河西宏一の発言 (本会議)
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○河西宏一君 公明党の河西宏一です。
ただいま議題となりました新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案について、公明党を代表し、質問をいたします。(拍手)
人類が新型コロナウイルスに遭遇し、日本で最初の感染が確認されてから、一千百五十日がたとうとしています。国内の感染者数は累計三千三百万人を超え、七万二千人余りの方がお亡くなりになりました。改めて、心からお見舞いとお悔やみを申し上げます。
この間、我が国は、海外のようなロックダウンを行うことなく、感染拡大防止と社会経済活動の両立、ワクチン接種や検査体制の確立など、国民の皆様に多大なる御協力をいただき、現在も、終息とウィズコロナ社会を目指す途上にあります。
その中で、私たちは、我が国の感染症をめぐる危機管理がいかに脆弱かを痛感いたしました。この反省と教訓の下、本法律案では、内閣官房に、公明党としても一貫して創設を求めてきた、いわゆる縦割りを打破する司令塔である内閣感染症危機管理統括庁を設置するとともに、蔓延防止等重点措置や緊急事態宣言が発せられる前であっても、内閣総理大臣が国の行政機関の長や都道府県知事等に対して指示権を行使することを可能とし、加えて、感染防止のための協力要請に正当な理由なく応じない事業者などに対し、都道府県知事が命令を行う際の勘案事項を政令で定めることとしています。
有事では、やむを得ず指示や命令が必要である点は理解する上で、何より重要なのは、協力要請の中身について国民的合意を得ることであります。そのためには、この三年余り、国民の皆様の深い御理解に支えられてきた新型コロナ対策について、精緻かつ真摯な検証が必要ではないでしょうか。
例えば、飲食店などへの時短要請や個人への外出自粛要請は、どの程度感染拡大を防止したのか。また、行政検査を大きく上回る頻度で行った高齢者施設や障害者施設の集中的検査や社内のモニタリング検査は、二次感染をどの程度防ぐことができたのか。今後、更なる検証を行い、各対策の効果と副作用を可能な限り定量的に国民に示していくことが、次の感染症危機における対策の根拠を強靱にし、ひいては協力要請の説得力、公平性にもつながるものと考えます。
昨年、一定の検証を行った有識者会議の報告書も、今後とも、社会、経済、財政への影響、財源の在り方、施策の効果などについて多面的に検証が行われ、的確に政策が進められることを求めています。
そこで、岸田総理へ伺います。
今後、政府は、従前の新型コロナ対策について更なる検証を行っていくお考えはあるか、また、今後の感染症対策全般のPDCAサイクルをどのように回していくのか、総理の答弁を求めます。
また、本法律案では、市役所や保健所などでクラスターが発生した場合などを想定し、都道府県などによる代行や他の自治体からの応援などについても、蔓延防止等重点措置などが発せられる前から可能とし、対象範囲も感染症法に規定する措置まで拡大するものであります。
ここで忘れてはならないのは、幾ら法律で代行や応援の範囲を拡大しても、必要な人材がいなければ現場は機能しないという点であります。したがって、クラスター対策やワクチン接種を現場で支えた自治体職員や感染症医療に携わった多くの潜在看護師など、有事でしか得られなかった人材と知見は我が国最大の財産と言えます。また、例えば、東京都墨田区などで地域の医師会、薬剤師会、訪問看護ステーションなどが有機的に連携した姿は、地域包括ケアシステムそのものであります。
そこで、新型コロナ対策で得られた知見を最大限生かし、今後の感染症対策に必要な人材を医療、介護や自治体などの各分野において持続的に確保、育成するとともに、五類への移行後も、横断的なネットワークが継続され、より深化するような仕組みづくりが必要であると考えますが、総理の御見解を伺います。
新型コロナは未知のウイルスであったがゆえに、当初、テレビやネットなどには様々な情報があふれ、専門的知見に基づく適切な情報提供や政策判断が大きな課題となりました。
こうした観点から、三年前、公明党は、専門家会議の創設を提案。その後、現在の新型コロナウイルス感染症対策分科会の前身として設置され、専門家が発する情報や助言の意義は国民の皆様も大いに実感されたことと思います。
一方で、政府方針と個々の専門家の発信が時に食い違って国民に伝わるなど、リスクコミュニケーションの在り方にも一定の課題を残しました。
そこで、岸田総理に伺います。
今回新設する統括庁と、新たな専門家組織として検討されている日本版CDC、加えて、厚生労働省の感染症対策部の三者は、どういった役割分担で連携を図り、情報を発信するのか。国民の皆様に分かりやすく御説明をいただきたいと思います。
また、この三つの新組織の連携が問われる最初で最大の局面は、今後いつ来るとも分からない新たな感染症危機への初動対応です。水際対策やクラスター対策などの封じ込めを、いつ、どのレベルで行うのか。社会経済活動への影響を見極めながら、スピード感、発信力、そして説得力が伴った決断と対応が求められます。
これに備えるためには、統括庁が主導して、パンデミックを想定したTTXなど実践的な訓練を平時から行い、人事や体制の変わり目でも揺るがない、危機対応力の構造的な維持強化を図ることが極めて重要だと考えますが、総理のお考えを伺います。
また、次のパンデミックのおそれがあるとして指摘されているのが、抗菌薬の効かない薬剤耐性菌による感染症です。有効な対策を取らなければ二〇五〇年には世界で年間一千万人が命を落とすとの指摘もあり、新型コロナ感染症で亡くなった累計六百八十七万人をも大きく上回る推計です。先週二月二十八日、公明党のグローバルヘルス推進委員会としても、対策を政府へ申し入れたところです。
この薬剤耐性菌への対応は、統括庁が日本版CDCと緊密に連携し、速やかに取り組むべき課題だと考えますが、今後の方針について、総理に伺います。
コロナ禍は、公的給付の支給スピード、保健所のICT化、ワクチン関連のシステム、接触確認アプリなど、デジタル化をめぐる多くの課題を突きつけました。例えば、有識者会議でも指摘されたとおり、ワクチンの追加接種の間隔を短縮した際、自治体による紙の接種券の送付が間に合わず、到着のタイミングで接種時期が左右されたことは、デジタル化の遅れが国民の命に直結するおそれのあった事態でもありました。
こうした教訓を踏まえ、統括庁は、デジタル庁と連携し、感染症対応のデジタル化について、国民に対し明確に工程表を示し、着実に取り組むべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。
最後に、障害者などへ配慮した感染症対策について伺います。
緊急性が求められた今回の新型コロナ対策は、あらゆるオペレーションが健常者前提で進みがちでした。例えば、ワクチン接種券も点字の封筒で送付されるか否かは、自治体によって対応が分かれました。しかし、この点は有識者会議の報告書でも触れられておらず、十分に検証されたとは言い難い状況です。
感染症対策は、ひとしく国民の命を守る政策です。デジタル化も含め、障害者や高齢者など、誰かが取り残されるような仕組みであっては断じてなりません。この点も十分に踏まえた統括庁の司令塔機能の在り方について、総理の答弁を求め、質問を終わります。
御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕