芳賀道也の発言 (本会議)
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○芳賀道也君 国民民主党・新緑風会の芳賀道也です。
会派を代表して質問をさせていただきます。
昨年、安倍総理がお亡くなりになり、先日、日本銀行の黒田総裁も退任されました。残されたのは、巨額の政府債務、日銀のバランスシートの極端な悪化、インフレ、円安、そして国債のバブルです。我が国の上場企業の事実上の最大の株主が日銀という状況も、資本主義国にあるまじきことです。さらに、安倍元総理も国難だとして衆議院総選挙の争点にした少子化がますます進み、止まる気配がありません。
岸田内閣は、日銀の新総裁に、黒田前総裁の直系の方ではなく、外部から植田和男先生という金融論などが御専門の学者を総裁に選ばれました。
岸田総理にお尋ねをいたします。
岸田内閣として、アベノミクスや黒田バズーカにはどのようなプラスとマイナスがあり、アベノミクス後に我が国が直面する財政金融の課題にはどのようなものがあるか、具体的に御説明ください。
次に、我が国の医療保険制度につき質問します。
医療保険のファイナンスについて、京都大学の広井良典教授は、その最大の特徴を保険原理と税の原理が混然一体となっていると一九九七年に指摘。社会保険の網を広く掛けた上で、そこになし崩し的に公費、すなわち税を導入してきたと広井教授は論じました。日本総合研究所の西沢和彦主席研究員は、医療保険制度の現状について、なし崩し的な公費導入から社会保険料によるなし崩し的な再配分へと軸足を移し、混然一体の様相はますます複雑化、深刻化し今日に至っていると二〇二〇年に述べています。
社会保険は負担と受益が対応しているのに対して、税は再配分機能を果たすものです。
加藤大臣にお尋ねします。
我が国の医療保険財政について、社会保険と税が混然一体となっているという指摘についての受け止めと、本法案でどのように社会保険と税の間の整理が進むのか、御説明をお願いいたします。
本法案は、これまで説明があったように、岸田内閣が始めた全世代型社会保障構築会議の報告書に基づいています。昨年十二月、この会議の報告書では、少子化、人口減少の流れを変える、これからも続く超高齢社会に備える、地域の支え合いを強めるの三つの方向性を示しています。
岸田総理に伺います。
安倍内閣も菅内閣も少子化対策をしてきましたが、新生児の数は減り続け、昨年八十万人を下回り、少子化の波は止まりません。安倍内閣でも菅内閣でも少子化対策をしたのに、少子化の波が止まらなかったのはなぜでしょうか。どこに問題があったのでしょうか。具体的な御説明をお願いいたします。
本法案は、少子化、人口減少の流れを変えるという方向に沿った法案です。しかし、子育て世代の重い社会保険料負担が放置されています。国民健康保険の保険料で子供に係る均等割のことです。
正社員で健康保険組合や協会けんぽに入っていれば、その世帯に何人子供がいても、子供がいてもいなくても、子供が何人いても保険料は同じですが、派遣労働やパートなどで国民健康保険に入っている場合、保険料の計算で必ず所得割と均等割があり、この均等割があるために、子供がいれば保険料が増え、子供が多いほど保険料が重くなるようになっています。
日本総合研究所の西沢和彦主席調査員の試算、二〇一七年度基準によれば、例えば三方式と呼ばれる保険料の計算をしている市町村では、四十歳未満の給与所得の方で二百万円の給与収入がある場合、単身世帯なら年間十五万五千円ですが、給与収入が同じ二百万円でも、四十歳未満の母と小学生以上の子供一人の母子世帯は、国民健康保険料の保険料は年間十六万八千円と一万三千円の負担増。同じ給与収入で協会けんぽの職場で正社員なら、保険料の本人負担は年間十万円なので、国民健康保険料の、国民健康保険の保険料は実に約一・七倍になります。
例えば、岩手県宮古市のように、国民健康保険の保険料の子供均等割を十八歳までゼロにする自治体もあります。
確かに、昨年四月から未就学児の均等割が半額になる法改正がおととしありましたが、少子化の流れを変えるためには、まず国民健康保険の保険料の十八歳以下の子供の均等割負担をゼロにして子育て世代の国民健康保険料を全国的に抑えるべきだと考えますが、加藤大臣の見解を伺います。
さて、四十年前の一九八三年三月、当時の厚生省保険局長、吉村仁氏が雑誌「社会保険旬報」に医療費をめぐる情勢と対応に関する私の考え方というレポートを掲載し、いわゆる医療費亡国論を述べています。租税、社会保障負担率のGNP比が五〇%前後になれば社会が活力を失う、つまり経済成長率が下がるという説です。他方、吉川洋東大名誉教授は「転換期の日本経済」という著書の中で、経済成長率と国民負担率は無関係と論議されています。
岸田総理は社会保障の負担率が重いと経済成長率が下がるという医療費亡国論に賛成なのか、それとも、社会保障の負担率と経済成長は無関係と考えるのか、また、適切な国民の負担率をどの程度と考えているのか、岸田総理のお考えを伺います。関連して、鈴木財務大臣にも国民負担率の上限をどの程度だと考えているか、伺います。
フランスに本拠がある金融機関、BNPパリバのチーフエコノミスト河野龍太郎氏の「成長の臨界」では、失われた三十年の原因はリーマン・ショックや新型コロナなどバッドラック、悲運と、もうけがあっても設備投資や人材投資、賃上げにお金を出さない経営者たちのバッドマネジメント、そして政府のバッドポリシー、悪い政策があったと論じています。
特に、バッドポリシー、悪い政策とは、社会保険の保険料を継続して引き上げてきた小泉内閣以来の社会保障政策を言っています。従業員の保険料が高くなったため、各企業は、社会保険料の企業負担がある正社員を増やすのではなく、保険料企業負担なしの派遣労働者やパート、アルバイトなど、非正規労働者を使う傾向が続いています。
若い世代がなかなか正社員になれず、また多くの女性が出産後に派遣労働やパート、アルバイトにしかありつけない背景には、社会保険料の引上げを継続した歴代自民党の政策があるというのが河野龍太郎氏の分析です。この分析に対する加藤大臣の見解を伺います。
河野龍太郎氏の分析に従えば、子育て世代の雇用を充実させて少子化、人口減少の流れを変えるには、企業が、社会保険料の引下げを進め、企業が正社員を増やすインセンティブを付ける必要があると考えます。
社会保険料の引下げに対する考え、又は社会保障を支える税と保険料のバランスについて、加藤大臣の考えを伺います。
皆さん御存じのように、我が国の医療提供体制は、健康保険証があれば全国どの医療機関も受診可能というフリーアクセスの仕組みです。海外の研究者からは、日本の医療保険の給付対象の広さに驚かれることが多いと聞きます。例えば、アメリカでは保険者の権限が強く、医療保険の指定する病院で、病気ごとに保険が指定する治療法や薬にしか医療保険が利かないようになっています。
ところで、公的保険医療を受けるとき、現役世代では三割が本人負担、七割が保険で支払われていますが、保険のうち国民健康保険、協会けんぽには政府予算が入っていますし、後期高齢者医療制度では半額が税金です。仮に、深刻な財政危機が我が国を襲っても、最低限の公的な医療提供を守るため、医療へのフリーアクセスは制度上変えないけれども、命に関わる緊急的な医療には本人負担割合を下げて、経済的に一番弱い状態にいる方々の命を守る医療を提供する仕組みを検討しておく必要があると考えますが、加藤大臣の御見解を伺います。
以上で私、芳賀道也の質疑を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕