斉藤鉄夫の発言 (本会議)
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○国務大臣(斉藤鉄夫君) 田村智子議員にお答えいたします。
まず、再構築協議会の対象についてお尋ねがありました。
地域モビリティ検討会の提言に基づく輸送密度千人未満の線区は、JR各社の公表資料によりますと、令和元年度の実績で六十二路線の百三線区となります。ただし、この基準については、国が協議の場の設置を判断するに際しての一つの目安として示されたものであります。ローカル鉄道が各地域で果たしている意義、役割は様々であり、再構築協議会の設置の判断に当たっては、自治体や鉄道事業者等の関係者の意見をよく聞いて、個別具体に判断してまいります。
次に、再構築協議会の設置に係る議論の前提について、JR東日本の久留里線を例にお尋ねがありました。
まず、JR東日本の久留里線、久留里―上総亀山間について、JR東日本は、自治体への協議の申入れに当たって、バス転換を議論の前提にはしていないと承知しております。仮に事業者がバス転換を前提に再構築協議会の開催を要請してきた場合には、当該事業者に対し、前提を置くことなく協議に臨むよう指導することとなります。
また、御指摘の答弁は、御指摘の私の答弁ですけれども、国として再構築協議会の設置が必要と判断した場合においては、協議会の設置に反対している自治体に対して粘り強く調整していくことを述べたものでございます。
次に、先日の答弁を踏まえ、再構築協議会の結果、相当数の線区がバス等に転換されることを想定しているかについてお尋ねがございました。
先日の私の答弁は、これまでの上下分離方式の実績及び各地の鉄道維持、高度化に向けた熱意を踏まえれば、再構築協議会の関係者による議論の結果、鉄道として存続する線区が一定数出てくるのではないかということを答弁したものです。
他方で、再構築協議会は、廃止ありき、存続ありきといった前提を置かず議論するものであるため、地域での議論の結果、バス等に転換される場合もあるものと考えております。
次に、再構築協議会での合意が廃線ありきの方針を受け入れることにならない保証についてお尋ねがありました。
協議会において、再構築方針は、自治体を含む関係者の協議が調うことが前提であり、地域の了解なく廃止の方針が決定されることはありません。その上で、国としては、中立的な立場を堅持しながら、調査事業や実証事業も活用して鉄道事業者に必要な情報の開示を求めるなど、ファクトとデータに基づき議論を進めてまいります。
再構築協議会の構成員と公聴会の運営についてお尋ねがありました。
再構築協議会においては、自治体、事業者、関係する公共交通事業者のほか、利用者を始めとする国土交通大臣が必要と認める者についても構成員として協議会への参加を求めることができることとしております。
地域にとってあるべき公共交通の姿を協議していく上では、利用者を含め幅広い御意見をお聞きして丁寧に議論をしていくことが必要と考えており、公聴会やヒアリング等の実施に当たっては形式的な意見聴取に終わることのないように努めてまいります。
次に、大量輸送機関としての鉄道特性を発揮することが困難な路線の維持についてお尋ねがありました。
輸送需要の大幅な減少により、大量輸送機関としての鉄道特性が十分に発揮できない状況にあるローカル鉄道について、自治体が、地域における町づくりや観光振興の取組と連携しながら、利用者の利便を確保し、利用者を回復させつつ鉄道の維持を図っていくことは十分あり得ると考えています。こうした判断は個々の地域、線区の状況に応じて個別に行われるべきと考えており、国として何らかの指標を示すことは考えておりません。
次に、協議運賃制度についてお尋ねがありました。
鉄道については、赤字路線での適用を想定しており、例えば並行するバスとの共通運賃化を実現する等、利用者利便を確保するため、認可運賃の上限を超える運賃設定を含め地域の実情に応じた柔軟な運賃設定を可能としています。
タクシーについては、御指摘の認可運賃よりも低い運賃を設定することを禁じる規定はありません。また、タクシーの運賃について過去に変更命令を発動したことはありませんが、運賃協議に当たっては、自治体、交通事業者、地方運輸局長等により適切な運賃が設定されるよう協議されるものと考えています。
今般の制度では、運賃を一定の範囲に規制することによって過当競争を防ぐ必要がある、いわゆる特定地域、準特定地域を対象としていません。現在の需給状況においては、東京や大阪などの都市部が直ちにこれらの地域の指定から外れることはないと考えています。いずれにせよ、協議運賃制度の適切な運用を図ってまいります。
次に、自動車から鉄道へのシフトの数値目標の設定と鉄道網の活用についてお尋ねがありました。
国土交通省においては、令和三年十二月に国土交通省環境行動計画を策定し、自動車から鉄道を含む公共交通機関へのシフトに関する数値目標を設定しています。
旅客については、自家用自動車からの乗換輸送量を二〇一三年度の三十八億人キロから二〇三〇年度に百六十三億人キロに増やす目標、また、貨物については、鉄道貨物による輸送量を二〇一三年度百九十三・四億トンキロから二〇三〇年度に二百五十六・四億トンキロに増やす目標をそれぞれ設定しています。
この目標の達成に向け、鉄道網を活用しつつ、旅客については、MaaSの社会実装、駅前広場等の交通結節点の整備等を通じた公共交通機関の利用促進、貨物については災害時の代替輸送を円滑に行うための施設整備等を行うことで、自動車から鉄道を含む公共交通機関へのシフトに取り組んでまいります。
次に、鉄道網による地域活性化の可能性、鉄道廃線による地域への影響、ローカル線の維持と活用の抜本的な政策についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、鉄道の特性の一つとして、ネットワークの存在により、広域的な人の移動が促され、地域活性化につながる点が考えられます。
他方で、こうした移動需要が期待できず、廃線が選択される場合もあります。その影響について、例えばJR北海道の日高線では、新たな交通体系に移行後のアンケート調査において、実際に利用している方の多くから運行頻度やアクセスなどについて利便性が向上したとの評価が得られたと聞いております。
このように、地域活性化の取組においてどのような公共交通機関が適当かについては、地域、線区の事情に応じて個々に判断されるべきであり、国としても関係者の協議を促してまいります。
最後に、ローカル鉄道の維持、活用のための予算額及び道路建設、保守管理の予算額についてお尋ねがありました。
今回のローカル鉄道の再構築に向けた制度面、予算面での枠組みは、バス、タクシーも含めた地域にとって最適な公共交通を実現させるための枠組みとなっております。これらの地域公共交通全体に関する予算の合計として、令和四年度補正予算では約八百億円、令和五年度当初予算では約五百億円を計上しております。また、道路関係予算は、令和四年度補正予算では三千七百四十五億円、令和五年度当初予算では二兆一千百八十三億円となっております。
なお、民間事業者が運賃収入を前提として運営する地域公共交通と公的主体が公物として整備している道路とでは、事業構造も大きく異なっており、予算規模を単純比較することは適当でないと考えております。
以上です。(拍手)