道下大樹の発言 (本会議)

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○道下大樹君 立憲民主党・無所属の道下大樹です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法案について、断固反対の立場から討論いたします。(拍手)
 冒頭、G7広島サミットを終えられた岸田総理に一言申し上げます。
 各国首脳やゼレンスキー大統領が平和記念資料館を訪問し、慰霊碑に献花を行いました。首脳らが被爆の実相に触れ、核兵器の惨禍を二度と繰り返さない、核兵器による威嚇、使用を許されないという意思を固くしたと信じています。
 しかし、一方で、核軍縮に関するG7首脳広島ビジョンは、被爆者や核兵器禁止条約には言及せず、核抑止を肯定する、核兵器の必要性を強調するものでした。
 被爆者のサーロー節子さんは、自国の核兵器は肯定し、対立する国の核兵器は非難するばかりの発信を被爆地からするのは許されないとし、G7広島サミットは大きな失敗だったと厳しく総括され、日本被団協事務局長は、希望は完全に打ち砕かれた、若者からは、新しい政策がなく残念だ、核廃絶への道筋を示すべきだったと、怒りや落胆の声が上がっています。
 総理、何のために広島で開催したんですか。核軍縮につながるような具体策は全く示せず、核なき世界の実現が理想のまま凍結してしまったようなG7広島サミットだと言わざるを得ないのは非常に残念であります。
 私ども立憲民主党は、政府が、核兵器禁止に向けた姿勢をより一層明確にし、核兵器禁止条約に関与することを強く求めます。
 さて、我が国を取り巻く安全保障環境を考えると、我が党としても、専守防衛に徹した防衛力の抜本的強化や、自衛隊員の方々の処遇改善などにより、防衛費が一定程度増額することは容認しています。
 しかし、防衛費を確保するための財源についての政府の説明は全く不十分であり、本法案について到底賛成できません。
 政府は、今後五年間で総額四十三兆円規模の防衛費を確保するために、約十七・一兆円が追加で必要になるとしています。しかし、この法案で確保されるのは、令和五年度に支出される約一・二兆円を除き、僅か約三・四兆円の税外収入だけであり、防衛増税を始め、残る大部分の財源確保策についての規定は存在しません。
 今回利用するとされている税外収入は、いずれも一時的な財源にしかならず、持続性、安定性を欠くという問題がありますが、更に深刻な問題があります。
 まず、財政投融資特別会計積立金から二千億円繰り入れることとしていますが、この積立金は、本来必要な総資産の五%に遠く及ばない〇・九%であり、金利が上昇したら直ちに不足しかねず、全く不当と言わざるを得ません。
 外国為替資金特別会計の令和五年度剰余金から一兆二千四億円繰り入れることにしていますが、この剰余金は、そもそも政府短期証券で調達されたものであり、それを防衛費に充てる分は政府債務残高が増加してしまいます。
 地域医療機能推進機構、JCHOの積立金に余剰が生じた場合は、関係法令により、年金特別会計に納付しなければならないことになっていますが、今回の法案は、その規定を無効化して、三百二十四億円を防衛財源に充てることを可能とするもので、年金財源の流用そのものであります。
 また、中小企業基盤整備機構の新型コロナウイルス感染症基金の不用見込みの国庫返納金として二千億円程度、緊急小口資金等の特例貸付けに係る貸付原資の不用見込みの国庫返納金として一千億円程度を確保するとしていますが、鈴木財務大臣が答弁されたように、この大宗は国債が原資となっているものでもあり、これも財源ロンダリングの一種ではないですか。
 民主党政権時代に成立した東日本大震災復興財源確保法と比較しても、明らかに生煮えで、欠陥法案と言わざるを得ません。
 政府は、防衛費の財源確保策として、本法案に関する税外収入の利用のほかに、防衛増税、決算剰余金の活用、歳出改革を掲げていますが、これらのいずれについても問題があります。
 政府は、防衛増税として復興特別所得税の流用を掲げていますが、いまだ復興の途上にある被災地の方々の心情をじゅうりんするものであり、到底認められるものではありません。
 この復興特別所得税は、民主党政権時代、国民の理解と協力を得て、二〇三七年までと期間を定めて負担をお願いしたものであり、その一部を防衛増税に流用し、課税期間を十三年間も延長することは、国民に対する裏切りです。
 鈴木財務大臣も、将来世代に御負担をいただかなければならないということも確かと認められましたように、課税期間の延長は若年層に対する増税です。さらに、委員会採決直前の五月十九日、財務金融委員会では、新たな増税であるということをやっとお認めになりました。
 これらの問題点に鑑み、被災者の方々らに御理解いただけるものか、地方公聴会の開催が必要であることを野党一致して訴え続け、結局、法案の委員会採決後に、被災地への委員派遣が了承されましたが、鈴木財務大臣は、被災地住民からどんな意見が出ても復興特別所得税の流用、増税は変更しないと答弁されました。どこまで、被災地、被災者を侮辱するんですか。政府・与党の姿勢は全く許容できません。
 政府は、直近十年間の決算剰余金の平均が年一・四兆円程度であることから、財政法第六条の規定に基づき国債の償還に充当される分二分の一を差し引いた、〇・七兆円程度を毎年確保できると見込んでいますが、この十年間には、コロナ禍で決算剰余金が突出した令和二年度約四・五兆円を含んでおり、極めて甘い見積りであると言わざるを得ません。
 一方で、意図的に決算剰余金を膨らませることは不可能ではありません。実際に、令和四年度予算では、新型コロナ及び原油、物価高騰対策予備費が約二・八兆円、昨年十二月に新設されたウクライナ対応予備費が手つかずのまま一兆円残っており、合計すると約三・八兆円、予備費としては過去最大が不用額とされる見込みですが、その一部が決算剰余金となる見込みです。
 政府は、不用額が生じることが見込まれる場合、特例公債の発行額の抑制に努めるとしていますが、そこに裁量の余地がないとは言えません。予備費の財源が赤字国債であることを踏まえれば、事実上、大量の赤字国債を発行して防衛財源を賄うというスキームになりかねません。
 また、決算剰余金は、年度途中で編成される補正予算の財源とされてきました。防衛財源に決算剰余金を充当する代わりに補正予算の財源として赤字国債を発行するならば、これも、事実上、防衛財源として赤字国債を発行するのと同じであり、いわば財源ロンダリングです。到底認められません。
 歳出改革では毎年二千百億円程度を捻出するとされていますが、その具体的内容は全く明らかにされていません。
 また、今回示されたのは令和九年度までの財源確保策であり、今回の防衛力整備計画の対象期間外とはいえ、政治の責任として、令和十年度以降の展望についても明らかにすべきです。
 政府は、従来は建設国債で防衛費を調達できないとしてきた方針を転換し、令和五年度予算では、既に、自衛隊舎整備や艦船建造などの予算約四千億円の財源として建設国債を充当することを決定しました。
 一九六六年、福田赳夫大蔵大臣は、防衛費は消耗的な性格を有することを理由に、建設公債の発行対象となる公共事業費から除外することが適当であるとの国会答弁を行い、これが政府見解とされてきました。これは、戦時中に戦費調達のため公債が乱発され、我が国の財政、経済に危機的な状況をもたらしたことへの反省からです。今回の建設国債の充当はこの見解を修正するものであるにもかかわらず、海外の事例を持ち出すのみで、十分な説明がなされているとは到底言えません。
 このように、本法案は、防衛力の抜本的な強化のために必要な財源を確保するための法律とは名ばかりの、極めて不十分、不完全な内容のものと言わざるを得ません。しかも、今国会で成立させる必要がないのは、総理御自身が答弁されて明らかになっています。
 そうである以上、本法案は直ちに取り下げて、フルカバー、フルスペックの法案を再提出して、来年の通常国会で十分な時間をかけて審議すべきだということを申し上げ、本法案に対する反対討論を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 道下大樹

speaker_id: 32224

日付: 2023-05-23

院: 衆議院

会議名: 本会議