同様の意見があり、検証の動きがあるようです。しかし、結局のところ、岸田政権の増税路線には寸分の変更もありません。結果に影響しないのであれば何の意味もなく、結局は国民向けのパフォーマンスであると断じざるを得ません。
検証するまでもなく、この一兆円の財源が増税以外で確保できることは、予算委員会の質疑の中でも明らかになっています。
例えば、毎年、政府は大量の予算を使い残しています。去年は六・三兆円、おととしは三・九兆円です。これだけでも増税額の十年分になります。また、それ以前の十年間を見ると、毎年一・四兆円から二・八兆円の予算を使い残しています。増税が必要な一兆円を優に超える予算が、毎年、安定的に余っているんです。
なお、委員会では、他会派より、増税以外で財源を得るには何か具体的に削るべきものが必要との意見もありました。歳出削減は重要であり、徹底的に行うべきことは、これまで我が党も主張し続けてきたとおりです。しかし、国債発行でも歳出削減でもなく、増税相当額の予算が余っている中で、それらが存在しないかのように財源論を語ることは、財政の全体を見た上での地に足の着いた現実的な議論とは言えません。
そもそも、令和四年度の補正予算で、税収は年間で三兆円増えています。本来は、こうした経済成長による増収こそ真の安定財源ではないのですか。
これに対し、経済成長はその時々の景気の状況によるので安定財源ではないという反論が財務省からありました。これは、政権を預かる政府・与党として正しい認識でしょうか。
日本以外の各国では、経済成長とそれに伴う税収の増加が安定的に起きています。一九九三年からの三十年間で、欧州各国の経済規模は約二倍になりました。アメリカとカナダは三倍を超えました。韓国は四倍以上、中国は二十八倍です。この間、日本はたったの一・一倍です。三十年前とほとんど経済規模が変わっていません。安定的に成長していないのは日本だけなんです。
そして、この三十年間のほとんどの期間、政権を担っていたのは自民党です。岸田政権の新しい資本主義のように、看板を何度もかけ替えながら幾度となく成長戦略を出し続け、毎年毎年何十兆円もの大量の税金を使い続けておきながら安定的な経済成長を起こせていないのは、自民党の政権運営が悪いからです。民間企業であれば、そんな経営陣はとっくに全員首になっています。この期に及んで経済成長を安定的に起こす自信がないというのなら、今すぐ政権を返上するのが真に国民と国家のためではないでしょうか。
加えて、新型コロナの対策費が令和二年度と三年度だけで百十四兆円計上されています。今年の五月八日以降、新型コロナの感染症カテゴリーが二類相当から五類に変更されれば、緊急事態宣言等の行動制限はできなくなり、内閣府、総務省、経産省、国交省、厚労省等に積まれた大量の新型コロナ予算が不要になります。増税が必要な額の何と百十四年分という途方もない額です。
政府・与党が多用する、安定財源だから増税が必要であるという説明もうそです。鈴木財務大臣が答弁の中で認めたとおり、財務省は歳入と歳出を突き合わせた予算管理などしていません。来年度の当初予算では、歳入のうち国債、すなわち非安定財源が三割を占めている一方で、国債関連経費以外の歳出のほぼ全てが安定財源の必要な恒久的支出です。子ども・子育て政策や地方創生など、誰がどう考えても安定財源でなければならない予算は増税なしで出すにもかかわらず、防衛費だけは増税が必要という政府・与党の説明は、完全に論理が破綻しています。
さらに、岸田総理は、今回の増税は現行の家計の所得及び法人の九四%には全く影響が出ないと繰り返し答弁しました。しかし、鈴木財務大臣は、増税される復興特別所得税について、支払いが終了する期限年以降も負担が継続するという意味においては、今までになかった負担を国民にお願いすることになると真逆の見解を答弁で述べました。
当たり前です。国民が今払っている税金が継続するだけなら負担はないなどというのは、傲慢な政治家の感覚であり、取る側の論理です。そもそも、払わないでいいお金は一円も払いたくないというのが当然の国民感覚です。
法人税についても、約十六万社が徴税の対象になります。これは、全ての上場企業と多くの中堅企業が含まれます。総理が賃上げを期待する中心的な企業群です。日本商工会議所と東京商工会議所からは、今回の増税措置は企業の前向きな賃上げや投資意欲に水を差しかねないという会頭のコメントも寄せられています。また、昨年の政府の経済対策では、物価高対策には価格転嫁が必要であるとされていますが、大企業や中堅企業から資金力を奪えば、下請となる中小企業への価格転嫁は当然起きにくくなります。
岸田政権の突き進む増税とは、国民の将来の家計収入を取り上げ、企業の賃上げを抑え込み、中小企業の取引先が値上げを受け入れるための原資を年間一兆円分奪うものです。現行の家計の所得及び法人の九四%には全く影響が出ないなどという岸田総理の認識は、事実でもなければ、国民や中小企業の実感からもかけ離れています。
改めて、今回の一兆円の増税は撤回すべきです。予算委員会全体を通して、こうした我が党からの指摘に対して、政府・与党からは答弁になっていない同じ説明が繰り返されるばかりで、何一つ論理的な反論はありませんでした。それにもかかわらず、何の修正もなく予定どおりの増税へと突き進む岸田政権の傲慢な態度は、国権の最高機関たる国会、そして主権者たる国民の民意を余りにも軽視していると言わざるを得ません。
その一方で、我が党が繰り返し求めている議員定数、議員歳費の削減や調査研究広報滞在費の改革など、国会議員の身を切る改革は進捗がほとんど見られません。新たな財源を考える際、自らの身分やそれを支える既得権の利益は守り、国民負担を先に考えるという発想は、どの角度から見ても間違っています。
こうした自民党政権の財政運営が長年続く中で、我が国の財政規律は末期的状況に陥っています。そして、更なる劣化に歯止めがかからない状況です。令和五年度の一般会計予算においても、主に次の四つの点においてその問題が表面化していると考えています。
第一に、歳出と国債発行の規模が無制限に拡大し続けています。今回の予算は一般会計予算として過去最大です。歳出規模は増加の一途をたどり、毎年、過去最大を更新し続けています。歳出の三割を借金に頼る状態が常態化しているにもかかわらず、税収の自然増分に見合う国債発行削減すら行われておらず、今年度から不要になる予算額も過小に見積もられています。
第二に、当初予算が少なく、補正予算が過度に膨張する傾向が続いています。例えば、昨年度の経済産業省の予算は、当初一・二兆円に対し、補正は十二兆円、約十倍です。財政法二十九条によれば、補正予算とは、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出に限り認められます。当初予算の十倍の予算が事後に発覚した緊要な予算であるなどという説明は、常識的に考えられません。法文の解釈として許される範囲を明らかに逸脱しています。
第三に、本来は特例的な予算である予備費が、令和二年度を境にそれまでの十倍から二十倍の規模に急増し、無制限に拡大し続けています。令和五年度予算では当初から五兆円計上されており、たがの外れた巨大予備費の既成事実化に更なる拍車がかかっています。
最後に、三十年間経済成長が停滞している日本において、再び成長力を呼び起こすための戦略性を持った予算づけがなされていません。少子化対策やGXなど看板施策の名をかりた不要不急のびほう策への支出ばかりで、既得権へのばらまき優先の予算積み上げが続いています。
個別の予算づけでは、岸田総理は異次元の少子化対策を打ち出しながら、どこにも異次元の子ども・子育て予算は見当たりません。日本の将来世代への財政支出は、先進諸国の中で最低レベルにとどまっています。日本維新の会が立憲民主党と議員立法を提出した児童手当の所得制限撤廃や、教育無償化の全国展開など、かけ声だけでなく、具体的な予算措置が不可欠です。
また、岸田政権が成長戦略の柱に掲げるGXも中途半端です。世界的なエネルギーコストの高騰により、今後、電気料金の大幅値上げが予定されています。その後も収束の見込みは立っていません。短期的な政府による価格対策も十分でない上に、中長期的なエネルギー安定供給のための抜本改革やそのための投資は、本予算案のどこにも見当たりません。
以上述べてきた問題点を取りまとめ、我が党は令和五年度一般会計予算三案の編成組替えを求めましたが、与党は一顧だにすることもなく反対し、動議は否決されました。
日本維新の会は、国民と国家の利益を最優先に考え、政府・与党に対して、必ずしも反対ばかりではなく、是々非々で臨む政党です。しかし、どこまで是の部分を大きく見積もっても賛成しようがないのが今回の予算案であり、現在の自民党の財政運営であると考えています。
イギリスの政治家、歴史家ジョン・アクトンは、権力は腐敗する、絶対的権力は絶対的に腐敗すると言いました。
自民党は、長期政権とそれがもたらす絶対的権力に芯までつかり、既得権のしがらみや古い政治の体質がしみついて構造的な欠陥を抱えるようになり、国民と国家にとって合理的に考えて正しいことを素直に実行できない政党になってしまっていると感じます。今回の予算案にはそのことがよく表れています。
日本維新の会は政権政党を目指しています。しかし、その目指す姿は、今の自民党とはほど遠いものです。我々が目指すのは、既得権を持つ団体や組織ではなく広く一般の国民と感覚を共有し、時代に即した改革を勇敢に実行し、真に安全で豊かで持続可能な国家と国民の暮らしをもたらすことのできる新しい政権政党です。
我が党は、こうした志を共にする政治家とは是々非々の政策ベースで連携をしながら、これからも正々堂々と自民党、岸田政権と対決していくことをお誓い申し上げ、令和五年度一般会計予算三案に対する反対討論とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)