稲津久の発言 (本会議)
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○稲津久君 公明党の稲津久です。
私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案につきまして、総理並びに財務大臣に質問いたします。(拍手)
我が国は、今、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しています。
北朝鮮は、かつてない頻度でミサイル発射を続けており、その技術力も、現在のミサイル防衛能力では対応が難しい変則軌道のミサイルや核弾頭搭載の能力を保持するなど、日に日に向上しています。私の地元北海道においても、漁業や海運関係者を始め地元住民は、いつ頭上に落下するかも分からないミサイルにおびえながら暮らしているのが実態です。
また、国連安全保障常任理事国でありながら、国際法を無視してウクライナを侵略したロシアによって、第二次世界大戦後、世界各国が協力して築き上げてきた国際秩序は危機に瀕しています。
こうした周辺国も含めた動向に対し、現実の脅威から国民の命と平和な暮らしを守ることは政治の使命であり、そのために防衛力を強化し、抑止力を高めることは不可欠であると考えます。
一方で、防衛費増額のための財源確保に当たっては、物価高などの現状を考慮し、国民負担を最小限に抑えることも政治の大事な役割の一つであると考えます。
以下、防衛力強化に向けた財源の確保について質問いたします。
政府は、昨年、国家安全保障戦略など安保関連三文書を取りまとめ、今年度からの五年間で約四十三兆円を確保するとの方針を発表されました。これまでの防衛費から比べると、この五年間の合計でおよそ十七兆円を上乗せすることになります。非常に大きな増額であり、この予算を活用してどのように防衛力を強化していくのか、その効果や必要性を国民の皆様に理解し、納得していただくことが重要です。
そこで、今回の防衛費増額について、総理が決断された背景、今後想定される脅威やその対応策などについて、具体的な事例を交えていただきながら、分かりやすい説明をお願いいたします。
厳しい安全保障環境にどう備えるかというのが今回の議論の出発点です。そのために必要な防衛費についても、NATOの対GDP比二%目標と同レベルにすべきといった、単純に総額ありきで決めるものではなく、今何が必要なのかをきちんと積み上げた上で、必要な防衛力の確保に取り組むことが重要であると考えます。
そこで、防衛費の増額分は一体何に使われるのか、具体的な使い道をお示しください。財務大臣の答弁を求めます。
その上で、財源の確保に当たっては、国民負担をお願いする前に、歳出改革や税外収入の確保など、政府の努力が先に立つことが筋であります。政府として最大限に努力をして、これ以上はどうしても捻出できないという説明がなければ、国民の理解は得られないと考えます。
公明党としても、昨年の与党税制協議において丁寧に議論すべきと主張し、税制措置については、二〇二四年以降の適切な時期として、改めて議論を行うこととしたところであります。
しかしながら、本法案によって直ちに税負担が拡大すると誤解をしている国民も少なくありません。
本法案は、税外収入から確保する四・六兆円程度の追加財源のうち約一・五兆円を捻出するために特別の措置を講ずるものであり、まさに政府の財源確保のための努力の一環であると認識しておりますが、総理から改めて、本法案によって増税が実行されるわけではない点、まずは政府として財源捻出に最大限の努力を行うという点について明言をいただきたいと思います。総理の答弁を求めます。
本法案では、税外収入から集めた財源をプールし、複数年度にわたって計画的に支出するための防衛力強化資金を創設することとしています。この仕組みは財政の効率化や予算の単年度主義の弊害を是正することにつながるものと高く評価しますが、法文上では、当分の間と、期限があるように表現されています。恒久的な制度ではなく、なぜ当分の間としたのか、その理由をお聞かせいただきたい。また、どの程度の期間を想定し、年間どのくらい繰り入れられると見込んでおられるのか、財務大臣の答弁を求めます。
本法案には、もう一つの政府の努力である歳出改革、無駄削減については記述がありません。
政府は、毎年度〇・二兆円程度、五年間で累計三兆円超を歳出改革で捻出するとの方針としておりますが、これはどこで担保するのでしょうか。国民に明らかにしていただきたい。
また、歳出改革に当たっては、社会保障費を始めとして、国民生活に不可欠な分野の予算が削られてしまうのではないかとの懸念の声が上がっています。公明党は、そのようなことは断じてあってはならないと強く主張しておりますが、歳出改革の方針について、総理の答弁を求めます。
関連して、昨年末に策定された国家安全保障戦略において、我が国の安全保障に関わる総合的な国力の主な要素として初めに掲げられた外交力について伺います。
ロシアによるウクライナ侵略のように、いかなる地域でも、力による一方的な現状変更は決して許してはなりません。そのための取組として重要なのは、我が国自身の防衛体制の強化に裏づけられた外交努力です。
安全保障は、今、各国の思惑が複雑に絡み合い、エネルギーや食料の危機を生じさせ、さらには気候変動、保健、開発などといった地球規模の課題解決の遅れにもつながっています。
加えて、我が国周辺の極めて厳しい安全保障環境に対応するためには、日米同盟の強化が極めて重要であるとともに、オーストラリアやインド、欧州、また、韓国や東南アジア諸国、中東、アフリカ諸国等とも連携、交流を積極的に推進するなど、対話による多国間協調が可能な環境づくりが大切であると考えます。
こうした取組を着実に実施することによって、我が国を取り巻く安全保障環境の改善につなげ、日本のみならず、アジアや、ひいては世界の平和と繁栄を築いていくことができるのだと確信します。
G7広島サミットの開催を間近に控え、G7議長国、安保理の非常任理事国として、岸田総理がリーダーシップを最大限に発揮されることを期待していますが、このような国際環境の中で、日本はいかなる外交を展開していくのか。日本の外交の重要性、具体的な取組について、総理の答弁を求めます。
以上、本法案によって確保した財源を活用して必要な防衛力の強化が果たされるとともに、世界の平和と、国民の皆様が安心して生活を送ることができる社会の実現を念願して、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕