泉健太の発言 (本会議)
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○泉健太君 立憲民主党・無所属を代表し、岸田内閣不信任決議案について、提案の趣旨を説明いたします。(拍手)
まず、決議の案文を朗読します。
本院は、岸田内閣を信任せず。
右決議する。
〔拍手〕
以下、提案理由を申し述べます。
総理、まず、今回の解散騒動は何だったんですか。総理には全く自覚がないんじゃないでしょうか。周りがなぜ騒いでいるのか。俺にはそんなつもりはないと言うかもしれません。しかし、総理の発言が、総理の含み笑いが、周囲を挑発し、自民党を混乱させ、今回の大きな解散騒動となりました。総理は、自らの権限と影響力を理解していないと言わざるを得ません。
与党には、随分影響を被った方も多いんじゃないですか。野党でも、余りに国会の権威、議員の身分を軽んじた総理の発言に、怒りを覚えた議員の皆様も多いのではないでしょうか。全国の自治体を混乱させ、政治、行政、経済にも大きな影響を与えかねない解散を軽々しく振り回し、当の総理にその迷惑をかけたという自覚がない。だからこそ、私は、議場の見識のある皆様にお訴えをいたしたいと思います。岸田内閣を退陣させる内閣不信任案に賛同いただきたい。
まず、内閣不信任案について、皆様と正しい認識を共有したいと思います。
内閣不信任案の提出は、憲法六十九条に定められた正当な権利であります。一国会に一度のみ衆議院に提出ができ、それが諮られるものであり、乱発できるものではありません。
だからこそ、内閣不信任案の提出は、非常に重い判断の上に出されるものなのであります。一度だけ提出できるというものであるからこそ、提出会派はもちろんのこと、全ての会派にこの不信任案への対応が求められます。
すなわち、現政権、岸田政権に対してどのような姿勢なのか、岸田政権を信任するのかしないのかを問う唯一の機会ではないでしょうか。是非、各党の皆様、岸田政権でよいのか、それを問う採決であるということを御認識ください。
以下、皆様とは、通常国会で岸田内閣が進めてきたことを振り返らせていただきたいと思います。
まず、今年の通常国会は、防衛増税からスタートをいたしました。
十三か月連続で実質賃金が下がり続けている、この物価高の局面で、岸田総理が策定した今年度予算は、防衛費が他の歳出の伸びを大きく上回る予算でありました。五年間で四十三兆円。日米同盟を基軸とした安全保障政策を進めてきた日本が、今後、自ら何をして、米国とどういった協力、役割を担って総合的な抑止力を高めていくのか、そういった緻密な議論がほとんどないままに、五年で四十三兆円の言葉が躍り、二%の言葉が躍り、計画の詳細は委員会で議論もされぬまま、採決にまで至ろうとしたのが防衛財源確保法であります。
NATOでも防衛費二%は十年かけて取り組むものであり、二〇一四年からの取組であっても、いまだにNATOでも二%を達成していない国は多く存在をしております。日本が余りにも急激に防衛費を伸ばすことは、自衛隊の運用上にも大きな負荷をかけ、また、防衛力のバランスを欠くことにもなりかねません。
私たち立憲民主党は、我が国が直面する安全保障環境の変化への対応、また新領域における能力向上の緊急性や重要性に鑑み、防衛費の一定の増額は理解をしております。
しかし、このような急増に伴い多くの無駄が生じていやしないか、戦略的合理性、費用対効果、優先順位などの観点から、納税者の視点から効率的で無駄のない調達や支出になっているか、これを精査して、防衛費の増を限りなく精査していかなければなりません。また、たとえ防衛費をGDP二%としても、その中身が真に戦略的で効率的であるかを更に議論して、国民の理解を得なければなりません。
しかし、岸田総理の説明責任は非常に不十分。隠蔽体質、立ち止まって再考できないような姿勢では、我々が直面する厳しい安全保障環境に臨機応変に対応することはできません。
改めて、防衛費の財源確保法、まずは、防衛増税ありきではなく、国民生活のために歳出改革を徹底すること、そして、予備費や決算剰余金を防衛費に優先的に回すのではなく国民生活に優先的に回すこと、そして、復興特別所得税を転用し防衛増税までを決定するというのは多くの国民にとって反対であるということ、このことを我々は明らかにしなければなりません。子育てや教育、農業など他の予算を強烈に圧迫し、防衛費だけの確保を優先させ、むしろ我が国の、日本の将来を危うくするこの財源確保法、そして急過ぎる防衛力整備に関する財源確保のスキームには、立憲民主党は反対をいたします。
改めて、各党の皆さん、この防衛増税には反対をされている方々は数多くおられるのではないでしょうか。今国会の最重要課題でもあるこの防衛増税について、これを進める岸田内閣を信任するのでしょうか。是非、皆様にはそれを問いたいと思います。
続いて、子育て支援対策についてです。
今、物価が上昇し続けている、このことは先ほども申し上げました。五%ほどの賃上げや、あるいは一・九%の年金支給額の引上げをもってしても、残念ながら、物価上昇には追いついておりません。だからこそ、十三か月連続で、懐に入る実質賃金が下がっているというデータになっております。
そんな中で、政府は、政治は何をすべきなのでしょうか。国民の生活が第一の政治を行うべきであります。歳出の無駄を徹底的に削減し、生活者に優しい税制、公共料金の仕組みを整えること、そして厳しい国民生活を豊かにする、これが政治の役割であります。
立憲民主党は、子ども・子育て政策の財源を、現役世代を直撃する社会保険料の引上げに求めることには反対をいたします。そして、児童手当に伴う扶養控除の全面廃止にも反対です。現役世代の負担増、子育て世代の負担増は、少子化傾向の反転どころか、加速につながるでしょう。
岸田総理のこども未来戦略方針では、給食費の無償化が先送りをされています。非正規雇用対策も未婚対策も示されておりません。このようなことで、ラストチャンスと言われる少子化克服、できるとは到底思えないのではないでしょうか。
現在の少子化は国難であります。この少子化対策、子育て支援にこそ、本気の、本気の財政投入を行うべきではないでしょうか。こうしたことを打ち出さずに、生活に冷や水を浴びせる岸田政権を信任するのでしょうか。各党にはそれが問われていると思います。
子育て予算の三・五兆円も、財源確保策の結論は年末に持ち越されております。財源の一つとされる支援金制度の詳細は不明ですが、医療保険料に定額を上乗せする案が浮上しています。保険の本来の機能が失われかねないばかりか、現役世代の手取り額が減って、企業側の事業主負担が重くなるため賃上げ意欲もそがれ、正規雇用を一層控えることにもつながる可能性があるのではないでしょうか。社会保険の仕組みを使えば現役世代の負担が重くなり、子ども・子育て支援策や少子化対策と逆行してしまいます。子育て世帯や若者の不安は募るばかりであります。
そもそも、岸田総理は、国民の懐を全く重視していない。これだけ物価が上がれば、最低賃金千五百円は、ゆとりのためのバイト代ではないんです。生活の維持に直結する最低賃金ではないでしょうか。
政府には、上がらない賃金や不安定な雇用など、若者の未婚率増加の背景にある構造的な問題への解決策が決定的に欠けております。三十代前半の男性非正規雇用者の有配偶者率、結婚率は約二割ということになっています。正規雇用者の有配偶率は約五割。大きな差があります。五十歳時点の未婚率である生涯未婚率は、男性非正規社員で六割に達しております。
だからこそ、雇用の正規化、最低賃金千五百円に早期に向かっていく、岸田政権にはこうした方向がないのではないでしょうか。
続いて、天下りも問題になりました。
立憲民主党は、使途が不明瞭な膨大な基金、委託業者よる中抜き、腐敗の温床となる天下りなどを徹底的に改革いたします。そして、税制の所得再配分機能が先進七か国で最も低い状況に鑑み、所得税の累進性強化、また一億円の壁を解消する金融所得課税の改革など、格差を是正する税制改革を実行し、財源を捻出してまいります。
私たちは、この天下り問題についても、OBの関与が実質上許され、OBによる口利きで今もなお民間事業者に役職者が入り込んでいく、こういったものを変えるのが政治の使命だと考えております。こうしたことも岸田総理は全く取り組もうとしておりません。
そもそも、新しい資本主義は、今や完全にスローガン倒れとなっております。先ほどお話をした一億円の壁を放置していることがその象徴ではないでしょうか。
立憲民主党は、昨年来、何度も緊急経済対策を提言するなど、国民生活の実情に即した対策の実現を度々求めてきましたが、政府の追加物価高騰対策はその後追いでしかありませんでした。いまだに不十分な内容で、評価できるものではありません。
さて、後半国会では、特にマイナンバーカードのことが問題として挙げられております。国民の関心も非常に高まっております。
岸田政権は、そんな中、健康保険証、現在の紙の健康保険証を廃止し、全てマイナンバーカードに統合する法律案を制定いたしました。しかし、無保険者扱いで十割負担を患者に請求した事例、マイナ保険証に他人の情報がひもづけられていた事例、他人の医療情報が閲覧された事例、本人が希望もしないのにマイナンバーカードに健康保険証が一体化された事例など、様々なトラブルが明らかになっています。医療情報という、プライバシーに密接に関連し、また命と健康に関する情報をめぐるトラブルでもあり、これは国民に関わる極めて深刻な事態です。
また、高齢者施設からは、入所者のマイナンバーカードや暗証番号を管理できないではないか、このような声も上がっております。また、オンライン資格確認システムの運用を開始した医療機関は、義務化対象施設でも約八割にとどまっていて、不具合も多く報告されています。
このまま健康保険証を廃止すれば、国民皆保険を揺るがす危機的な状況を招くおそれがあります。紙の保険証を存続させるべきであります。
立憲民主党は、質疑でも岸田総理に直接要請をし、そして厚生労働省にも申入れをし、健康保険証の存続を求めております。しかし、岸田政権はかたくなにそれを拒み続けているではないですか。国民の不安を顧みない岸田政権がこれ以上続くことは許されないのであります。
政治資金問題についても様々な課題が浮上しました。また、大臣の辞任という問題も相次いでいるのが岸田政権であります。
昨年八月の改造内閣発足以降、旧統一教会問題で辞任に追い込まれた山際元経済再生担当大臣、事務所賃料や故人の名前を会計責任者欄に記入したなどを指摘されて総務大臣を更迭された寺田元総務大臣、統一教会問題と選挙運動報酬の問題で更迭をされた秋葉復興大臣、死刑に関する発言で引責辞任となった葉梨大臣、大臣だけでも相次いでおり、さらに、荒井秘書官、そして息子の翔太郎秘書官、側近二人も辞任をしております。このようなたがが緩んだ緊張感のない政権は、替わってもらう必要があるんじゃないでしょうか。
続いて、今国会の、これも国民の関心事項であるはずです、調査研究広報滞在費、いわゆる旧文通費の改革、自民党、どうなったんでしょうか。
立憲民主党は、文書通信費について、日割り支給導入、また、差額の自主国庫返納を可能にする、使途報告・公開などを定めることを内容とする歳費法改正案を他党とともに衆議院に提出し、国民目線での改革を目指してきました。いまだ残る国庫返納、そして使途報告・公開などの議論は、この国会で決着をつけるんだったのではないでしょうか。
この文書通信費問題、現在の調査研究広報滞在費問題を放置する岸田政権を信任していいんでしょうか、皆さん。信任していいんでしょうか。それが問われているのではないでしょうか。自民党には、岸田総裁には、この文書通信費問題、今国会で結論を出していただきたい。そうでないならば、退陣をしていただきたい。まさに改革や無駄遣いへの本気度が問われるのではないでしょうか。
さて、今国会は、多様性の問題、人権の問題、生きづらさを抱えている当事者をどう守るかという問題も大きな議論となったのではないでしょうか。私は、ソフトに見える岸田内閣が、こんなにも当事者を無視する、そんな総理大臣だとは思いませんでした。多様性をおろそかにする、そんな総理大臣だとは思いませんでした。
いわゆる入管法。日本の難民認定率が異常に低いこと、これは与党の皆さんでも認めざるを得ないのではないでしょうか。一方で、技能実習生など外国人労働者の扱いが過酷であり、また、我が国の多文化共生施策が不十分であるために、また、これまでの大変過酷な入管行政も含めて、これまで我が国の難民行政には問題がありました。
こうした重要課題を改善するために、立憲民主党は政府案に対抗して対案を提出いたしましたが、残念ながら一顧だにせず、成立せず、遺憾に堪えません。八日の参議院法務委員会では、委員長職権による政府案の強行採決が行われ、到底通常の委員会運営ではなかったことに厳しく抗議をいたします。
今回国会に提出された政府案は、二年前に多くの国民の批判を受けて廃案となった旧法案の焼き直しにすぎません。送還停止となる難民認定の申請回数を二回までとし、退去命令違反に対する罰則を設けた。保護されるべき難民が、逮捕、投獄、拷問、こうした迫害が待っている母国に強制的に送還される可能性があり、また、罰則を創設しても、長期収容が解消されるかは大いに疑問です。
政府側の立法事実は明らかに崩壊しています。入管行政と難民審査をめぐり、次々と問題が発覚したのではないでしょうか。入管改革に関するこれまでの説明は根底から覆されています。また、特定の難民審査参与員に難民認定の審査が著しく偏っていた問題も判明しています。
日本の極端に低い難民認定率に深刻な懸念が示され、司法審査を経ない身体拘束、無期限収容を国際法違反の人権侵害だと批判され続けており、国際機関からは度々勧告まで受けています。
我が党は、立憲民主党は、議員立法の難民保護法そして入管法改正案の二本を提出いたしました。出入国を管理、規制する入管庁ではなく、政府から独立した、難民を認定する、保護する第三者機関の創設を提案し、収容に当たっては、裁判所の許可を要件としました。
世界全体で難民の数が一億人を超えている状況の中で、日本が難民の保護、支援に取り組む国際社会において名誉ある地位を占める、これは当然のことではないでしょうか。日本に暮らす外国籍の皆さんが安心して生活し就労できる環境を整えるため、立憲民主党は、これからも全力で取り組んでいく決意であります。こうしたことにも後ろ向きなのが岸田総理でありました。
そして、LGBT理解増進法も、本日、参議院で可決をされてしまいました。本来は当事者のための法律であったものが、当事者無視の法律案となり、当事者から失望と怒りの声が上がる法律として可決されてしまった。誠に残念であります。私たち立憲民主党は、当事者の皆様とともに怒りを持って抗議いたします。
改めて、私たちは、当事者を大事にする、困っている方々を助ける、この視点が政治になければならない、内閣になければならない、しかし岸田政権にはそれが欠けている、このことを申し上げなければなりません。
同性婚の法制化についても同様です。
同性カップルに何ら法的保障がないのは、G7では日本だけであります。日本でも、世論は既に同性婚の法制化を容認する意見が多数ではないでしょうか。裁判所でも、次々と、憲法違反であるという判決が相次いでおります。永田町の、更に一部の政府・自民党だけが同性婚の法制化に反対し、憲法に違反する状態を固定化させているのです。このような理解のない政権を信任するのでしょうか。
日本国憲法は、全ての人に幸福を追求する権利を保障しています。立憲民主党は、誰もが愛する人と結婚して幸せになりたい、その願いをかなえたいと考えております。性的指向や性自認によって差別されることは許されません。立憲民主党は、同性婚を法制化するための法律も提案をしております。
岸田政権は、この法案を審議しようともせず、同性カップルのささやかな願いすらかなえようとしておりません。これは日本の活力をそぐことでもあります。人権軽視の姿勢で、家族が変わってしまうなどととんでもない見識を持っている今の政権を替えねばならないのであります。
国民生活を無視、国民には負担増を強い、そして防衛増税、さらには社会保険料の引上げ、子育て政策は不十分、こうした岸田政権に私たちは不信任案を提案いたします。
改めて、解散権という伝家の宝刀を抜くぞという構えを示していた総理はこれまでもあったかもしれませんが、最初からその刀を振り回している岸田総理の言動は前代未聞であります。何と立憲民主党側の不信任案の提出をもって解散するかどうかを判断するかのような、あたかも提出側に解散権を移譲するかのごとくの姿勢には、全く驚きを感じました。このような不見識な総理はかつて存在しなかったのであります。
こうした異常な政権運営を続けた岸田総理が政権を担う資格がないのは明白ではないでしょうか。速やかに退陣をすべきであります。
そのほかにも申し上げたいことは多々ありますが、以上を申しまして、私の趣旨弁明を終わります。(拍手)
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