三木圭恵の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○三木圭恵君 日本維新の会の三木圭恵です。
私は、党を代表して、国家安全保障戦略始め安保三文書について質問します。(拍手)
世界を取り巻く安全保障環境は、ロシアのウクライナ侵略によって激変しました。わけても、我が国は、そのロシアに加え、力に任せて現状変更に動く中国、核・ミサイル開発に突き進む北朝鮮という、いずれも核を持つ三国を隣に抱え、トリプル危機の最前線にあります。
事異例の三期目に入った習近平国家主席体制下の中国は、台湾侵攻の野望をあらわにし、近い将来の台湾有事、すなわち日本有事は限りなく現実味を帯びつつあります。我が国は戦後最大の危機に瀕しており、なすべきは、将来世代を二度と戦争の惨禍に遭わせないための強固な抑止力を保持することです。
昨年末の三文書の閣議決定に先立ち、我が党は、岸田総理に提言書をお渡ししました。私たちの提案を三文書に広く反映していただいたことを深謝いたします。
しかしながら、率直に言って、二歩も三歩も踏み込みが足りません。自衛のための必要最小限度の解釈の見直しや核共有の議論開始など、抑止力強化の肝が抜け落ちているのです。今後の具体的な防衛力整備も同様です。抑止力にならない見せかけの反撃能力ならば、全く意味はありません。
また、必要な防衛費について、対GDP比一%の壁を取り払い大幅に増額させることは当然の措置として我が党は賛成していますが、その財源の一部を増税に頼ることには断固反対であるとここで改めて強調させていただきます。
それでは、質問に入ります。
まず、必要最小限度の考え方についてお伺いいたします。
防衛の様態、範囲は、相手の攻撃力によって変化します。敵国がミサイルを千発持っていれば、守る側はそれ以上を保有していなければ対抗できません。つまり、必要最小限度というのは、その時々によって変わるものだと考えます。
その意味で、我が国がわざわざ、必要最小限度しか防衛のための装備を持たず、実力も行使しないと宣言することは、まさに敵に塩を送るに等しい愚策であります。仮に敵国が攻撃力をいかほど持ち合わせているか隠したり小さく見せたりすれば、我が国の防衛力を低下させることが可能となり、侵略を誘発する方向に作用します。どうぞ、攻めてきてくださいと言っているようなものです。日本以外に、こんな国が一体世界のどこにあるのでしょうか。
必要最小限度という過度な自己規制で縛っていることは、根本的に我が国の防衛にとって不利になるのではないですか。悪意ある敵国に対して、抑止力として十分通用するとお考えですか。日本が保有可能な武器については制約を設けるべきではなく、また、自衛隊法に規定する自衛隊の任務についてもネガティブリスト化に変更すべきではないですか。
以上、必要最小限度の解釈見直しについて検討するか否かも併せ、総理に答弁を求めます。
次に、核の拡大抑止についてお尋ねいたします。
総理に質問します。
国家安全保障戦略の冒頭に非核三原則を堅持と明記したことで、核から日本を守るオプションを自ら縛り、思考停止にしてしまっているのではないですか。
北朝鮮が米国全土を射程に収めるICBMを実戦配備するのは時間の問題とされ、中国も、通常兵器のみならず、核戦力でも米国を凌駕しようとしています。北朝鮮の動向に加え、米中が戦略核で均衡すれば、中距離核戦力、INFの不均衡が決定的意味を持ち、日韓、台湾などへの米国の拡大抑止は無効化され、核の傘が破れ傘になる懸念が強まると考えますが、認識をお示しください。
このような状況下では、せめて核の傘の信頼性、実効性向上の方向性、そして情勢急変の際の対処方針を国家安全保障戦略に盛り込むべきではなかったのですか。
米国との拡大抑止をより強固に機能させるために、核シェアリングによる防衛力強化等に関する議論を開始すべきだと考えますが、議論さえ容認できないというお考えでしょうか。
今後の情勢によっては、緊急時に戦略原子力潜水艦を日本に寄港させ、将来的には日米共同運用するなど、拡大抑止強化策について日米協議や国内議論を進めることは排除されるべきではないと考えますが、見解を求めます。
次に、反撃能力保有について伺います。
その具体化には課題が多く、わけても、米国との役割区分等の調整が重要になります。
例えば、相手が攻撃してくる兆候をつかみ取るための情報収集では、衛星を多数打ち上げ、重要な相手施設等の状況を常に監視する体制が不可欠です。次いで、いざ反撃する段階で、その施設を撃破すれば反撃の効果が得られるのかという目標の特定が重要であり、目標が定まり、実際に反撃段階になると、どの目標に対しどのミサイルで反撃させるかという攻撃の統制、調整が必要となります。ミサイルが相手国に近づくと、当然、相手は防空ミサイル等で対抗してきますから、その防空網を無力化する攻撃の統制、調整も欠かせません。
総理にお尋ねいたします。
反撃能力保有の実効性を担保するには、米国との共同及び陸海空自衛隊の統合を含めた全てを指揮統制する統合司令部、司令官や、指揮通信インフラが必須だと考えます。どのような枠組み、方式で米国側と調整を進め、いつまでに反撃能力保有を実現させるお考えですか。
軍事オペレーション的な側面に加え、政治と軍事の関係において、ターゲティングリスト及び日米のそれぞれの役割を政治、軍事間で平時から調整し、最終的には日米両首脳がゴーサインを出すところまで準備させておくことが重要だと考えますが、認識をお示しください。
反撃能力の行使という極めて高度な戦略的、政治的決定には、総理の迅速かつ明確な判断が必須となります。岸田総理にその覚悟があると明言していただけませんか。
米国製の巡航ミサイル、トマホーク四百発が導入されますが、抑止力を向上させるためには国産ミサイルを主体にしていく必要性がありますが、政府の計画はどのようになっていますか。
次に、サイバー防衛についてお伺いします。
国家安全保障戦略に書かれている能動的サイバー防御は、どこまでの範囲の防御を意味しているのですか。オフェンスも含めているように読めますが、能動的サイバー防御は、アクティブサイバーディフェンスよりも広い概念として捉えられているのですか。それとも、アクティブサイバーディフェンスについては別の整理を行っているのですか。お伺いします。
自衛隊のサイバー防衛隊を抜本的に強化、拡充していくためには、不正アクセス禁止法や不正電磁的記録罪の要件を改正して自衛隊への適用除外を認めるほか、サイバー空間の国際法たるタリン・マニュアルで認められている、平時からサイバー空間での偵察や積極防衛の権限を自衛隊に与え、正当業務とすべく自衛隊法を改正することも不可欠と考えますが、いかがですか。
自衛隊サイバー防衛隊を、自衛隊の枠を超え、政府全体及び重要インフラ防護に活用することも必要ではないですか。
また、縦割り行政の弊害を打破するために、インテリジェンスや治安、防衛を担う防衛省、警察庁と、通常のデータ通信に係るデジタル庁、経済産業省、総務省を統括するサイバーセキュリティー局を内閣官房に設置した上で、実動部隊として自衛隊のサイバー部隊が兼任し、まずは一万人規模の要員でサイバーセキュリティーセンターを設置することを提案しますが、いかがですか。
以上、いずれも総理に答弁を求めます。
防衛装備移転の推進についてお尋ねします。
国家安全保障戦略において、三原則や運用指針を始めとする制度の見直しを検討するとされています。
ロシアに侵攻されているウクライナには、当初、防衛装備品が送れない状況にありましたが、運用指針を変更して、やっと防弾チョッキやヘルメットが送られました。
総理に質問します。
国際法違反の侵略を受けているウクライナのような国には、欧米諸国のような戦車や攻撃用ミサイルの提供は困難であっても、ミサイルを迎撃する地対空ミサイル、通信情報システム、無人偵察機など、無辜の市民の生命を守るための防御的な武器を提供することは、場合によっては、平和国家の理念の範囲内との解釈もできますが、見解を伺います。
今後、台湾有事が発生し、我が国に戦火が及ばなかった場合、日本は台湾に防衛のための装備品を提供することはできるのでしょうか。日本と台湾は強いきずなで結ばれており、また、台湾は地政学的にも日本にとって重要な地域であります。政府はどのように対応していくお考えなのか、併せてお答えください。
次に、自衛隊と海上保安庁の連携について、総理にお伺いいたします。
日本の海の守りのためには、第一線で対峙する海上保安庁と、後方で控える自衛隊が、切れ目なく機動的に連携できる体制を整えなければなりません。日本維新の会が国民民主党と共同提出した自衛隊法の改正により、自衛隊に警戒監視活動と限定的な武器使用を認めるとともに、海上保安庁法改正で、海保の任務に領海の警備を加えるべきです。この法案は中国に対する抑止力となると考えますが、見解をお伺いします。
政府は、海保の能力の強化を打ち出し、自衛隊との関係はあらゆる事態に適切に対応し、有事の際には防衛大臣が海保を統制指揮下に置く統制要領の策定や共同訓練の充実を図るとしています。
しかしながら、自衛隊法八十条に基づき海保を指揮下に置いても、実際は軍事行動ができないのであれば、防衛能力の十分な向上は望めません。海保法二十五条は、海保の軍事機能を否定しています。平時の際は海保が海の警察として他国との緩衝材的役割を果たすことは一定の意義があるとは考えますが、有事の際は軍事に関われるように、海保法第二十五条を改正するお考えはありませんか。見解をお伺いいたします。
最後に、憲法について言及させていただきます。
この新たな安保三文書は、第九条に実力組織として自衛隊を明確に位置づけるなど、憲法改正なくしては成り立ちません。
国家安全保障戦略は、強力な軍事能力を持つ主体が他国に脅威を直接及ぼす意思をいつ持つに至るかを正確に予測することは困難だと記しています。これは、中国始め軍事強国が日本に侵略戦争をしかける意思を持つ可能性があることを示唆しています。また、我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境のただ中にあるとし、最悪の事態をも見据えた備えを盤石なものとし、我が国の国益を守っていくという決意も示しています。
こうした安保三文書の基軸は、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」とうたう憲法前文を明確に否定するものです。
自民党総裁たる総理に伺います。
安保三文書の内容は、政府が自ら現憲法の欠陥を認めたことにほかならないと考えますが、どう認識されていますか。
そもそも、中国や北朝鮮、ロシアが、憲法前文で言う平和を愛する諸国民であり、信頼に足る公正と信義を持ち得ていると言い切ることができますか。
また、日本の新たな安保戦略の方向性と最高法規の前文は両立するとお考えですか。双方に一点のそごもないというならば、根拠も説明してください。
以上、防衛力の遺漏なき抜本的強化と併せ、自身の総裁任期中の実現を公言されている憲法改正に向け、不退転の覚悟で指導力を発揮していただくよう総理に強く強くお願い申し上げ、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕