佐々木さやかの発言 (憲法審査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。
合区問題について意見を申し上げます。
先日の参考人質疑では、合区対象県の知事等から大変貴重な御意見をいただきました。合区対象県では合区後の参議院選挙区投票率が低下をしているということで、一部の県のみが合区対象となることへの不公平感を強く感じているという趣旨のお話でございました。
私ども公明党は、全国を十一のブロック単位とする個人名投票による大選挙区制を提唱しています。合区は特定の県のみが県単位の議員を選出できないことから、当該住民から多くの不満があると認識をしております。私どもの案は、投票価値の平等と地域代表的性格の調和の観点に立つものであり、一つの解決策となるのではないかと考えるものであります。
これに対して、参議院の選挙区は都道府県単位とすべきであり、合区は解消すべきとの意見もあります。しかしながら、日本国憲法は、第四十三条で、両議院は全国民を代表する選挙された議員でこれを構成するとしており、衆議院、参議院両院を全国民の代表としております。そして、その権能もほぼ同等としていることが特徴であります。そのことから、一票の価値の平等が重要な憲法上の要請となっており、平成二十四年最高裁判決にあるように、都道府県を参議院議員の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はありません。したがって、現行憲法下で参議院の選挙区を都道府県単位とし合区を解消するということは、現状難しいと言わざるを得ません。
そこで、憲法を改正し、参議院を都道府県の代表とするという議論が考えられます。しかしながら、その場合、現行憲法下で衆参ほぼ同等とされている参議院の権能をどう考えるのかという問題が生じます。
令和四年六月八日の本憲法調査会での上智大学の上田健介参考人は、衆議院と参議院との権限関係について次のように述べておられます。
権限と組織は相関関係にあると考えられます。二院制を取る欧州諸国を見ても、完全に対等の権限を持つイタリアの元老院では人口比例の議席配分が要請されているのに対し、立法では実質的に約一年間の停止的拒否権しか持たないイギリスの貴族院は任命制、同じく立法で意見が一致しない場合には国民議会の議決が優先されるフランスの元老院、これは間接選挙であり、人口比例、緻密な人口比例を論じる以前のやり方を扱っています。両院の権限が対等であれば第二院の民主的正統性、すなわち投票価値の平等は強く求められ、非対等であるならばこの要請はかなり弱まるということです。この論理は、日本においても同じだと考えられます。
それに続けまして、参議院が法案等の審議に際し衆議院の判断に敬譲する態度を示していくならば、投票価値の平等の要請は弱まるのではないかと考えられます。二つのポイントを考え合わせると、参議院と衆議院とを対等で同じ役割を果たすものだという方向に寄せていくならば、その分、投票価値の平等の要請も衆議院と同様に求められることになります。他方、参議院を衆議院と異なる形で民意を反映させるため、投票価値の平等にこだわらない選挙制度を考えるのであれば、特に立法に関する決定権限を弱めるべきだということになりますと、このようにおっしゃっております。
現行憲法でも、衆参の議決が異なった場合、衆議院が出席議員の三分の二以上の多数で再び可決した場合には法律となるとしておりますが、この法案の議決権を今よりも更に弱めるということであります。
しかしながら、法案の議決権というのは、立法府、参議院にとって最も重要な権能の一つであると考えます。衆議院と異なる多様な民意の下で選出されたとしても、それを法案の議決に反映できないとすれば、参議院の役割は現在と大きく異なるものになることが想像されます。もちろん、行政監視機能などの参議院の独自性の議論は重要でありますが、都道府県代表ということを考える場合には、権限と組織の相関関係ということについて注意深く議論すべきと申し上げ、意見とさせていただきます。