田村智子の発言 (本会議)
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○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部改正法案について、斉藤国交大臣に質問いたします。
本法案の最大の焦点は、ローカル鉄道の再構築の名の下に、赤字を理由としたローカル線の廃止、バス等への転換が大規模に進みかねないことです。
昨年、JR各社は、輸送密度一日一キロ当たりの乗客数二千人未満の路線及び区間を相次いで公表しました。さらに、国交省の検討会では、輸送密度千人未満の路線、区間について、バス転換等の選択肢を示し、関係自治体と鉄道事業者による再構築協議会を設置し、ローカル鉄道の在り方について三年以内に結論を出すよう求めました。この提言を受けて、本法案では、鉄道事業者、自治体どちらかの要請により、国交大臣が再構築協議会を組織するとしています。
提言が指標とした輸送密度千人未満の路線、区間はどれだけあるのでしょうか。政府は、この路線、区間全てを再構築協議会の対象と考えるのか、更に広がる可能性はあるのか、併せてお答えください。
今年三月、JR東日本が、初めて赤字を理由として、千葉県の久留里線、久留里―上総亀山間のバス転換を検討すると発表しました。
大臣は、国としては、廃線ありき、存続ありきの前提を置かず、あくまで中立的な立場で議論を促すとしていますが、では、事業者がバス転換という方向性をあらかじめ示して再構築協議会の設置を要請した場合、自治体は拒否することができるのでしょうか。
大臣は、協議会の組織に反対している自治体がいた場合、国として粘り強く調整すると述べていますが、これは何をするのですか。協議会を組織しないという結論はあり得ないということですか。お答えください。
衆議院での我が党議員の質問に、斉藤大臣は、再構築協議会の結果、鉄道として存続する線区が一定数出てくる可能性があるのではないかと答弁しました。つまりは、相当数の線区がバス等に転換されることを想定しているのでしょうか。
地域の合意なしに鉄道を廃止した路線はないと大臣は断言していますが、自治体との協議で五年前に廃線となった三江線について、島根県知事は、大きな会社と小さな自治体が、協議するとはいいながらも、事実上はもう抗し切れない構図の下で廃線が決まっていったと述べています。
これまで廃線に追い込まれたローカル線の多くを見ても、事業者であるJRが赤字を理由にバス転換を主張すれば、自治体は住民の足を確保するためにやむなく廃線を受け入れざるを得なかったというのが実態ではないでしょうか。このように、再構築協議会での合意が事業者の廃線ありきの方針を受け入れることにならない保証がどこにあるのか、お答えください。
また、再構築協議会には利用者を必ず入れるべきではないですか。国交省は、公聴会等で住民や利用者の意見を反映すると説明していますが、JR北海道の運賃値上げの際、公述人全員が値上げ反対であったにもかかわらず、当時の国交大臣は値上げを認可したではありませんか。公聴会が意見を聞いたという形式的なものにならない保証はどこにあるのか、答弁を求めます。
協議会が再構築方針として鉄道の維持、高度化を選択するに当たって、国はその指標を示すのですか。大量輸送機関としての鉄道の特性を発揮することが困難であっても、鉄道の維持を選択することは可能か、お答えください。
協議運賃制度の創設についてお聞きします。
法案では、鉄道事業者、地方自治体、地方運輸局の協議で定め、国の認可の例外として届出だけでよしとしていますが、主にどういう路線での活用を想定しているのですか。赤字ローカル線で活用されれば、認可運賃の上限を超えた値上げが可能ということでしょうか。
タクシーの協議運賃制度では、認可運賃よりも低くなる下限割れが危惧されますが、そうならないという条文上の歯止めはありますか。国交省は、不当な競争を引き起こす運賃が認定、設定された場合は変更命令を出すことができると胸を張りますが、現に運賃を引き下げる事業者がいる下で、一度でも変更命令を出したことがあるでしょうか。また、協議運賃は交通空白や交通不便地域が対象といいますが、タクシー特措法に基づく特定地域、準特定地域から外れれば、東京や大阪でも協議運賃が可能となるのではありませんか。
そもそも、本法案の策定に当たって、政府として、ローカル線を含む鉄道網を国土計画、国策にどう位置付けたのでしょうか。
衆議院の参考人質疑では、関西大学の宇都宮浄人教授が、ヨーロッパでは地域公共交通は独立採算のビジネスではない、地域公共サービスとして公的資金で支える仕組みになっている、イギリスはグリーン産業革命で鉄道路線の拡大、復活ということを言っていると指摘し、オーストリアやドイツでの鉄道シフトの事例も紹介されました。
大臣は、温暖化対策として鉄道は重要であると繰り返し述べていますが、ならば、自動車から鉄道へのシフトを数値目標を持ち、ローカル線、貨物を含めた鉄道網の活用を国策として早急に示すべきではないでしょうか。
同じく参考人質疑で、北海道教育大学の武田泉准教授は、バス転換の問題として、自治体ごとにぶつ切りで運行していることで、鉄道が有していた広域性とかネットワーク性が大きく損なわれていると指摘しました。
北海道の深川と名寄を結ぶ深名線は、九五年に廃線、JR北海道がバスを運行していますが、深川―幌加内、幌加内―名寄など分断された路線となり、本数も減少。さきに紹介した三江線も、中国新聞の記者が広島県三次から島根県江津までバス移動した記事を掲載していますが、六つの路線バス、乗り継ぎの待ち時間も三時間など、広域移動が著しく損なわれたことは明らかです。
地域のバス路線は、日常的な暮らしの足として大切です。しかし、鉄道網はバス路線とは異なる役割を担っています。誰もが広域に移動できる、全国に移動できる、全国から地域に人を呼び込む、この鉄道網があってこそ、地域活性化の可能性が広がるのではないでしょうか。
北海道など、鉄道の廃線、駅舎の廃止が地域にどのような影響を与えたか、バス転換は地域活性化につながったか、まず国として検証を行うべきではないでしょうか。また、過疎化に苦しむ地方の活性化として、鉄道網であるローカル線の維持と活用の抜本的な政策こそ必要ではありませんか。
鉄道を存続させる方策として、上下分離方式が示されています。我が党は、国が鉄路と駅施設を保有し、運行を事業者が行う国有民営方式への転換を提言しています。
只見線など、広域に自治体が議論し、連携し、上下分離で自治体がインフラを保有し、バス路線への転換を許さず鉄道を存続させた努力は、国こそ学ぶべきものです。
国交省は、自治体の上下分離方式に補助金を出していると言いますが、これも含め地域鉄道の維持、活用のための今年度予算は総額幾らか、他方、自動車道路の建設、保守管理の予算は総額幾らか、併せてお答えください。
国鉄分割・民営化によって地域鉄道は民間任せ、一方で、国は自動車道路、空港、港湾建設に巨額の予算を投じる政策を続けてきました。国民の財産である鉄道網を衰退させ、地域の過疎化に拍車を掛けてきたと言わざるを得ません。その反省に立ち、鉄道網を守り生かす政策への転換を求め、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕