篠原豪の発言 (本会議)
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○篠原豪君 立憲民主党の篠原豪です。
会派を代表して、安保関連三文書の総理報告について質問させていただきます。(拍手)
政府は、昨年末、安保関連三文書の改定を閣議決定し、平和憲法に基づく、戦後の極めて抑制的な安全保障政策を大きく転換させました。
それは、とりわけ、歴代政権が一貫して保有を見送ってきた、相手国領域を直接攻撃する敵基地攻撃能力、すなわち反撃能力を保有することです。また、長年、対国内総生産、GDP比一%前後にとどめてきた防衛関係費を、防衛力の抜本強化を補完する研究開発、公共インフラの整備などの経費も合わせて、二〇二七年度にGDP比二%となる約十一兆円まで倍増させることに象徴されていると思います。
そこで、反撃能力の保有から伺ってまいります。
存立危機事態における敵基地攻撃についてです。
まず、反撃能力に関して、一番の懸念事項と考えている存立危機事態における行使の問題を取り上げさせていただきます。
総理は、三月六日の予算委員会で、「我が国の存立が脅かされ、そして国民の生命、自由、そして幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること、さらには他に適当な手段がないこと、そして必要最小限度の実力行使にとどまること、この三要件を満たした場合にこの反撃能力も行使する」と答弁をしています。
これは、新戦略においては、日本が直接攻撃されていなくても、集団的自衛権で敵基地攻撃を行うことができると総理が解釈していることを示す答弁であると考えます。
今回の国家防衛戦略には、反撃能力とは、我が国に対する武力攻撃が発生し、その手段として弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合、武力行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として、相手領域において、我が国が有効な反撃を加えることを可能とする、スタンドオフ防衛能力等を活用した自衛隊の能力と定義されていますが、特に、我が国に対する武力攻撃が発生をし、その手段として弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合とは、武力攻撃事態に該当することを、総理、御確認いただけますでしょうか。
他方で、三要件に定める存立危機事態とは、平和安全法制の審議で、当時の中谷防衛大臣が、存立危機事態は我が国に対する武力攻撃を意味する自衛隊法三条一項の直接侵略及び間接侵略のいずれにも当たらないと述べています。このように、我が国に対する武力攻撃の発生に関係した事態ではありません。ですから、存立危機事態は先ほどの反撃能力の定義に該当しないことをお認めいただけますでしょうか。総理にお伺いいたします。
既にお分かりのように、国家安全保障戦略では、反撃能力の行使が可能になるのは、我が国に対する武力攻撃が発生し、その手段として弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合と限定されており、武力攻撃事態以外にあり得ません。つまり、存立危機事態で反撃能力を行使することはできないのです。
そこで、総理におかれては、まず、存立危機事態において反撃能力を行使することはできないことをお認めいただくとともに、また、三要件を満たせば反撃能力の行使が可能とする答弁は意味を成しませんので、今後使わないようにお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
一方で、安倍内閣は、存立危機事態を自衛権の発動を許容する事態とし、当時、中東ホルムズ海峡での戦時の機雷除去を例示いたしていました。しかし、他国領土内にミサイルを撃ち込むことまでは想定していなかったと想像します。
そこで、岸田内閣において、反撃能力を使って、我が国に対する武力攻撃が発生していない存立危機事態に他国領土内にミサイルを撃ち込むことができるとあくまでも主張されるのであれば、我が国に向かってくるミサイルの発射阻止ではないわけですから、何を理由に、何を標的として攻撃するのかを明らかにしてください。
次に、先制攻撃の禁止についてお伺いいたします。
我が国に誘導弾等による攻撃が行われた場合とは、防衛大臣も述べているように、攻撃のおそれがあるにとどまるときではなく、また我が国が現実に被害を受けたときでもなく、他国で我が国に対して武力攻撃に着手したときと解されています。
しかし、多くの論者が指摘しているように、ミサイル発射技術の進歩によって、いつ、どこからミサイルが発射されるのか、事実上、探知不可能な状況において、第一撃を事前に察知し、その攻撃を阻止することは不可能に近く、さらに、ミサイル発射阻止のために敵基地を攻撃することは、事実上、先制攻撃となるおそれがあるとこれまで指摘してきたところであります。そのためか、国家防衛戦略には、ミサイル防衛網により、飛来するミサイルを防ぎつつ、反撃能力は、相手からの更なる武力攻撃を防ぐために保有すると述べられております。
ですから、基本的な認識は我々と実は変わらないと考えます。このことについて、総理の見解をお聞かせください。
他方で、政府は、相手のミサイル発射前でも、攻撃着手を確認すれば、相手領土を攻撃できるとする見解を変えようとしません。その理由は、抑止論だと考えます。
しかし、専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使するという受動的な防衛姿勢に徹することで自らの武力行使の正当性を強調する考え方であり、我が国は、あえてその姿勢を維持することを国策としてきました。であるならば、第一撃を放棄すると宣言して我が国の立場に国際的な正当性を獲得することが、専守防衛にふさわしいと考えます。
そこで、お伺いいたします。
政府は、軍事的合理性だけでなく、判断するのは政治的な正当性も重視するべきと考えますが、この考え方に、総理、御賛同いただけますでしょうか。お伺いいたします。
次に、日米同盟と専守防衛についてです。
もう一つ懸念を抱いているのは、反撃能力を保有することで専守防衛が事実上形骸化してしまう危険性についてです。
まず、一九五六年の二月二十九日の政府見解によって、敵基地攻撃は合憲であるとしながらも、我が国は、政策判断として、こうした能力を持たず、専守防衛に徹することを防衛の基本方針としてきました。これは、日本防衛義務を負う米軍が矛の役割を担い、自衛隊は盾の役割に専念できるという条件にあったことで可能になったことは論をまちません。したがって、日米同盟の盾と矛の役割分担と専守防衛は事実上一体のものであると考えます。
そこで、日米同盟の盾と矛の基本的な役割分担が変わらないのに、なぜ反撃能力の保有が必要となるのでしょうか。お伺いいたします。
また、弾道ミサイル防衛の対処能力の問題は別として、総理は、反撃能力の運用についても日米が協力して対処すると答弁していますが、そもそもなぜ協力する必要があるのか、その理由をお示しください。
我が国が、反撃能力、すなわち敵基地攻撃能力を持てば、日米の役割分担が複雑になることは避けられません。特に、今年一月の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会、2プラス2は、日米の戦略の統合を象徴する節目と考えられ、今後、日米の一体化が進むことで、専守防衛が実質ないがしろにされる可能性は大いにあります。
今回の国家安全保障戦略には、専守防衛堅持の基本的方針は不変と明記されていますが、政府は、何を歯止めとして専守防衛の枠内にとどまっていると考えているのでしょうか。既に指摘させていただいたように、武力行使の三要件は答弁の意味を成しませんので、その用語を用いないで総理にお答えいただきたいと考えますので、よろしくお願いいたします。
日本は、反撃能力による攻撃に着手するために、米国の諜報、偵察、標的設定、損害評価の能力に頼らなければいけません。そのため、新たな指揮統制システムが日米に必要です。そして、その第一歩として、日本側が常設の統合司令部を創設し、日本自らの指揮統制を変え、米軍も、日米の軍事行動の調整が可能となるよう、日本側の統合司令部のカウンターパートになる米軍の司令部を設けることになると考えます。
しかし、米国側は、それにとどまらず、米国との連合司令部をつくることを希望しているようです。アーミテージ氏などは、日米連合部隊を編成することまで踏み込んで主張しています。
そこで、お伺いします。
日本政府が指揮権の独立を損なうこうした意見にくみすることはあり得ないと考えますが、なぜそうした方針を取らないのかについて、総理の確固たる決意とともに、その理由をお示しください。
なお、指揮権の独立を確保しても、日米の一体化が進むことで専守防衛が形骸化される危険性を認識しているのか否か、伺います。認識しているのであれば、どのような問題についてであるのか、想定されるケースをお示しください。
次に、GDP比二%ありきの防衛費増額の問題についてです。
防衛費をGDP比で二%に増額する問題は、オバマ政権時代に、米国の要請を受けて、NATO諸国が二〇二四年までに国防費をGDP比二%に上げる目標を掲げたことに始まりました。日本など、NATO以外の同盟国に米国が数値目標を示したのは、二〇二〇年九月、トランプ政権の国防長官が、国防費をGDP比で少なくとも二%に増やしてほしいと表明したのが最初です。
岸田首相は、防衛力の抜本的強化は、内容、予算、財源をセットで決めると言いながら、昨年五月、バイデン大統領に対し、防衛力の抜本的強化とその裏づけとなる防衛費の大幅な増額を約束し、その直後に決められた夏の参議院選公約に、防衛費の予算をGDP比二%以上とすることも念頭に、五年以内に防衛力を抜本強化すると明記しました。
また、昨年十一月、中期防衛力整備計画における防衛費総額を決めるに当たって、防衛省が四十八兆円を要求し、財務省が査定を基に三十五兆円が妥当として報じられる中で、岸田総理は、安全保障関連経費を加えた防衛費を二〇二七年度にGDP比二%に増額するよう関係閣僚に指示し、四十三兆円の政治決着に誘導しました。
これらは、GDP比二%ありき以外の何物でもないのではないでしょうか。総理の見解を伺います。
次に、FMSの急増についてです。
二〇一九年六月のG20大阪サミットに参加したトランプ大統領は、日米首脳会談の冒頭で、我々は、日本による大量の、米国製の大量の武器購入について協議すると発言しました。このため、安倍首相は、二〇一八年夏から一九年一月にかけて、早期警戒機E2Dを最大九機、F35Aを百五機、イージス・アショアを二基購入を決定し、物件費に占めるFMSの割合を二〇一九年度概算要求で一九%に跳ね上げました。十年前はたった二%です。
しかし、これは過去の話ではありません。防衛省の二〇二三年度予算案でも、FMS契約額が一兆四千七百六十八億円で、前年度の三千七百九十七億円から一兆円以上跳ね上がっています。物件費全体では前年度比二・五倍ですが、FMSでは四倍近くになっています。
これは、大量のFMSを恒常的に受け入れるために防衛費を増額したとしか思えません。まさに米国の要求ありきですが、総理はどのように弁明されるのでしょうか。
以上、国民の命や暮らしを守るために、我が党は、現実的な外交、安全保障を基に、原則的でありながら柔軟に対応していくことをお約束し、質問を終わりたいと思います。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕