柴田巧の発言 (本会議)

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○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました新型インフルエンザ等対策特別措置法及び内閣法の一部を改正する法律案に対し、賛成の立場で討論をいたします。
 討論に入る前に、一言申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが来月八日から五類感染症に変更されることとなります。五類への変更については、前国会での改正感染症法成立に当たり我が党の主導で附則に盛り込まれたことを受け、ようやく政府が鉛のような重い腰を上げたものです。本来ならコロナ対策に関与する専門家諸氏を含む政府側が動いてしかるべきであったことは言をまちません。なぜあれほどまでに対応が鈍かったのか。後ほど、コロナ禍で浮かび上がる、浮かび上がった様々な課題を指摘をしますが、まず、この点について政府に猛省を求めます。
 では、本法律案の賛成理由を述べます。
 まず第一は、新たな感染症危機に向け、政府の司令塔機能が強化されるからであります。
 我が国は今、少しずつではありますが、コロナ禍前の社会経済活動を取り戻しつつあります。この間、新型コロナ対応に御尽力された各方面の方々には敬服するばかりですが、今般のコロナ禍への対応を振り返り、次の感染症に向けた対策を遅滞なく講じていかなければなりません。
 今般のコロナ禍では、感染症対策に係る政府の機能不全と関係機関の縦割りの弊害が著しく顕在化しました。このため、本法律案は、新たな感染症危機に備え、行政の体制や組織を強化することを目的としており、各省庁の感染症危機への対応を統括し、司令塔機能を強化する組織として、内閣官房に内閣感染症危機管理統括庁を設置するとしています。
 この統括庁の新設によって、これまでの縦割り行政の弊害が是正され、我が国の感染症対策における構造的諸課題の抜本的解決、つながることを期待をします。
 ただし、新たな組織ができ上がれば感染症対策が万全かつ円滑に施されるというものでは決してありません。体制を見直すことは必要ですが、単なる看板の掛け替えに終わってしまってはなりません。統括庁は一段高い立場から行政各部を統括するとされていますが、現時点ではまだ、有事の際に、厚生労働省やいわゆる日本版CDC、そして危機管理部局との関係性が不明確な部分もあります。したがって、これらの関係を明確にし、たとえ新たな感染症危機が将来生じても、統括庁が真に司令塔機能をしっかり果たすことができるようにすべきだということを申し上げておきたいと思います。
 賛成する第二の理由は、本法律案の成立により、これまで以上に感染症危機が危機管理並びに安全保障上の問題として捉えられることになるからです。
 今回のコロナ禍では、行政が医療体制の拡充を呼びかけながら、実際には病床の逼迫が繰り返されました。また、医療品や医療材料等の備蓄の必要性は過去に何度も指摘をされながら、これも準備不足が露呈しました。課題を挙げれば尽きず、我が国のこれまでの感染症対策は極めて脆弱であるという現実を突き付けられました。こうなったのも、危機管理や安全保障の観点が大きく欠落していたからにほかなりません。
 その反省を踏まえ、昨年末に策定された国家安全保障戦略においては、将来の感染症危機に対する予防、備え、対応として、平素から感染症対策物資の確保や感染症対応能力の強化等に向けた体制を拡充することとし、また、感染症等の地球規模課題について、多くの国々などとの協力を広げ、国際的な取組を強化することにしています。
 そういう中、岸田総理は、本法律案の質疑の中で、国家安全保障戦略を踏まえつつ、統括庁は、危機管理や安全保障などの多様な専門的知見を活用できる体制の整備に取り組んでまいりますと答弁をしました。
 司令塔機能を果たす統括庁に危機管理や安全保障のエキスパートが加わり、専門的知見が提供されることは、感染症の発生及び蔓延初期に迅速かつ的確に対応することをより可能にし、感染症危機から国民の命や健康を守り抜くためにプラスになるものと確信をします。
 なお、今回は、感染症に特化した統括庁を設置することになりますが、複合的危機が生じた場合を想定して、いわゆるオールハザード型組織の設立も含めた検討も必要だということは指摘をしておきます。
 賛成する第三の理由は、統括庁による研修や訓練等を通じて感染症危機への対応能力向上が図られることです。
 政府によれば、統括庁は、平時において感染症対策の実施に関する政府行動計画に基づく実践的訓練を行うとのことです。統括庁は平時三十八名の定員ですが、有事の際は百一名の定員を確保するとともに、各省庁の幹部職員を合計三百人程度併任することになります。このため、有事の際に司令塔機能を果たすためにも、それらの職員も平時から高度な研修や実践的な訓練が必要です。この点、委員会質疑の中で、高木かおり議員の質問に対し、後藤大臣は、有事の際は招集職員をあらかじめリスト化しておきまして迅速に増員して十分な体制を確保する、そのための研修や訓練をしっかりとあらかじめしておくと答えました。このように、有事に備えて、研修や訓練を通じ、統括庁に関わる全関係者の対応能力向上を図ることは意味があります。
 研修や訓練の具体的な内容や運営方法については統括庁設置までの間に準備を進めるとのことですが、先般の参考人質疑で齋藤智也国立感染症研究所感染症危機管理研究センター所長が指摘したように、過去問に備えることに満足せず、常に次に何を起きるのかを考え続けることが必要です。齋藤所長によれば、我が国の危機管理は、ややもすれば過去問に備える対策になりがちです。過去の事例は危機に対する準備や訓練の段階では最も受け入れやすく、今後は、恐らく今般の新型コロナ対策を模した研修や訓練が行われていくものと思われます。実際に起きたことに対応できる能力は最低限求められますが、最終的に構築すべきは、未来に起き得る事態への備えです。感染症危機に備えて対応能力を高めるために、統括庁による研修や訓練が、過去にとらわれず、想像力を働かせ、また幅広に実施されることを求めておきます。
 三年余り続いてきた新型コロナ対応の最中にも、アフリカではエボラ出血熱が流行し、新たにサル痘の感染も拡大しています。サル痘については、今年に入って我が国でも感染者が増え、既に百人を超えています。
 たとえコロナ危機が収束しても、コロナよりも深刻な感染症が発生する可能性は否定できません。また、自然感染症だけではなく、かつて我が国でもオウム真理教による地下鉄サリン事件というテロ事件も起きました。今後、周辺国による核兵器、生物兵器、化学兵器の使用が我が国の安全保障を脅かすというシナリオも十分想定しておく必要があります。
 政府は、これまでも有識者会議等で感染症対策の抜本的見直しの提言を受けながら、喉元過ぎれば熱さ忘れるで、実行しないところに今般の新型コロナが我が国を襲いました。そして、感染症危機に対する脆弱性を再び露呈してしまいました。
 同じ過ちを繰り返してはなりません。今般のコロナ禍で得た教訓や経験を生かして危機管理体制を強化し、将来的に発生するであろう感染症をパンデミックにつなげない社会を構築していくことこそ求められています。そのために、日本維新の会は今後も引き続き積極的に提言、提案することをお誓いをし、賛成討論といたします。(拍手)

発言情報

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発言者: 柴田巧

speaker_id: 1171

日付: 2023-04-21

院: 参議院

会議名: 本会議