斉藤鉄夫の発言 (本会議)
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○国務大臣(斉藤鉄夫君) 高橋千鶴子議員から御質問いただきました。
まず、ローカル鉄道の問題に対する政治の責任についてお尋ねがありました。
ローカル鉄道の利用者の大幅な減少については、人口減少や少子化、マイカー利用の普及やライフスタイルの変化など、鉄道事業者の経営努力のみでは避けられない事情が背景にあると考えております。
そのため、鉄道事業者任せにすることなく、自治体が主体的に関わりながら、どのような地域の将来像を実現していこうとしているのか、その中でどのような地域公共交通が必要なのかというビジョンを持った上で、地域公共交通の機能の回復に共に取り組んでいくことが急務となっていると承知しております。
今般の改正法案は、そうした事業者と沿線自治体の連携、協働を国として積極的に促していく観点から提案させていただいているものですが、この中では、人口減少や少子化への対策、国土の在り方等に関する国の政策の方向性との整合性を確保していく必要もあります。
こうした取組の推進に当たっては、当然ながら、政治のリーダーシップも重要になってくると考えております。
次に、JR本州三社などが黒字に転換している点や、国鉄分割・民営化についてお尋ねがありました。
JR本州三社及び九州につきましては、コロナ禍の影響により大幅な赤字を計上いたしましたが、利用状況は改善傾向にあり、令和四年度においては、令和元年度までの水準には及ばないものの、黒字決算を予想しております。
今般の改正法案においても、上場後のJR各社については、JR会社法に基づく大臣指針を遵守し、内部補助も活用して路線を適切に維持することが大前提であり、この考え方に変更はありません。
他方、一部のローカル線については、人口減少やマイカー利用の普及等を背景に、輸送需要の大幅な減少等により、大量輸送機関としての鉄道特性が十分に発揮できない状況が出てきています。
国土交通省としましては、国鉄改革が目的とした鉄道の再生は着実に図られているものと評価しておりますが、その一方で、こうした問題への対応が急務と考え、関係者との連携と協働により、地域公共交通の利便性と持続可能性の向上を図る観点から、今般の法改正を提案させていただいているところです。
次に、貨物路線の取扱い及び脱炭素社会に向けての鉄道利用拡大についてお尋ねがありました。
貨物鉄道輸送は、CO2排出量が営業用トラックに比べて十分の一といった地球環境に優しい大量輸送機関であり、カーボンニュートラルの実現やトラックドライバー不足に対応する観点からも、ますます大きな役割を担っていくことが期待されます。
昨年、国土交通省において開催した地域モビリティー検討会でも、貨物列車が現に走行している線区、災害時や有事において貨物列車が走行する蓋然性が高い線区においては、引き続き、鉄道の維持を図っていくことが強く期待されることが提言されています。
今後、こうした考え方を地域公共交通活性化再生法に基づく基本方針に盛り込み、新たな制度を適切に運用していきたいと考えております。
次に、鉄道路線の廃止についてお尋ねがありました。
鉄道路線の廃止については、鉄道事業法上、一年前までの届出制になっておりますが、これは、平成十一年の鉄道事業法の改正において、需給調整規制を廃止する観点から、鉄道事業の参入について免許制から許可制とされたことに合わせ、退出についても許可制から届出制とされたものです。
他方、先ほど申し上げましたとおり、JR会社法に基づく大臣指針により、上場後のJR各社については、路線の適切な維持のほか、路線を廃止しようとするときは、輸送需要の動向等を関係自治体等に対して十分に説明することが求められており、現に、地域との十分な対話と理解なくして鉄道の廃止の届出が行われた事例はありません。
このように、鉄道事業者が地域と真摯にかつ丁寧に向き合うことが基本であると考えており、引き続き、現行制度を適切に運用してまいりたいと考えております。
欧州における事例と併せ、鉄道のインフラ部分の保有についてお尋ねがありました。
鉄道の運営の形態については、国によって、人口密度や都市構造、国と地方政府の関係等が異なることから、様々な形態が選択されております。
我が国においては、御指摘のとおり、全国的な高速鉄道ネットワークを形成する整備新幹線は鉄道・運輸機構が建設、保有する一方で、地域公共交通を担うローカル鉄道については、上下分離方式を採用する場合、鉄道施設を自治体等が保有する形態が一般的です。
この場合においても、国からの安全対策を始めとする補助金について、補助率のかさ上げにより地方負担の軽減を図っておりますが、今般、社会資本整備総合交付金を活用するとともに、地方交付税措置を拡充するなど、地方負担の更なる軽減を図ってまいりたいと考えております。
次に、国が再構築協議会を組織するに当たっての条件についてお尋ねがありました。
再構築協議会は、沿線自治体又は事業者からの要請に基づき組織するものとしており、沿線自治体又は事業者から要請があった場合、国は、当該要請に係る区間が大量輸送機関としての鉄道の特性を生かした運送サービスの持続可能な提供が困難な状況にあるか、当該区間に係る交通手段再構築を実施するために関係者相互間の連携と協働の促進が特に必要であるかのいずれにも該当すると認める場合、協議会を組織することとしております。
また、協議会設置の通知を受けた者は、沿線自治体を含め、正当な理由がある場合を除き、協議に応じなければならないとしております。
他方、国は、協議会の設置に際しては、沿線自治体の意見を聞かなければならないこととしており、沿線自治体の理解なく協議会が設置され再構築の方針が協議されることは、基本的に想定されません。
いずれにせよ、国としては、協議会を設置する場合には、こうした制度の趣旨を沿線自治体に対してしっかりと説明し、協議会への参加を粘り強く要請してまいります。
次に、再構築協議会での実証事業の実施や再構築方針策定に当たっての鉄道存続の可能性についてお尋ねがありました。
再構築協議会での協議に当たっては、廃止ありき、存続ありきという前提を置かずに議論するものであり、実証事業の実施や再構築方針の策定において、鉄道輸送の利便性向上により輸送需要を回復する内容とすることはあり得ると考えております。
なお、御指摘の私の発言は、協議会の関係者による議論の結果、鉄道として存続する線区が一定数出てくる可能性があるのではないかという趣旨で述べたものでございます。
次に、バス転換が本当に鉄道の代替策になり得るかについてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、地方部における路線バスの経営状況は極めて厳しく、国及び自治体の支援によってサービスを維持している状況であり、また、バスの運転手不足についても喫緊の課題と認識しています。
このため、協議の場においてバスに転換する選択肢が検討される場合には、その運行ルートのほか、国及び自治体、鉄道事業者による持続可能な費用負担の在り方について協議することとなります。また、あわせて、担い手となるバス事業者の経営状況、車両や運転手の確保の見込み等を確認する必要があると考えています。
なお、今般の改正法案では、エリア一括協定運行事業の創設を盛り込んだほか、令和五年度予算案では、社会資本整備総合交付金に新たな基幹事業として地域公共交通再構築事業を追加するなど、バス事業者に対しても、実効性ある支援策を講じることとしています。
こうした対策も踏まえ、あくまで、当該地域と利用者にとってより利便性と持続可能性の高い公共交通の在り方という観点から協議が行われるべきものと考えております。
最後に、協議運賃制度についてお尋ねがありました。
まず、鉄道事業者の運賃については、例えば、JRにおいては、幹線、地方交通線及び電車特定区間などの区分に応じた上限運賃を設定しており、その上限の範囲内において、各社の届出により割引運賃の設定が可能となっております。
今回の協議運賃制度は、地域の関係者の連携と協働の一層の推進を促し、例えば、並行するバスとの共通運賃化を通じて地域公共交通サービスの高度化を実現する等、地域の実情に応じた柔軟な運賃設定を可能にするよう、新たに導入するものでございます。
以上でございます。(拍手)