塩村あやかの発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○塩村あやか君 立憲民主・社民の塩村あやかでございます。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案について質問をいたします。
 私は、就職氷河期に社会に出て、以降、フリーランスで仕事をしてきました。フリーランスは、自分で条件や環境を選択できるポジティブな面が押し出されていますが、それはフリーランスの一面にすぎません。取引先は絶対的に優位であることが多く、買いたたきに遭ったり、時に性暴力にさらされたり、年金も国民年金のみ、退職金もない。結婚や子供を持つことを諦める人も少なくありません。フリーランスは非正規雇用であり、非正規雇用の負の面が大きいことにもっとスポットライトを当てるべきだと思います。
 とはいえ、あった方がいい法律だとも思います。本日は、本法律案を次回改正に向けてより良い法律にするため、基本的な内容をただしてまいります。
 令和二年に内閣官房が公表した実態調査によると、我が国のフリーランスは四百六十二万人、その後も更に増加しているとも言われています。この間、政府としては、フリーランスをめぐるトラブルに対処をするため、フリーランスガイドラインの策定やフリーランス・トラブル一一〇番の開設など、一定の対応はしてきています。その上で、フリーランスの取引適正化と就業環境整備のために本法律案が提出されたことは評価をいたします。
 しかし、提出に至る検討過程の不透明さ、法律案の内容の曖昧、不明確さ、不十分な点、触れられてすらいない点も多くあり、本当にフリーランスの方々にとってトラブル根絶が実現できる法律案だと言えるのか、一抹の不安が拭えません。
 そもそも、なぜ本法律案の提出が必要となったのでしょうか。その要因、背景などの立法事実について、政府としてどのような調査をどのように分析をしているのか、お示しください。
 近年、フランスや韓国等の諸外国においては、フリーランスに関わる労働政策、社会保障政策の観点も含めた包括的な政策対応が進められています。そうした諸外国の例と比較をすると、我が国の政策対応は遅れていると言わざるを得ません。フリーランスの地位、社会保障問題を直視すべきです。
 海外事例をどのように把握されて、本法律案を検討し、反映されたのか、伺います。
 本法律案は、取引の適正化を目的に掲げていますが、契約締結は義務付けられておらず、取引内容の明示でよいことになっています。明示とは何なのか、具体的にお答えください。また、法的効力はあるのか、お伺いをいたします。そもそも、契約を必須とせず、取引内容の明示と規定した理由は何なのか、お答えください。
 次に、内容面でも、解釈が曖昧、不明確な点や、トラブル防止のためには不十分と思われる点が見受けられます。
 本法律案の取引適正化関係の規定は、下請法の規制の一部を言わば流用するものとなっていますが、それでフリーランスをめぐるトラブルが本当に根絶できるのでしょうか。一方的な発注の取消し、過重労働につながる短期間に大量の無理な発注など、フリーランスの取引上のトラブルの特性を踏まえ、トラブル防止に必要な禁止行為を規定すべきだと考えます。なぜ規定をしなかったのか、お伺いをいたします。
 特に過重労働は深刻です。例えば、芸能、メディア関係者などは不規則で余裕のない生活が続きます。現場で倒れて急死をしてしまう三十代、四十代が少なくありません。彼らに共通をしているのは健康診断を受けていなかったことだと舞台監督の森下紀彦氏は指摘をしています。仕事に追われ、指定をされた期間や時間帯に自分の住む地域の健康診断を受けることが難しいのです。
 私の知人もフリーランスのディレクターでしたが、無理をして仕事を詰め込み、取材先に向かう駐車場の車の中で脳出血で死亡していました。妻と二歳の子供を残し、まだ四十代でした。その彼の葬儀の受付をしていた先輩ディレクターも、疲労がたまっていたのでしょう、その彼の葬儀の受付で突然死をしました。私は仕事仲間を同時に二人失うという経験をしました。以降、私は健康診断を欠かしていません。
 フリーランスを保護するためには、過重労働をいかに防止し、健康診断を受けてもらうかに懸かっています。政府は問題解決にどう取り組むのか、お伺いをいたします。
 次に、下請法との関係をお伺いいたします。
 本法律案と下請法のいずれも適用対象となる取引の場合、どちらの規定が適用されるのでしょうか。法律上の整理規定もなく、解釈も示されていません。どのような場合にどちらの規定が適用されるのかが曖昧、不明確では、混乱を招く懸念があります。適用関係の整理規定を置かなかった理由、適用関係の解釈を明確にお示しください。
 本法律案には、就業環境の整備として、フリーランスに対する業務委託事業者による妊娠、出産、育児、介護への配慮義務が規定をされています。連合が本年一月に公表したフリーランスの契約に関する調査二〇二三によると、フリーランスに必要だと思うこととして、妊娠、出産、育児、介護など、仕事と両立をするための給付金や休暇などの制度を求めるニーズがあることが示されています。
 フリーランスが求めているのは、取引先の配慮以上に給付金や休暇制度です。発注元事業者に対し取引上の配慮を求めるようなニーズがあるとの調査は見受けられませんけれども、本規定を盛り込むこととした背景、立法事実をお示しください。
 育児介護等への配慮義務は政令で定める期間以上の業務委託に適用をされるものですが、この政令で定める期間は、衆議院内閣委員会において、一年以上を検討する旨の答弁がありました。この一年以上という根拠は何なのでしょうか。政府は、アンケート調査において契約期間が一年以上の場合には仕事の掛け持ち数が減るという結果になっている旨の答弁をしていますが、それと育児介護等への配慮義務が求められる委託期間との間にどのような合理的関連性があるのか、お答えください。
 育児介護等への配慮義務は、フリーランスからの申出に応じて必要な配慮をしなければならないと規定をされています。しかし、申出をしたことで、直接、間接を問わず、何らかの不利益取扱いがなされてしまうことも懸念され、申し出ることをためらう場合も想定されます。本法律案では、不利益取扱いの禁止規定が置かれていません。なぜなのか、お答えください。また、本規定の実効性をどのように担保をするのか、お伺いをいたします。
 また、育児介護等への配慮義務規定に基づき具体的に求められる配慮の内容も不明確で、業務委託事業者はどれだけの負担を甘受しなければならないのかも未知数です。法律上の配慮義務と規定をされたことで、かえってフリーランスに対する発注を控える不安があるとの声が上がっています。業務委託事業者に求められる配慮と負担のバランスをどのように考えるのか、お伺いいたします。
 ハラスメント対策義務規定についても、具体的にどのような行為がハラスメントに該当するのか、ハラスメント対策として求められる措置は何かが不明確です。本法律案は、労働者に対する既存の各種ハラスメント対策とどのような違いがあるのか、具体的な内容を御説明ください。また、フリーランスに対するハラスメントの根絶に向け、いかに実効的にハラスメント対策義務の履行を促し、違反行為に対する是正を図っていくのか、お伺いをいたします。以上、後藤大臣にお伺いいたします。
 本法律案において全く触れられておりませんけれども、フリーランスをめぐる社会保障の問題こそ、早急に対応すべき課題です。
 昨年十二月に全世代型社会保障構築会議が取りまとめた報告書において、フリーランス、ギグワーカーについて、その被用者性の捉え方などの検討を深め、必要な整理を行うとともに、より幅広い社会保険の在り方を検討する観点からの議論を着実に進めるべきとされましたが、一向に検討の進捗が見られません。いつになったら実現されるのでしょうか。本法律案は公布後一年六月以内に施行されますが、施行時には社会保障に関する対応も実現されていると考えていいのでしょうか。実現時期をお示しください。以上二点は加藤大臣にお伺いをいたします。
 また、報告書では、自営業者やフリーランス、ギグワーカー等に対する育児期間中の給付の創設に向けても検討を進めるとされましたが、先月末に公表されたこども・子育て政策の強化について(試案)では、育児期間に係る保険料免除措置の創設に向けた検討を進めるとされ、給付制度を設けるという方向性から随分と後退してしまっています。先ほど述べた連合の調査からも、給付制度の創設こそが当事者のニーズと言えます。なぜ後退したのでしょうか。検討し直すべきです。小倉大臣、お答えください。
 加えて、無痛分娩の促進、これも重要な施策の一つと考えます。
 無痛分娩のメリットとして、分娩に伴う痛みの緩和だけではなく、疲労の少なさや回復の早さも挙げられます。
 フリーランス協会が平成二十九年に実施をした調査によると、フリーランスの女性の約六割が産後二か月以内に仕事を復帰しているという衝撃的なデータがあり、その背景には社会保障制度が整っていないということが指摘をされています。
 給付制度などを早急に創設すべきことは先ほども述べたとおりですが、早期復帰をせざるを得ない現状では、産後の回復が早ければ、それだけ無収入期間を短縮することにもつながります。フリーランスの社会保障の観点も踏まえ、希望すれば無痛分娩を選択できる環境整備の促進は大事であると考えます。加藤大臣に見解を求めます。
 これまでフリーランスという呼称を用いてきましたが、本法律案の対象は特定受託事業者と定義をされています。フリーランスとして多くの方が多種多様な業界で働かれている中、発注・受注当事者双方にとって、自らがこの法律の特定受託事業者や業務委託事業者に当たるかどうか認識しにくくなってしまっているのではないでしょうか。当事者に対し周知徹底をする必要があると考えますが、後藤大臣に取組方針をお伺いいたします。
 次に、偽装フリーランス、偽装請負問題への対応強化の必要性についてお伺いをいたします。
 本法律案により、個人として業務を受託する事業者については一定の保護が受けられることになります。実体上の労働者性があり、労働者に該当する場合には労働関係法令によって保護されますが、昨今、実質的には労働者性がありながら労働基準法等の適用を免れる、いわゆる偽装フリーランスや偽装請負問題が社会問題化をしています。
 本法律案に基づく業務委託の名の下に、偽装フリーランスや偽装請負問題が起こることも懸念されます。そのようなことにならないよう、本法律案の制定を機に、これまで以上に厳格に法執行を行うこと及び労働法制の適用拡大の検討が必要ですが、加藤大臣に見解をお伺いいたします。
 偽装請負で触れざるを得ないのが、秋本真利外務大臣政務官問題です。
 政策秘書が業務委託契約をある女性と結び、政策秘書の給与一人で二人分の秘書を実質的に雇用していた、いわゆる秋本スキームとも言われる手法です。当該秘書は、当該女性は秘書として秋本政務官の指揮監督下にあったことは、入手をしたショートメッセージのやり取りや、委託を受けたとされる当該女性秘書から私が直接聞いた話でも明らかです。つまり、実質的な労働者にもかかわらず、社会保障などが適用されない偽装請負としていたのです。
 この件に関する資料を提出するよう、秋本政務官は再三予算委員会や内閣委員会で求められていますが、政務官は国会の場で事実と異なる答弁をし、偽装請負問題から逃げ続けています。
 国会が求め続けている資料を秋本政務官に提出をしていただくよう、上司として指示をしていただけないでしょうか。林外務大臣にお伺いをいたします。
 冒頭紹介した内閣官房の調査によると、フリーランスの年齢構成としては四十代から五十代が全体の四割程度を占めており、就職氷河期世代と重なります。私もその一人であったことは最初に述べたとおりです。
 政府として、フリーランスを含めた就職氷河期世代が必要な支援を受けられるよう、各省庁の取組を一層促進していただきたいと思います。
 本法律案と就職氷河期支援を担当している後藤大臣が大臣就任中にこの問題解決にどう取り組むのか、また結果を出す覚悟と決意があるのかをお伺いいたします。
 最後に、フリーランスの世帯年収は三百万円台です。年金は国民年金だけ。退職金もありません。社会保障が脆弱なフリーランスは既に四百六十二万人。そこに就職氷河期問題も重なります。二〇一九年の調査では、高齢お一人様世帯は七百三十七万世帯。既に、亡くなる方の三十人に一人が無縁仏に入る時代に日本は突入をしました。
 私たち国会議員は、過去の政策の失敗を詭弁で隠蔽してやり過ごすのではなく、反省すべきは反省し、見直すべきは見直すという作業をこの国会の場でしていく責務があるはずです。
 本法律案がそのきっかけとなることを、私も元フリーランス当事者の一人として切に願いまして、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣後藤茂之君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 121115254X01720230421_005

発言者: 塩村あやか

speaker_id: 30295

日付: 2023-04-21

院: 参議院

会議名: 本会議