金谷雅史の発言 (農林水産委員会)

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○参考人(金谷雅史君) こんにちは。千葉県の酪農家の金谷と申します。ありがとうございます。
 私は酪農家で、今日も搾乳してきたんで、何でしょう、こういった資料を基にプレゼンテーションするというのは苦手ですので、文章を書いてきましたので、読み上げますので聞いていただければと思います。
 最初にお伝えしたいことは、私の意見は、千葉県のみならず、SNSなどを通じて広く酪農家から聞き取りを行っての意見です。集めた意見は全て別紙に配っておりますので、折を見て拝読いただければ幸いです。
 加えて、金谷牧場の青色申告決算書を過去から遡って六年分添付いたしました。生の数字を是非御覧になってみてください。加えて、過去三年間の乳価の推移と輸入飼料の推移も添付いたしました。全て私の経営の数字です。牛飼いがまとめた数字ですので、見づらい部分も多々あるかと思いますが、見てみてください。
 あと、ネット中継などもございますので、読み上げての説明は割愛させていただきます。御質問いただく際もお気遣いいただくよう、お願い申し上げます。
 先に一点だけお願いがあります。
 先月十日にお隣韓国で口蹄疫が発生したとの報道を見ました。既に注意喚起はされていることと思いますが、先生方も襟を正す気持ちで、周りにも注意喚起をしっかりお願いします。
 参考までに、当時、宮崎口蹄疫を経験した方の声を御紹介します。薬殺するときの牛のもがき苦しむ姿が頭から離れない、牛を売ることもできず、ただただ借金だけが膨れ上がり、牛との自死を考えた、口蹄疫終息と言われるまでの約五か月、人間の行き来も制限され、周りの牛も殺され、ぼろぼろなのに、その後の風評被害で牛も売れなくて、口蹄疫から免れた人たちも離農や自死をしていったということでコメントをいただきました。
 私自身も、ニュースしか聞いておりませんでしたが、生の声を聞いて大変心苦しく思いました。厳格に対応いただきたいです。特に、韓国からの渡航客には全員消毒槽を踏んでもらう、手荷物検査で肉類を没収するくらいの気持ちで対応いただきたいです。よろしくお願いします。
 さて、まず、今現状の酪農情勢について振り返りたいと思います。我々酪農家の収入の基礎となる乳代ですが、昨年十一月、飲用乳価十円値上げ以来、再度の飲用乳価十円の値上げが本年八月に控えています。時間は掛かっておりますが、乳価へのコスト反映は着々と進んでいます。当初求めた三十円の乳価値上げも残り十円ですので、八月以降は来年の四月の値上げを目指して指定団体には交渉を進めてもらいたいと思っております。
 しかし、またも為替が百四十円台の円安で、不穏な動きを見せています。もうこの酪農危機の底は脱したと思っていましたが、また悪化するのではないか、そんな不安が拭えない状況です。輸入乾草や配合飼料の価格もこれから落ち着いていくと思っておりましたが、為替の浮き沈みによってまた値上げ基調になっていく可能性は否定できません。ですが、子牛、成牛の販売価格は一時期より良くなったので、そこだけが救いだと感じています。いつになったら終わりが来るんだろうかとほとんどの酪農家が思っています。早くしっかりもうけが出るようにしてほしい、そこに尽きると思います。
 つきましては、今現在、国の農政に関して御意見を述べさせていただきます。
 最初に、世界情勢や為替の影響を多大に受けている我々酪農家ですが、更に厳しいのは消費者ではないかと思います。我々がコスト転嫁を乳価に求めますと、必ず市場価格が上がります。幾らコストを転嫁したところで、消費が落ちてしまっては意味がありません。最近では、牛乳類よりも価格の安い低脂肪乳などが販売を伸ばしていると聞いております。ならば、消費者支援ももっと力を入れていただきたいと思います。北海道では、子育て世代に牛乳券、お米券が配られているそうです。そういった支援はできないでしょうか。消費者の皆様が国産農産品を消費したくなるような農政を是非ともお願いいたします。
 また、理解醸成活動ももっと力を入れるべきかと思います。農水省もユーチューブにて発信しておりますが、まだまだ日本の国産農産品を選んでいただけるには足りないと感じています。国として行うのは難しいかもしれませんが、国産農産品をもっと食べていただきたいと思ってもらえるテレビCMなど打てないでしょうか。その際は、是非とも現場の人間を出演させて、同じ日本人が頑張っている姿を見てもらうことでより農業者の立場も向上すると思いますので、一層創出にもつながると思いますので、需要の創出につながると思いますので、御検討ください。
 次に、酪農経営改善緊急支援事業、いわゆる早期リタイア事業についてです。
 こちらの事業は、低能力牛を一頭屠畜すると国庫から十五万の補助金をいただける事業です。この事業は、農水省にも先生方にも、後ろ向きな評判と耳に入っているのではないでしょうか。減産の一助になればということは分かりますが、要件にしている廃業者が使えないことと二年間減産目標を達成することの二点と、一頭十五万という額が問題だと感じています。
 まず、廃業者がもらえないのはなぜなんでしょうか。当然ながら、廃業者も減産に一役買っています。営農を続けてほしいという意味での廃業者は使えないという要件だと思いますが、この要件はない方がよかったのではと思っております。恐らく廃業補助金というのは認められないだろうと思いますが、業界全体で減産を推進しているのなら、廃業希望者もやめやすい環境づくりは必要かと思います。
 加えて、二年間の減産目標ですが、これも厳しいです。低能力牛の牛を一頭屠畜したら二年間は牛の補充ができないのがこの要件だと思います。二年間一頭分の枠を空けて減産するならば、二十万円ではとても足りません。私が思うに、四十万くらいであれば検討に値するといったところでしょうか。若しくは、二年ではなく一年にしていただくことも有効かと思います。
 今からでもこの事業の要件緩和をしてみてはいかがかと思います。せっかく付けてくれた予算が未達で終わってしまうようでは、納税者の方らに申し訳が立ちません。やめたい人がやめられる、続けたい人が続けられるような補助金要件を期待します。
 蛇足ですが、北海道で生乳廃棄が行われていることがテレビで流され、大変話題になりました。このことについて、特にどこの団体からも調査報告などがありません。世間が注目したのに、このまま何もなく過ぎ去ってしまっていいのでしょうか。関係団体に、このことを調査して報告するよう、先生方から御進言いただけないでしょうか。でないと、心配されている消費者の方も留飲も下がらないと思います。
 今後も、こういった減産のための補助金が必要なことが、幾ら需要の創出をしようとも、また来ると思います。酪農危機は必ず需給ギャップと飼料高騰のセットで起こっております。そのときのために、しっかり業界全体で効率よく減産に取り組めるシステムづくりが必要ではないかと感じています。
 また、北海道にばかり需給の調整弁をさせているのが忍びないと思っている全国の酪農家がたくさんいます。だからといって、全国的に一律に減産をすると、地域に根差した都府県の乳業メーカーなどは販売量が落ちてしまうので収益が落ちてしまいますし、元々生乳が足りない地域は更に足りなくなります。ですから、どうしても北海道にそのしわ寄せが行ってしまうわけですが、ここに強力に支援するべきだと思っております。可能かは分かりませんが、北海道のみに向けられた減産支援政策があってもいいと思いますし、生産者が協力して拠出金を集めて北海道に向けるといいのではないかと思います。これについては全国的な協議が必要かと思います。私一人の意見ではそう思っているんですけれども。
 ひとまず需給ギャップと、あっ、ごめんなさい、一たび需給ギャップと飼料高騰が起これば速やかに減産して、いち早く乳価を上げやすい状況をつくることが最も酪農危機に対して効率的な防御策なのではないかと私は考えます。ですが、あわせて、需要の創出も強力に進めていくような政策を期待します。
 次に、酪農家の離農が加速度的に進んでいる問題についてです。
 もう中酪のアンケート結果などから御存じかと思いますが、毎日赤字を積み上げているような現状では、離農を選ぶのも無理はないと思います。ただし、離農の中身に関しては、高齢を理由に離農された方が多いというのを目にしました。この点についてですが、私は決して高齢だから離農したわけじゃないのではと思います。つまりは、自分の子供に酪農を継がせられないと思ってのことで、結局、後継者問題なのではないでしょうか。働いたら働いた分だけもうけが出るならば、皆一様に後継者に継がせたことと思います。
 せっかくつくり上げてきた生産基盤が日に日に失われています。地域によっては、牧場がなくなれば町、村の消滅につながるという地域があります。特に小規模牧場でもうけが出づらい状態が長く続いていたと思います。頭数飼って何ぼ、スケールメリットといった、大規模化したなら利益が出やすくなるのが酪農業界だと思います。ならばこそ、小規模牧場若しくは新規就農者こそ手厚い支援をするべきではないでしょうか。
 酪農業界は、昨今のクラスターによる大規模化が進んでまいりました。ですが、この大規模牧場も永遠ではないと思います。次の大規模牧場がどこから生まれるのか、それは中規模牧場から。中規模牧場はどこから生まれるのかは、小規模牧場からといった具合に、裾野産業であることを御理解いただきたいです。今、その裾野の麓も麓、足下の家族経営の小規模牧場がどんどん減っています。これは、二十年、三十年たったときに大きなデメリットになると思います。
 若者の業界参入を強力に後押しできるような体制になっていなければ、酪農の未来は衰退すると思います。形としては戸別所得補償のような形がいいのではないかと思いますが、先ほど不足払いとか酪農マルキンの話がありましたが、私としては戸別所得補償のような形がいいと思いますが、先生方の深い考えにお任せいたしますので、御検討いただければと思います。
 最後に、以前から、酪農家の社会的地位がとても低いと感じている酪農家が大変多いです。三百六十五日休みのないこの仕事をボランティアでやっているわけではありません。生活があります。ですから、人並みに休みたいし、その上でもうけが欲しいです。しかしながら、現状はその逆。休みはなく、もうけが出ない。今、営農している私たちがしっかり休みを取れる、その上で、人よりも多く働くのだから、その分のもうけが確保できないと、胸を張って若い人らに勧められません。今、新規就農希望者がいても、掛ける言葉は、今はやめておけという人がほとんどです。
 百年後の日本酪農のありようを想像しても、ネガティブな想像しかできません。遠い未来では、日本人の手で搾った牛乳はほんの一握りになってしまい、日本は酪農業が盛んだったと昔話にならないでしょうか。
 ですから、明るい日本酪農の未来を見据えて今の酪農業界をどう進めていくべきか、先生方の深い議論と更なる御支援をお願いいたします。そのためならば、私自身、骨身を削って協力することを惜しみませんので、どうぞお声掛けください。
 最後の最後でもう一つだけお願い申し上げます。短期的な支援がいまだ必要な酪農家が多いので、是非とも一頭十万円の補助金を御検討いただけるようお願い申し上げます。
 百年後も日本酪農が存続し、子孫らが酪して生き抜いている明るい未来を期待します。先生方、本日は世界牛乳の日です。今日は是非牛乳で乾杯をしていただければと思います。よろしくお願いします。
 御清聴ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 金谷雅史

speaker_id: 6708

日付: 2023-06-01

院: 参議院

会議名: 農林水産委員会