打越さく良の発言 (憲法審査会)

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○打越さく良君 立憲民主・社民の打越さく良です。
 緊急集会制度により衆議院の総選挙中における緊急の事態に対処することができることは、本院の存在理由の一つとされているものであり、憲法学者の清宮四郎は、外国にもほとんど類例を見ない制度であると指摘しています。この外国にもほとんど類例を見ない制度こそ本院の存在を光り輝くものとしているのであり、緊急集会制を否定、あるいは毀損しようとする議論は、本院の権威をおとしめるものにほかなりません。その運用の細部について学説を検討することは大いに結構なことですが、その際には、本院の権威を一層高める方向で議論すべきであることは同僚議員の誰もが同意されるものでしょう。
 こうした観点に立てば、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合に緊急集会を開くことは、内閣の判断により解散されたときだけではなく任期満了後の場合にも議院の緊急集会を求め得るものとの高見勝利先生の説を取るべきです。
 また、権力の抑制と均衡を確保することが憲法の趣旨にかなうのですから、緊急集会に関する憲法第五十四条第二項を衆議院が存在しない例として解散の場合を定めたものと解し、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合にも本条を類推適用して、国に緊急の必要あるときは内閣は緊急集会を求めることができるとの土井真一教授の説を取るのが適当です。
 さらに、例外的な場合には、第五十四条を類推適用することで、解散ではなく任期満了後であっても内閣が参議院の緊急集会を求めることができるといった只野雅人教授の解釈に立たなければなりません。それは、衆議院が存在しない状況で緊急集会を認めなければ、内閣が緊急事態の法理に依拠するなどして単独で必要な措置を講じる事態を招きかねないからです。その旨、土井真一教授も指摘しておられます。
 これらに否定的な学説があるからといって、起こり得る事態に対応できないという選択肢を参議院が取るわけにはいきません。まして、この件をもって憲法を改正しようとするのは、トイレに鍵が付いていないから家を建て替えるというような誠に本末転倒な議論です。
 昨年四月の本審査会において赤坂幸一参考人は、帝国憲法下の緊急勅令は、議会ではなく執行部の手段ですので、私の観点から、それを緊急時においてこそ統制、更に別の観点から統制する議会的組織を確保するということの視点がやはり更に重要なのではないかと考えますと述べています。こうしたことからも、本院の緊急集会制はその趣旨にかなったものです。
 かつての帝国議会における新憲法審議の担当大臣となった金森徳次郎は、GHQとの交渉で、当時の松本烝治国務大臣があくまでも二院制を主張し、万一衆議院の解散の場合に国務遂行の支障が起こることに備えるため、憲法五十四条に参議院の緊急集会の制度を設けることに成功したと当時を回想しています。
 こうした原点に立ち返るならば、緊急事態において本院が国会機能を十二分に代行するため、常に自己研さんを怠らず、国民の負託に応え得る議院とならなければならないことを強く訴えて、私の討論を終わります。

発言情報

speech_id: 121114183X00120230405_027

発言者: 打越さく良

speaker_id: 26780

日付: 2023-04-05

院: 参議院

会議名: 憲法審査会