阿部司の発言 (本会議)
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○阿部司君 日本維新の会、阿部司です。
私は、党を代表して、新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係閣僚に質問いたします。(拍手)
三年を超えた新型コロナウイルスへの危機対応も、大きな転換点に入りました。五月八日には、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、危険度の高い二類相当から、季節性インフルエンザと同じ五類に引き下げられます。
本当に暗く長いトンネルでした。とはいえ、まだ完全には抜け出せるわけではありません。何より重要なのは、これから先の体制を遺漏なく構築することであります。
三年余りのコロナ禍では、行政が医療体制の拡充を呼びかけながら、実際には病床の逼迫は繰り返されました。医療品の備蓄の必要性は過去に何度も指摘されてきましたが、これも準備不足が露呈しました。重大な瑕疵や問題点を挙げれば切りがなく、日本の感染症対策は脆弱だったと言わざるを得ません。
新たな感染症危機に備え、行政の体制や組織を強化することを目的とした本法案は、我が国の感染症対策におけるあまたの構造的課題の抜本的解決につながるものでなければなりません。組織を見直すといっても、看板のかけ替えに終わっては本末転倒であります。
そこで、以下、総理にお尋ねします。
政府は、各省庁の感染症危機への対応を統括し、司令塔機能を強化する組織として、内閣官房に内閣感染症危機管理統括庁を設置するとしています。現時点でも内閣官房の新型コロナウイルス等感染症対策推進室が感染症対応の事務を担っていますが、現行制度のどのような点に問題があると認識されているのですか。また、統括庁を新設することで、具体的にどのような改善が図れるとお考えでしょうか。
総理は、一昨年の自民党総裁選で、感染症対応を一元的に担う健康危機管理庁の創設を掲げられました。当時の構想では、内閣府の常設組織として設置し、担当大臣も設けるということでしたが、どのような理由で本法案における統括庁の形にしたのでしょうか。健康危機管理庁創設に向けての過渡的な措置なのでしょうか。
今回の法改正は、新型コロナ感染症対応に関する有識者会議が行った検証の報告書を踏まえたものだと説明されていますが、政府として、どのように総括、本法案の提出に至ったのでしょうか。私は、昨年の有識者会議報告書が求めているように、更なる検証を実施していく必要があると考えていますが、併せて見解をお伺いいたします。
また、感染症危機への対応については、国、地方を通じて迅速に措置を講じなければなりませんが、市町村等の実情に応じて求められる対応が異なる場合など、現場の裁量に委ねるべきものもあります。
現行は、政府の危機管理は、内閣危機管理監の下、いわゆる事態室が担っています。感染症に関する危機対応が統括庁に移管されますが、事態室との連携をどのように図っていく方針ですか。また、生物化学兵器の使用など感染症に係るテロが起きた場合、統括庁はどのように対応すると想定しているのでしょうか。
感染拡大とそれに伴う行動制限は社会経済活動に大きな影響を及ぼすことから、医療、公衆衛生分野の視点だけに偏らないような意思決定の仕組みを構築する必要があると考えますが、有識者で構成されるインフルエンザ等対策推進会議と統括庁はどのように対応していく方針でしょうか。
政府は、統括庁に加え、医学的な見地から専門家の助言を得るため、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合し、国立健康危機管理研究機構を設立する方針で、改めて関連法案を提出すると伺っています。
米国では、強力な権限を持ったCDCが、膨大なデータを基に新型コロナの感染症対策を主導しましたが、日本の国立感染研は、ウイルスの分析などでは一定の力を発揮したものの、科学的知見を政策に反映させるための提案能力は乏しかったと言わざるを得ません。
この新たな研究機構は日本版CDCと言えるほどの権限と能力を備えたものとすべきと思いますが、統括庁と研究機構の連携体制はどのように構築していくお考えでしょうか。
平成十三年一月の省庁再編、いわゆる橋本行革により一府十二省庁の現行体制になってから、二十二年が経過しました。この間、省庁の編成は維持される一方、異なる省庁に横串を刺すという名目の下で、内閣の総合戦略機能を担う内閣官房は肥大化を続け、推進室や本部、会議といった新たな部署は、現在、四十近く存在しています。
今般、新たに統括庁を発足させるのであれば、緊急性が低くなった業務を見直し、整理してしかるべきではないでしょうか。
平成二十七年に制定された、いわゆる内閣官房・内閣府業務見直し法によって、内閣官房の五つの事務が内閣府に移管、一元化され、内閣府の九つの事務は各省等に移管されました。この法律の衆議院附帯決議では、内閣官房、内閣府の業務について、施行後三年を目途とした見直し規定が置かれました。しかし、施行から七年が経過したのに、政府は見直しに動いていません。明らかに怠慢です。
総理、お得意の、検討するという答弁は必要ありません。内閣官房と内閣府の業務を適正な規模にすべく、直ちに改革に着手するとお約束いただけないでしょうか。
現行では、内閣総理大臣が都道府県知事や各省庁などの行政機関に適切な対応を急がせる指示権を行使できるのは、行動制限がかかる緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置の期間に限られていますが、新型コロナ禍では感染蔓延時に医師、看護師などの医療人材や病床確保などに手間取り、初動が遅れるケースが多々ありました。
緊急事態宣言及び蔓延防止等重点措置時において、事業者等に対する要請等の実効性を確保するために、事業者に命令を発出する際の、特に必要があると認めるときを法令上明確化するとしています。具体的にどのような内容を想定しているのでしょうか。
新型インフル特措法第五十条の物資、資材の供給要請など、緊急事態宣言下のみ適用される規定は幾つもありますが、これらは政府対策本部の設置後から対応できるようにする必要はありませんか。お答えください。
また、地方公共団体は新型インフルエンザ等の発生時に実施する措置について特例的に地方債を起債できるとしていますが、起債の対象については、具体的にどのようなものを想定しているのでしょうか。例えば、事業者への協力金の支給や地域活性化のための経済対策は対象に含まれるのでしょうか。当該地方債を財源に充てた措置について、政府として法令上の適合性や効果などの検証は行うのでしょうか。
さて、日本維新の会は、社会経済活動と医療体制の両立を促すべく、昨年一月のコロナ対策に関する提言などで、五類感染症への早期移行を繰り返し訴えてまいりました。前国会での改正感染症法成立に当たっては、我が党の主導で、新型コロナの法的な位置づけの見直しを速やかに検討することが附則に盛り込まれました。かくして実現する形となりましたが、政府の決定は一年遅かったと指摘せざるを得ません。
なぜ日本維新の会が五類への早期移行を強く主張してきたのか。それは、現在の新型コロナウイルス感染症は、かかりつけ医を中心とした地域包括ケアシステムで対応すべき疾患と考えるからです。
以下、厚生労働大臣に質問します。
政府は、新型コロナの五類感染症への位置づけを奇貨として、あるべき日本の医療提供体制の構築に向けての議論を進めていくことが不可欠です。具体的には、新型コロナ流行期におけるかかりつけ医の役割や医師の応招義務の在り方、保健所を中心とした管理体制の見直しなど、ウィズコロナ下におけるあるべき地域包括ケアシステムについて議論を進めていくべきと考えますが、見解を求めます。
この際、業務が多岐広範にわたる保健所の体制を見直すことも必要と考えます。保健所の感染症部門については、設置自治体である都道府県の指定病院に集約すれば、感染対策における都道府県知事の指揮命令機能が実効性を増すと思料しますが、認識をお示しください。
五類への移行後は、感染者は発熱外来などに限らず、一般病院や診療所でも受診することができるようになりますが、受入れ実績がない医療機関の忌避感は拭えなかったり、物理的に対応が困難であったりする医療機関もあると指摘されています。一昨年の第五波の頃からは、コロナ病床として確保された病床が使用されず、医療機関が補助金だけを手にする幽霊病床の問題も露呈いたしました。
五類下での医療提供体制の拡充を実現するために、政府は、コロナ患者受診や病床確保のための医療機関への支援について、二類相当下で要件を満たせば支給される補助金を主軸とした体制から、コロナ患者を治療した場合に発生する診療報酬の上乗せによって患者を受け入れる医療機関を拡大、確保していく体制に移行すべきではないでしょうか。所見を伺います。
五類への移行に先立ち、今月十三日からは、マスクの着用が個人の主体的判断に委ねられます。しかし、実際には各業界団体などの判断が優先される場面が想定され、脱マスクをめぐる混乱が社会の分断を深めかねません。
日本国内でなかなかマスクを外せない光景が続いている現状は、落ち込んだインバウンド復興への足かせになったり、子供の成長にとって悪影響を及ぼしたりと、デメリットも少なくありません。政府には、一層丁寧な説明が求められます。
総理にお尋ねします。
ポストコロナの経済復興、需要喚起の機運醸成や教育的観点からも、いま一度、関係省庁が連携して、可能な限り、国民が極力マスクを外せる環境づくりを急ぐべきではないでしょうか。
日本国内のマスク着用については、どのような場面でマスク着用に意義があったのかという科学的な検証結果がほとんど国民には知らされておりません。政府には、こうした検証を政府の責任で行い、その結果を国民に分かりやすく伝え、マスクを外せる明確な基準を策定するよう提案いたします。
最後に、これに対する総理の見解を求め、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕