吉田はるみの発言 (本会議)
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○吉田はるみ君 立憲民主党・無所属の吉田はるみです。
会派を代表しまして、ただいま議題になりました内閣提出法案、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
今回改正される不同意性交等罪が適用されるためには、次の八つの要件のいずれかに該当し、かつ、同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態にあることが必要です。
八つの要件とは、一、暴行、脅迫。二、心身の障害。三、アルコール、薬物の影響。四、睡眠そのほかの意識不明瞭。五、同意しない意思を形成、表明、全うするいとまの不存在。六、予想と異なる事態との直面に起因する恐怖又は驚愕。七、虐待に起因する心理的反応。八、経済的、社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮。
この八つの要件は、不同意を表明したくてもできなかった、あるいは表明したが全うできなかった場合を多面的にカバーしている点はよいと思います。
念のために確認いたしますが、不同意、つまり同意していないを表明した場合は、これらの要件をクリアしていなくても、即、不同意性交等罪又は不同意わいせつ罪に問われるということでよろしいですね。不同意を表明しても罪に問えなかったら、この法律の欠陥です。
現実に、実の父や、母の再婚相手の義理の父、同居する親族などからの性的虐待に苦しんでいる方が大勢います。多くの場合、まさに毎日の生活の現場での被害であり、声も上げられません。勇気を振り絞って被害を訴えた場合であっても、信じてもらえない、あなたに隙があった、はっきり拒否したらよかったのになどと、心ない言葉に被害者は二重の苦しみにさらされます。性暴力は魂の殺人です。
地位、関係性を利用した処罰規定に関しては、不同意性交等罪の要件の八に「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。」とありますが、憂慮は主観によって差が生じる可能性があり、新たな司法判断のばらつきが生まれます。
被害の実態を調査し、処罰されるべき加害行為は適切に処罰されるように、改めて、地位、関係性を利用した処罰規定の見直しを検討すべきと考えますが、政府の見解を伺います。
本年三月十七日には、元自衛官の五ノ井里奈さんに強制わいせつをしたとして、元陸上自衛官三人が在宅起訴されています。また、本年四月には、パラリンピック代表チームのイタリア人コーチが性加害で解任されています。芸能界の状況も深刻です。四月十二日には、元ジャニーズジュニアのカウアン・オカモトさんが性被害を訴え、日本外国特派員協会にて記者会見をしています。声を上げられない芸能関係者、アスリートの方々も多いのではないでしょうか。民間企業でも、その地位を利用した性被害があります。
政府、そして民間企業も含め、この認識を社会で共有すべきと考えますが、この法案を通しましただけでは不十分です。地位を利用したわいせつ行為や性交等をすることは許されないというメッセージを社会に届けるべきです。政府は、どんな広報手段で、どの程度の予算を割き、どの程度の期間で周知する計画でしょうか。
性交同意年齢とは、性行為をするか否か、自ら判断できる下限の年齢です。現行では十三歳で、これは明治四十年より、実に百十六年変わっていません。今改正で十六歳に引き上げられるわけですが、その点は評価いたします。つまり、十六歳未満の子供と性行為を行った場合は、同意の有無にかかわらず処罰の対象になると理解しています。
しかし、こう歯切れよく言えないわけです。条文には、「(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)」という括弧書きが付されています。この一言で理解できた議員の方がいたら、私、びっくりです。
なぜ十三歳以上十六歳未満の性交にはプラス五歳までは例外とするという規定を設けたのですか。例えば、なぜ三歳ではなく五歳なのですか。そもそも、このプラス何歳という規定は必要でしょうか。
例えば、十三歳の中学一年生と十八歳の高校三年生が性交した場合、この十八歳の高校三年生は罪になる可能性があります。また、十五歳の高校一年生と二十歳の大学三年生が性交した場合、これも罪になる可能性があります。同意があったとしてもです。
例え話ですが、私の娘が十五歳の高校一年生とします。家庭教師の二十一歳の大学生と性交したことが分かった。私は激怒。娘は同意があったと言うが、許せない。私はこの大学三年生を不同意性交等罪で告訴して、有罪となった場合、この大学生は執行猶予なしで五年以上刑務所に入ることになります。信じられないかもしれないが、これは本当です。
今、例に出したようなケースも起こり得る中、こんなことが起こり得る中、こんなに分かりにくい規定をどうやって社会に知らせるのでしょうか。家庭では無理です。小学校、中学校、高校の学校教育の場で、正しい性教育とともに教えるべきです。政府の見解を伺います。
この法案を通し、性犯罪者を罰して終わりだけでは駄目です。性犯罪者を厳しく処罰することと併せ、被害者をしっかり保護し、そして同時に、性犯罪者を生まないことが重要なのではないでしょうか。そうであるならば、本改正とセットで、一、対象年齢者への適切な性教育、二、性犯罪は許さないという社会全体への認知、三、性犯罪者の更生とモニタリングを実行しなくてはなりません。
性教育に関して、学習指導要領には、小学五年生の理科では、人の受精に至る過程は取り扱わないものとする、また、中学一年の保健体育科では、妊娠の経過は取り扱わないものとあり、つまり、学校教育の中では妊娠に至る経緯である性交は取り扱わないという方針です。
なぜここまで性交を含む性教育を回避するのでしょうか。寝た子を起こすなということでしょうか。それは既に時代遅れです。性教育を否定する旧統一教会の影響があるのではないでしょうか。
子供たちは、デジタルネイティブと呼ばれるインターネット世代であり、フェイクを含め、既に情報氾濫の時代に生きています。内閣府男女共同参画局の調査では、若者が性暴力被害に遭った場所として一番多いのが学校で、二二・五%という結果が出ています。興味や関心が芽生える思春期の子供たちの現状をしっかり受け止め、この情報があふれる時代にあるからこそ、今回の法改正で処罰される行為も含めた正確な情報を伝える性教育が求められていると考えますが、政府の見解を伺います。
トー横キッズという言葉を御存じでしょうか。新宿歌舞伎町に集まる、虐待やいじめなど生きづらさを感じている子供たちが全国から集まって過ごしている場所です。大阪ミナミにはグリ下と呼ばれる場所があります。東京と大阪だけではありません。日本全国に、居場所を求め、愛情を求め、さまよう子供たちが大勢います。
この中には十六歳未満の子が含まれます。この苦しい状況につけ込んで、違法薬物や性被害に遭わせてしまう大人がいます。生きるために、食べるために、そして、その夜の寝床を求めてパパ活する子もいます。しかし、今回の刑法改正は、性交同意年齢の引上げで、十六歳未満の性交等は、同意があったとしても処罰をされます。十六歳未満のパパ活は違法になります。パパ活なんか本当はしたくない、でも、生きていくために仕方なく売春する子供たち。自分を消してしまいたいと、風邪薬などを大量に飲むオーバードースも多発しています。
こうしたトー横キッズ、そしてグリ下に集まる子供たちを支援しているのは、NPOや支援団体です。このような人の善意頼みでは限界があります。政府として、予算をつけ、実態調査をし、そして支援要員を配置するなどの具体的な対策はあるのでしょうか。
また、いわゆるグルーミング罪と呼ばれる、わいせつ目的で若年者を懐柔する行為に関わる罪も新設されました。通常、こうした出会いは、わいせつ目的で相手を探すような出会い系又はマッチングアプリを使用しています。
今回の法改正で、このような事業者は処罰されますか。また、十六歳未満の登録者や利用者を出さないために、事業者に、利用者の自己申告ではなく、保険証やマイナンバーカードなど公的証明書を利用した本人確認をさせるなどの措置は考えていますか。
法務総合研究所研究部報告五十五によると、子供への性犯罪の再犯率は八五%と非常に高いことが明らかになりました。一人の人が何人もの子供へわいせつな行為を繰り返している実態があります。こどもまんなか社会において、子供の性被害は絶対に見過ごすことができません。
こども家庭庁が、保育士や教員、部活動のコーチ、塾講師など、子供に関わる職に就く者への性犯罪加害履歴がないかどうかをチェックする仕組みである日本版DBS導入に向けての取組を進めていると報道されていますが、現状はいかがでしょうか。また、障害児が通う特別支援学校や福祉施設などで働く職員にも対象を広げるべきと考えますが、政府の見解を伺います。
被害当時のことを思い出すと涙が止まらなくなり、過呼吸になる。うつ病やPTSDに苦しむ被害者の実態があります。自分が四十代、五十代になってようやく、あれは性被害だったと思い出すことも多々あります。
本改正では公訴時効の五年延長が提示されていますが、三十三歳上限は短過ぎます。女性の二十代、三十代は結婚や妊娠、出産、子育て期に当たり、実際、この年齢のときに性被害を訴え、司法手続をすることは、配偶者や未成年の子供のことを考えると非常に困難です。法務省は、五年延長の根拠として、内閣府調査を基にしており、相談できた被害者の大部分が五年の間に相談がされているからという説明をしていますが、そもそも、相談できなかった方が女性では六割、男性では七割もいます。
日本においても、性犯罪には断固とした姿勢で臨むということを示すためにも、公訴時効は撤廃すべきと考えますが、政府の見解を伺います。
性被害は魂の殺人と言われます。生涯を通じて、被害者の方を苦しめ、その方から笑顔を奪い、人生まで狂わせてしまいます。性被害者に全面的に寄り添い、継続的な精神的サポート体制を構築しなければなりません。
この法律を通して終わりにしないでください。犯罪者を罰するだけではなく、国は、性犯罪は絶対に、断固として許さないというメッセージを広く社会全体に知らしめてください。これは被害者保護の観点からも重要なメッセージであり、そして、加害者を出さないための抑止力にもなります。
声を上げた女性も、声をのみ込んでいる女性も、そして全ての性被害に苦しんでいる方々、被害者を支援している方々、そして多くの国民が、岸田総理の覚悟ある行動を見ています。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣齋藤健君登壇〕