一谷勇一郎の発言 (本会議)
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○一谷勇一郎君 日本維新の会の一谷勇一郎です。
党を代表し、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
近代世界の発展は、工業分野で始まった技術革命が運輸、交通分野に波及し、人や物の大量輸送への道を開いた交通革命があってこそ実現したと歴史家が指摘しています。
日本も例外ではありません。明治五年に新橋―横浜間で初の鉄道が開通したことを皮切りに、百五十年を経た今に至るまで、様々な公共交通機関が人と物をまさに日本経済の血流のように全国に行き渡らせ、長きにわたる経済発展を支えてきました。
しかし、近年は、地方部から都市部への人口移動が加速し、その都市部でも人口減少局面に入りつつある現状で、長期的な視野の政策が整えられてこなかったことにより、日本経済を支えてきた公共交通機関は崩壊寸前の危機的状況に陥っています。
私はタクシーをしばしば利用しますが、ここ二年ほど、自分自身より若い世代であろう運転手さんにお会いしたことがありません。タクシーのみならずバスも運転手の高齢化に加え、コロナ禍による需要の減少によって、多くの企業と運転手が廃業を余儀なくされ、供給不足に陥っています。
一方、地方の鉄道では、多くの不採算路線が維持できるか否かの瀬戸際に立たされています。
団塊の世代が七十五歳を迎える二〇二五年以降、自家用車の利用は更に減り、足の便を公共交通機関に頼られる方々の数は更に増えていくと予想されます。
今こそ公共交通機関の再生に向けて動き出さなければ、日本社会は、交通手段を失った地方から、血流が十分に届かない手足のように次第に壊死していくおそれがあります。経済活動を滞らせず活性化するために、国として地域の公共交通機関をいかに維持していくのか、明確な処方箋と指針を示す必要があります。
その上で、国土交通大臣にお伺いします。
我が国の地域交通の現状及びこれまでの地域交通に対する政策の効果について、それぞれどのように評価されていますか。人口減少やコロナ禍によるテレワークなどの行動変容により、公共交通の需要の更なる変化や減少を迎えると見込まれる中、地域公共交通の在り方や公共交通への支援の方策について、どのような長期ビジョンを描いていらっしゃいますか。
地域公共交通対策の課題の一つは、この分野に関する知識を持つ専門家が極めて少ないことです。その第一人者で国土交通省の様々な検討会等に参加しておられる名古屋大学の加藤博和教授によれば、この領域に関して見識を持ち、適切な分析や提案をできる方は、全国でも二十人前後にすぎないそうです。政府として、このような状況をどのように受け止めていますか。
人口減少期における地方の公共機関の維持整備については、いまだ経験した国がありません。一般企業のこれまでの経験や知識だけでは適切な戦略を立てることは難しいと思料しますが、政府として何らかの対策を講じていくお考えはありますか。併せて国交大臣に答弁を求めます。
総じて、地域鉄道や地域の路線バスの乗客数は減少傾向にあり、多くの事業者が赤字経営にあえぐとともに、地域鉄道の廃線、路線バスの廃止が続くなど、地方自治体の公共交通機関は継続が難しい局面にあります。現行の地域公共交通の活性化及び再生に関する法律がこれまで果たしてきた役割及び同法に基づく地域での取組について、政府としてどのように総括されていますか。その総括を今回の本法律案に具体的にどのように反映させたのですか。いずれも国交大臣に伺います。
現在でも、平時の輸送密度が一日当たり千人未満の鉄道路線については特定線区再構築協議会を設置し、その路線の在り方について議論することになっていますが、そもそも、そこに専門知識を持つ方を同席させようとしても、その数は圧倒的に不足しています。
国交省の平成二十八年度地域公共交通に関する全国的な現況把握のための調査によれば、平成二十七年度で地域公共交通専任担当者数が一人もいない市町村は七七・四%で、全体の四分の三を超えています。
国交大臣に質問します。
実際に公共交通機関を運営する地方の現場と国をつなぎ、国の方針を各自治体での交通機関運営戦略に落とし込むことができる専門家がいないのも大きな課題となると考えます。人口が少ない地方公共団体ほど専任担当者が少なくなる傾向にあり、より交通事情が厳しくなるであろう自治体こそが人材不足になっていると見受けられますが、どのように認識されていますか。今後、地域公共交通を担う地方公共団体の人材の育成、確保のために政府として具体的にいかなる支援策を講じていくお考えですか。
現場の実情を分かりやすく数字で示すための調査も十分な精度では行われておらず、現状では、運賃収入総額や乗務員による僅か数日間の目視による乗降客数の計測などにとどまっています。概算であっても、乗客のより細かなデータを収集する仕組みづくりを国が音頭を取って行う必要があると考えますが、いかがですか。明確な答弁を求めます。
幸い、私たちは、デジタルデータの収集と活用が極めて容易になった時代を生きております。目視やアンケートなど全体像が見えない情報ではなく、国が輸送ニーズの情報をデジタルで収集するシステムや機材の開発に取り組み、DXを通じた輸送ニーズの可視化を先導し、地域自治体もその技術を利用しやすくしていくような取組が不可欠と考えますが、見解を伺います。
自治体がより現状に即した公共交通機関の運営戦略を構築するために、国交省に地方公共交通機関対策チームをつくり、各自治体との間をつなぎ、現場の実情を反映した戦略づくりを支援する専門家を育てていくべきではないですか。自治体にたまたま熱意があふれる首長と能力を備えた担当者がいるかどうかでその自治体の公共交通の未来が決まるような現状では、多くの国民が足を奪われ、地域経済とともに衰えていくことになりませんか。併せて国交大臣の所見を求めます。
第二の課題は、地域自治体の人口動態が変化する中で公共交通を維持するために、交通手段そのものを多様化し、その変化に柔軟に対応できるよう備えていくことです。
諸外国の事例を鑑みれば、鉄道、バス、タクシーなどに加えて、建設コストが少ないライトレール、LRTや、既存の道路や線路敷を利用するために設備投資が少なく済むがバスよりも輸送量が大きく定時性に優れたバス・ラピッド・トランジット、BRT、小規模輸送力の拡大につながるライドシェアなど、新たな交通手段を積極的に導入していくことが欠かせないと考えますが、国交大臣の見解を伺います。
例えばBRTについて、日本では昨年四月の時点で全国にまだ二十八件しか導入事例がありませんが、その一つが私の地元神戸で始まったポートループです。緊急事態宣言解除直後の一昨年十月には利用者が二万人を超えるなど、市民や旅行者などに大いに活用されております。昨年四月には新神戸への延伸も実現しました。
ライドシェアについても、交通網が手薄な地域での救世主の一つとして力を発揮することは疑いの余地がありません。神戸市北区では、地域住民が自家用自動車で運行する淡河町ゾーンバスで地元の方々の足として活用が進んでいます。犯罪の増加などを懸念する声がありますが、ライドシェアが定着している国々では、むしろ利用者からフィードバックが行いやすく、安全で信頼性があると受け止められていると聞いております。
新たなビジネスチャンスの芽を摘むことは地域経済の発展への足かせにもなりますが、いずれも、導入に向けて、国による規制が分厚い壁として立ちはだかっています。
国交大臣に質問します。
こうした分野でも国が規制改革に踏み切らなければ、不作為による障壁を維持していくことになりますが、どのように認識されていますか。地域の公共交通の再生、経済の活性化に向け、LRT、BRT、ライドシェアを導入すべく、今こそ規制の改革に真剣に取り組んでいくと約束していただけませんか。口先だけで改革を唱えていても、真の社会変革はなし得ません。国が規制解除の方針を明確に示すことにより、地方自治体もそれに倣った新たなチャレンジを実践していくことにつながると考えますが、所見をお尋ねします。
将来的には、自動運転車が輸送規模の小さい路線の公共交通を担うことが予想されますが、その間、あるいは、それでは不足する路線をしっかりと埋めていくためにも、また、利用者のより詳細なデータの活用などを通じて柔軟に輸送需要に応えていくためにも、一層広く公共交通手段を利用していくべきだと考えます。
もちろん、前線で安全な操縦を担うドライバーを確保していくことが不可欠です。しかし、現状では、多くのタクシー運転手はコロナ禍の余波で収入が大幅に減り、最低賃金を割り込むケースも少なくないと聞いています。
国交大臣にお尋ねします。
特に過疎化が進む地域において、タクシーは住民の重要な足となります。自治体が公務員としてドライバーを雇用し、地域交通機関の担い手として安定した雇用を保障することも、公共交通機能を維持するための一つの選択肢ではないですか。
平成十八年に路線バスについて導入された協議運賃制度を、今回、鉄道事業にも導入するに至ったいきさつは何ですか。
交通手段が多様化すれば、利用者側にもそれらを柔軟に活用していくことが求められます。そこで必要となるのが、ニーズと様々な移動サービスを組み合わせた、ルートの検索から予約、決済まで一括して支援するモビリティー・アズ・ア・サービス、いわゆるMaaSのシステムです。
国内では複数のMaaSが立ち上がっていますが、範囲や対象などが限られているものも多く、また、臨時運行の実施や遅れ状況といった最新の情報を反映できるものになっていないなど、真にワンストップの交通機関利用支援サービスと言えるものは存在しません。国交省が他省庁と共同で推進しているMaaSシステムのデータ連携などをより強力に推し進めていくことが、公共交通機関の利便性を高めるために重要だと考えます。
また、これらのサービスが利用されればされるほど、交通機関の利用、ニーズに関する統計がより高い解像度で得られることになります。柔軟な交通手段の利用をMaaSによりサポートし、そこから得られたニーズ情報を基に、更に柔軟な交通手段の運用を進めることで、誰も取り残さない公共交通機関の運営により近づいていけるのではないでしょうか。観光地や商業施設などへのアクセスを向上させれば、新たなニーズを創出することもできるはずです。
ニーズの創出を促し、地域の経済社会を活性化させていくためにも、政府がMaaSの導入を主導し、積極的に制度設計に関与していくべきだと思料しますが、国交大臣の見解をお伺いします。
我が国では、地方の過疎化や高齢化の加速が、不採算路線やバス、タクシーの運転手不足を生む大きな要因となってきました。その意味で、首都圏に集中する様々な機能を漸次移転し、地方を活性化させていくことも、こうした課題の解決につながると確信しています。首都圏での災害発生時には、各地方都市が機能の一部を代行すれば、日本の社会経済全体の機能停止を防ぎ、より迅速な復興を実現する基盤にもなります。
地方の公共交通機関の持続可能性を日本の社会経済の持続可能性に結びつけるためにも、こうした地方分権の取組は不可欠と考えますが、最後に国交大臣の所見をお伺いし、私の質問を終わります。
皆様、誠に御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇〕