日下正喜の発言 (本会議)
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○日下正喜君 公明党の日下正喜です。(拍手)
冒頭、一言申し上げます。
二〇二一年三月六日にお亡くなりになったウィシュマ・サンダマリさんの御冥福を心からお祈りするとともに、二度とこうした事案を生じさせないよう、立法府に所属する議員として最善を尽くしていくことをお誓い申し上げます。
私は、ただいま議題となりました法律案につきまして、公明党を代表して、賛成の立場から討論を行います。
本法案に対する賛成理由の第一は、保護すべき者を確実に保護するという理念の具現化であります。
紛争避難民は、必ずしも難民条約上の難民に該当せず、現行法制上、ウクライナ避難民のような紛争避難民等を難民と同様に保護できる制度が存在しなかったところ、本改正により、難民に準じた形で保護できる補完的保護対象者の認定制度が創設され、より安定した在留資格の付与など、制度的裏づけのある支援が実現します。これは、真に庇護すべき人々を救済するという観点で、画期的な前進と言えます。
また、難民認定手続の透明性、信頼性を高める難民該当性判断の手引が策定され、例えば、性的マイノリティーやジェンダーに関連する迫害についても、難民条約に言う特定の社会的集団の構成員を理由とする迫害に該当し得る旨が明記されるなど、迫害についての考え方などが具体的に示されています。この手引は、難民審査に携わる難民調査官や難民審査参与員、そして難民認定を受けようとする方々にも共有されることから、難民認定申請の誤用や濫用を防ぐとともに、審査においても難民該当性判断が一層適正なものになることが期待できます。
委員会修正におきましても、難民や補完的保護対象者の認定を専門的知識に基づいて適正に行うため、出身国情報を充実させるとともに、難民審査の要ともなる難民調査官の人権に対する理解の深化や調査能力の向上を図ることとしており、適正な審査を担保する上で重要な基盤が整備されます。
さらに、本来退去すべき立場にある外国人について、在留を特別に許可すべき事情があると法務大臣が認めた場合にその在留を認める在留特別許可制度についても、これまでは判断過程や理由が不透明であると指摘されていましたが、本改正により、難民等認定手続と分離する形で申請手続が創設され、退去強制手続の当初の段階から在留特別許可の申請が可能となります。また、より的確に申請を行うことを可能とするため、その許否判断における考慮事情を法律上明示することとされています。
この点について、我が党からの質疑に対し、法務大臣より、それぞれの考慮事情の評価に関する考え方を運用上の新たなガイドラインとして策定すること、例えば、日本人の地域社会との関係、本邦で家族とともに生活する子供の利益の保護の必要性などを積極事情とする予定であること、本法案施行前に退去強制令書が発付された者について、新たなガイドラインに基づき、職権で在留特別許可の許否判断をすること、その際、不法滞在期間が長くなっている点について、特例として消極事情としないことなどの検討方針が示されました。
加えて、在留特別許可をしない処分をするときには、理由を付した書面をもって通知することとされており、手続保障が確保されたことについても高く評価するものです。
以上のような観点から、本法案は、保護すべき者を確実に保護するという理念の具現化を大きく進めるものになったと考えます。
賛成理由の第二は、送還忌避、長期収容問題への対応です。
三年以上にも及ぶ新型コロナウイルス感染症が感染法上の二類から五類に引き下げられ、水際対策も先月解除されました。今後、海外からのインバウンドの回復、そして外国人材の受入れ等も本格化され、ますます、日本に入国、滞在する外国人の増加が予想されます。それと同時に、不法残留、送還忌避の増加も懸念され、現行入管法下で生じている送還忌避、長期収容問題は、早期に解決すべき喫緊の課題であります。
現行法では、難民認定手続中の外国人は、申請の回数や理由を問わず送還が停止され、日本にとどまることができます。一部の外国人は、これに着目し、難民認定申請を繰り返すことで送還を回避し、その結果、収容施設における長期収容の問題が生じてまいりました。
と同時に、難民に該当しない多くの外国人が難民認定申請を繰り返すことで入管の難民認定業務が圧迫され、真に難民として保護すべき方の審査に遅れが生じ、その迅速な救済に支障が出ていたこと。そして、難民認定申請者の多くは、観光、留学、技能実習などの正規の在留資格で入ってきた後に、本来の目的から外れた段階で難民認定申請をするケースなども多く見られ、難民申請の誤用、濫用が指摘されてきました。
こうしたことを踏まえ、本改正では、認定すべき相当の資料が提出されなければ、三回目以降の難民等認定申請者や三年以上の実刑前科者等について、送還停止効の例外とすることとしています。長期収容による様々な弊害や、薬物事犯、窃盗、傷害、性犯罪など前科を有する仮放免された外国人の逃亡事案などの現実を踏まえると、妥当な措置であると考えます。
また、被収容者の人権上の配慮からも、全件収容主義が改められ、収容に代わる監理措置が創設されるとともに、収容施設における常勤医師の確保のための措置、健康上の理由に基づく仮放免請求については、医師の意見を聞くなどして、被収容者の健康状態に十分配慮して判断を行うべきことを定めた規定の整備など、被収容者への健康上、人道上の配慮もより適切なものになっていると考えます。
以上、現行法の課題を一体的に解決しようとする本法案に対する賛成理由を述べてまいりましたが、最後に、保護すべき者を確実に保護するという理念が十全に発揮されるよう、豊かな人権感覚を備えた一層適切な運用がなされることを切に願うところです。
公明党は、これからも、日本人と外国人が安全、安心に暮らせる共生社会の実現へ全力を尽くしていくことをお誓いし、私の賛成討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)