岸田文雄の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 末松義規議員の御質問にお答えいたします。
 防衛費の規模についてお尋ねがありました。
 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しており、我が国の判断として、今後五年間で緊急的に防衛力を強化していくことが不可欠であると考えています。
 NATOを始め各国は、安全保障環境を維持するために、経済力に応じた相応の国防費を支出する姿勢を示しており、我が国としても、国際社会の中で、安全保障環境の変化を踏まえた防衛力の強化を図る上で、GDP比で見ることは指標として一定の意味があると考えています。
 その上で、防衛力の抜本的強化に当たっては、その内容の積み上げと併せて、これらを補完する取組として、海上保安能力やPKOに関する経費のほか、研究開発、公共インフラ整備など、総合的な防衛体制を強化するための経費を積み上げました。
 こうした積み上げの結果として、二〇二七年度において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を併せ、そのための予算水準が現在のGDPの二%に達するよう、所要の措置を講ずることといたしました。
 今般の決定は、我が国自身の判断として行ったものであり、米国からの要請を受けたとの指摘は当たりません。
 また、厳しい財政事情の中、財源確保については、できる限りの行財政改革を前提とした方針について政府・与党で確認をし、昨年末に閣議決定をしており、これに基づき着実に取り組んでまいります。
 防衛費及び子ども・子育て予算についてお尋ねがありました。
 防衛力の抜本的強化は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙する中、国民の命と暮らしを守り抜くためのものです。一年以上にわたる活発な議論を積み重ね、その過程において、必要となる防衛力の内容を積み上げ、防衛費の規模を導き出した上で、令和五年度予算に計上したものであり、必要な予算であると考えております。
 また、子ども・子育て政策は、最も有効な未来への投資であり、最優先の課題です。これまでも、社会のニーズ等を踏まえつつ、保育の受皿整備、幼児教育、保育の無償化など、必要な支援を進め、その結果、少子化対策の予算額は、政権交代以降、平成二十五年度の約三・三兆円から令和五年度の約六・三兆円と大きく増加をしています。
 さらに、今月発足したこども家庭庁の下で、子ども・子育て政策の抜本強化に取り組んでまいります。先般取りまとめたたたき台を踏まえ、必要な政策強化の内容、予算、財源について更に具体的な検討を進め、六月の骨太方針までに、将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示いたします。
 岸田政権は、防衛力の抜本的強化と子ども・子育て政策の抜本強化、どちらか一方という二者選択の問題とするのではなく、政府の責任として、共に必要な予算をしっかりと措置してまいります。
 防衛費の財源についてお尋ねがありました。
 抜本的に強化される防衛力は、将来にわたって維持強化していかなければならず、この防衛力を安定的に支えるためには、令和九年度以降、毎年度約四兆円のしっかりとした財源が必要です。
 その財源確保に当たっては、国民の御負担をできるだけ抑えるため、あらゆる工夫を検討した結果、歳出改革、決算剰余金の活用、そして、様々な取組により確保した税外収入等を令和十年度以降も含めて防衛力整備に計画的、安定的に充てるための防衛力強化資金の創設、これらの取組により、必要な財源の約四分の三を確保することといたしました。
 それでも足りない約四分の一については、将来の世代に先送りすることなく、令和九年度に向けて、今を生きる我々の将来世代への責任として、税制措置での御協力をお願いしたいと考えております。
 これらの取組により、強化された防衛力を将来的にわたり安定的に支えられるよう、必要な財源をしっかりと確保してまいります。
 我が国の財政状況と継戦能力についてお尋ねがありました。
 しっかりとした経済財政の基盤を平時から維持強化していくことは、国家安全保障の観点からも重要であると考えています。この点、国家安全保障戦略においても、我が国の経済は海外依存度が高いことから、有事の際の資源や防衛装備品等の確保に伴う財政需要の大幅な拡大に対応するためには、国際的な市場の信認を維持し、必要な資金を調達する財政余力が極めて重要とされているところです。
 引き続き、足下の経済状況に機動的に対応するとともに、財政の持続可能性への市場の信認が失われることがないよう、歳出歳入両面の改革を続け、責任ある経済財政運営に努めてまいります。
 情報収集・分析体制、重要国との恒常的な人的パイプの強化、そして米中関係についてお尋ねがありました。
 外交力強化のために、情報収集・分析能力を向上させることは極めて重要です。我が国は、世界全体に二百三十一の在外公館を設置し、幅広い情報源や人脈を有しており、日頃から、情報収集・分析能力の強化に取り組んでいます。
 昨年末に決定された国家安全保障戦略において、多様な情報源に関する情報収集能力を大幅に強化するなどとされていることも踏まえ、業務の合理化等も行いながら、外務省員、防衛駐在官といった人員体制の強化に鋭意努めてまいります。
 人的パイプの強化については、各国・地域において対外発信力を有し、将来を担う人材を積極的に我が国に招聘し、訪日後もフォローアップをするなど、多層的な人的つながりの戦略的強化に努めてきております。
 米中両国の関係の安定は、国際社会にとっても極めて重要です。既に私自身、両国首脳と累次対話を重ねていますが、引き続き、同盟国たる米国との強固な信頼関係の下、様々な協力を進めつつ、中国に対して、大国としての責任を果たしていくよう働きかけてまいります。
 いわゆる台湾有事についてお尋ねがありました。
 御指摘のような仮定の質問にお答えすることは避けなければなりませんが、いわゆる台湾有事における我が国の対応は、憲法、国際法や平和安全法制を始めとする国内法令に従って、個別具体的に行われていくことになると考えます。
 いずれにせよ、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとっても重要と考えており、台湾をめぐる問題について、対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来からの我が国の一貫した立場であります。
 反撃能力についてお尋ねがありました。
 お尋ねの武力攻撃事態における反撃能力の運用については、実際に発生した状況に即して、武力の行使の三要件に基づき、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐために他に手段がなく、やむを得ない必要最小限の措置としていかなる措置を取るかという観点から、個別具体的に判断いたします。
 反撃能力は、米国から頼まれて行使するものではなく、国民の命や暮らしを守り抜くために行使するものであり、我が国の主体的な判断の下で運用され、日本が戦争に巻き込まれることになるか、あるいは日米同盟を破綻させることになるかという選択につながる問題ではありません。
 自衛隊の諸課題についての認識に関するお尋ねがありました。
 自衛官不足、退職防止及びサイバー関係の人員確保といった人的基盤に関わる課題、運用の効率化と規制改善といった運用の円滑化に関わる課題及び装備品の調達に関わる課題といった諸点について御指摘をいただきました。
 御指摘については、防衛力を強化するためにいずれも重要な課題であると認識をしています。
 例えば、人的基盤に関わる課題については、防衛省において、有識者検討会で精力的に検討いただきながら取り組んでまいります。また、装備品調達に関わる課題については、防衛産業はいわば防衛力そのものであるという視点も取り入れて取り組んでまいります。
 いずれにせよ、防衛力を抜本的に強化するに際して必要な、重要な御指摘と受け止めさせていただきます。
 税制措置についてお尋ねがありました。
 復興特別所得税については、現下の家計の負担増にならないよう、復興特別所得税の税率を引き下げた上で、その下げた範囲内で新たな付加税をお願いすることとしております。また、復興財源との関係では、復興債の発行を通じた柔軟な資金調達が可能であるため、復興特別所得税の税率を引き下げても、毎年度の復興事業の円滑な執行には問題は生じません。加えて、この措置は、復興事業や復興債の償還のための財源としてお願いをしている復興特別所得税の課税期間の延長をするものであり、その延長幅は、復興財源の総額を確実に確保するために必要な長さとされているため、復興事業に影響を及ぼすことはないと考えております。このように、復興税を防衛目的で流用したとの御指摘は全く当たりません。
 さらに、廃炉や福島国際研究教育機構の構築など、息の長い取組についてもしっかりと支援できるよう、東日本大震災からの復旧復興に要する財源を引き続き責任を持って確保してまいります。
 政府としては、復興事業に影響を及ぼすことがないことを、被災者の方々を含め国民の皆様に御理解いただけるよう、引き続き丁寧な説明を行ってまいります。
 防衛力強化のための財源についてお尋ねがありました。
 税外収入については、令和五年度予算において、特別会計からの追加の繰入金や国有財産の臨時の売却収入等により、現時点で見込める最大限の金額として四・六兆円を確保した上で、防衛力強化資金を通じて、防衛力の整備に計画的、安定的に充てていく方針としております。
 令和十年度以降についても、令和五年度予算において令和九年度までの五年分に充てられる税外収入四・六兆円を確保したことも踏まえ、防衛力強化資金から年平均〇・九兆円程度の安定財源が確保されるよう、今後も、引き続き、更なる税外収入の確保に努めてまいります。
 地域医療機能推進機構の積立金の国庫への納付は、新型コロナ対応を行う中で一般財源を原資として措置をした病床確保料に係る収益のみを対象とするものであることなどから、年金特別会計でなく一般会計に納付することとしたものであります。
 こうした政府の方針についても、国民の皆様に御理解いただけるよう、引き続き丁寧な説明を行ってまいります。
 予備費と決算剰余金の関係についてお尋ねがありました。
 予備費を含めた歳出に不用が生じることが見込まれる場合には、税収等の動向も見極めながら、特例公債法の規定に基づき特例公債の発行額の抑制に努めることとしており、予備費の規模やその不使用による歳出不用の増加と決算剰余金の金額が対応するわけではありません。
 その上で、防衛力強化財源として、決算剰余金の活用について申し上げれば、直近十年間の平均が一・四兆円程度であることを踏まえ、財政法上、公債又は借入金の償還財源に充てるべき二分の一を除く、残りの二分の一の〇・七兆円程度を活用見込額として見込んだものであり、予備費を計画的、意図的に膨らませること等を前提に防衛力強化の財源として考えているわけではありません。
 また、決算剰余金が補正予算の財源として活用された事例があることは事実ですが、これは制度的に決められたものではなく、予算編成後のその時々の事情に応じて、今後、補正予算を編成すべき必要性が生じた場合には、その財源についても、その時々の税収見込みや歳出不用の見込み等を踏まえて、機動的な対応を取ることになります。
 したがって、防衛財源ロンダリングといった御指摘は当たりません。
 歳出改革についてお尋ねがありました。
 防衛力強化のための財源としての歳出改革については、社会保障関係費以外の経費を対象とし、骨太方針に基づき、これまでの歳出改革の取組を継続する中で財源を確保することとしております。
 こうした考え方に基づき、令和五年度予算においては、二千百億円程度の防衛関係費の増額を確保いたしました。
 令和六年度以降も、毎年度の予算編成において、政府・与党連携して歳出改革を継続し、令和九年度時点において、令和四年度と比べて一兆円強の財源を確保してまいります。(拍手)
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発言情報

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発言者: 岸田文雄

speaker_id: 6324

日付: 2023-04-06

院: 衆議院

会議名: 本会議