礒崎哲史の発言 (本会議)
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○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史です。
ただいま議題となりました脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案、通称GX推進法案につきまして、会派を代表して質問をいたします。
三月十七日の衆議院経済産業委員会における参考人の御見解には、傾聴すべき点が数多くありました。本日は、その内容も踏まえながら、政府に対し、以下質問いたします。
二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を国際公約に掲げ、国家を挙げて取り組むこととしてきましたが、今やこれは単なる環境政策ではなく、国際競争における産業政策であることを改めて認識しなくてはなりません。
本日議題のGX推進法案は、エネルギー安全保障、経済合理性の伴った脱炭素化、産業競争力強化による経済成長の三つの目的を全て達成するために、失敗できないエネルギー政策の大転換を企図するものと言えます。
一方、産業構造を大きく転換させることで、雇用への影響を懸念する声も多く聞かれます。GXを進める上では、そうした声に応えるために失業なき労働移動が図られることが重要です。新たな技術やサービス、イノベーションを生み出し、産業市場を育てるのが人だからです。
GX実現に向けた基本方針でも、公正な移行、すなわち、新たに生まれる産業への労働移動を適切に進めていくことが重要とされ、化石燃料関連産業から低炭素産業への円滑な労働移動を支援することは、国民の生活、雇用を確保するとともに、我が国の経済成長にも資するとされています。また、決して中堅・中小企業を取り残すことなく、社会全体のGXに向けた取組を推進していくとも記載されています。
しかし、このGX基本方針を踏まえて提出された本法律案には、公正な移行については一切規定されておらず、また、中小企業への配慮についてもほとんど見受けられません。衆議院の審議において、西村GX担当大臣からは、法案成立後に策定するGX推進戦略には公正な移行を明記するとの答弁がありましたが、それではなぜ本法律案に明記しなかったのでしょうか。政府に合理的な説明を求めます。
また、失業なき労働移動や中堅・中小企業への配慮をどのように担保し、社会全体でのGXを実現していくのかについても、政府の見解を求めます。
二〇五〇年カーボンニュートラルの取組は、文字どおり足の長いものとなります。技術革新の見通しや、国際情勢、自然環境の変化等、不確定な要素に対し不断に見直しを行うアジャイル型の取組が必要であり、法成立後の運用こそがその成否を左右します。
したがって、そのプロセスにおいて、経済界、労働界、学術界、地域社会との緊密なコミュニケーションは不可欠であり、幅広い関係当事者の参画の下、雇用を含む政策課題の洗い出しと省庁連携による横断的な対応が不可欠です。
西村大臣は、労使の代表者や専門家、有識者もメンバーに入っているGX実行会議において、定期的に進捗状況を評価していくと言っておられますが、運用に当たってはより実務的な議論が必要になってくると考えます。GX実行会議で連合の芳野会長から提案のあったように、例えばドイツやカナダのように、我が国でも政府のイニシアチブにより公正な移行に関する委員会を設置し、雇用を含む課題横断的な対応を進めてはいかがでしょうか。見解を求めます。
さらには、政策課題別又は業界別に分科会などを設置し、GX実行会議本体の下に、より個別具体的な課題を議論する場を設けるべきと考えますが、いかがでしょうか。見解を求めます。
三月十七日の参議院経済産業委員会で取り上げましたが、失業なき労働移動にはリスキリング事業が一つの重要な鍵になると考えています。しかし、経済産業省が開始した事業は転職を前提とする個人に対象を限定し、また、企業を対象とする厚生労働省の事業は、約五百億円規模の人材開発支援助成金の中の一つのコースに限られていたりしています。これでは余りにシャビーです。こうした事業の在り方にも、何が具体的に必要とされているか、経済界、労働界とコミュニケーションを取った上で、効果的かつ柔軟に対応すべきです。
さらには、二〇〇九年のオバマ政権時代に米下院で可決されたワクスマン・マーキー法案で提唱された、排出量取引制度で得た収入を職業教育訓練プログラムや失業者への所得支援等に充てる仕組みを参考にし、リスキリングに充てる予算を倍増すべきと考えます。前者は質、後者は量の確保の観点から、それぞれ見解を求めます。
カーボンプライシングについて、制度が導入され、化石燃料価格や電力料金の形で負担が転嫁された場合、GXに先行して取り組んだ大企業は負担が減りますが、化石燃料を使用しないと成り立たない産業や、GXに取り組む余力のない中小企業、国民に負担が偏ることが懸念されます。カーボンプライシングの負担の在り方について、政府の見解を求めます。
カーボンプライシングを本格的に導入する今回を機に、負担が見えにくい状況を明示的なものに変えていく必要があると考えます。
化石燃料に対しては、現時点でも、地球温暖化対策税を含む石油石炭税を始め揮発油税、軽油引取税、FIT、FIPの再エネ賦課金など複数の負担が課されており、今回の化石燃料賦課金は、これらに屋上屋を架そうとするものです。これらの税制や関連する制度を整理簡素化し、明示的なカーボンプライシングに一本化すべきと考えます。そうすることで、欧州が進めるCBAM、炭素国境措置に対しても、日本の炭素負担を正しく示すことができるようになります。また、時代に合わない曖昧な課税根拠を明確にすることにもつながります。政府の見解を求めます。
二〇三三年度から開始しようとしている排出量取引制度についても、省エネ法や高度化法といった既存制度を、今回構想しているGXETS、排出量取引制度に合流させていくべきと考えますが、政府としてどういった構想を描いているか、答弁を求めます。
また、四月から始まったGXリーグは、GXETSの試行である第一フェーズと位置付けていますが、いずれ排出量の国際取引にもつなげていこうとした場合、例えばEUETSとの互換性をどのように高めていくのか。とりわけ、国際標準、ルール作りを主導していく観点から、政府が考える課題と対策について見解を求めます。
本年三月二十日の日経新聞の報道で、先進国が国連に報告している石油、ガスの生産や輸送などに伴うCO2排出量の数値について、実測重視の算定値との間に、米国では三・二倍、ロシアは四・六倍、カナダや豪州は二・五倍の違いがあり、報告は実態より過小評価されていると指摘されています。
こうした状況を踏まえ、先ほどの排出量取引制度同様、CO2排出量の実効的な換算方法の見直しを我が国として提唱していくことも重要と考えます。ルール作りを主導する観点から、西村環境大臣に見解を求めます。
日本の半導体製造装置の輸出規制強化の報復的な位置付けとして、中国が高性能レアアース磁石の製造技術の輸出禁止を検討しています。同技術は脱炭素の鍵となるEVに不可欠な要素ですが、状況をどのように分析し、どのような対応を検討しているか、政府の見解を求めます。
この件は、米中のデカップリングに日本が本格的に巻き込まれ始める象徴的な例になると考えます。政府として、日米同盟は堅持しつつも、米中の間でどういったスタンスを取っていくのかが問われると考えます。米国と常に歩調を合わせるのか、攻防をいなしつつ様子を見るのか、国際条約に基づいたルールを履行することをより能動的に求めていくのか、政府の答弁を求めます。
以上、質問といたします。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣西村康稔君登壇、拍手〕