石川博崇の発言 (本会議)
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○石川博崇君 公明党の石川博崇です。
ただいま議題となりました国家安全保障戦略等三文書について、会派を代表して、岸田総理及び浜田防衛大臣に質問いたします。
冒頭、情勢が悪化しているスーダンで、帰国を、出国を希望する在留邦人の大宗が、現地に派遣された自衛隊輸送機や関係諸国との連携により無事に国外に退避できたことを高く評価するとともに、関係者の御尽力に感謝を申し上げます。
さて、ロシアによるウクライナ侵略が象徴するように、今、国際社会は戦後最大の試練のときを迎え、自由で開かれた安定的な国際秩序は重大な挑戦にさらされています。我が国周辺では、核・ミサイル戦力を含む軍備増強が急速に進展し、力による一方的な現状変更の圧力がますます高まっています。さらに、サイバー攻撃や偽情報の拡散などが日常的に生起する等、有事と平時、軍事と非軍事の境目がますます曖昧になっています。こうした中で、外交力、防衛力、経済力など総合的な国力を活用し、我が国の平和と安定、国民の生命、財産を守り抜くことは、与野党を超えた国政の最重要課題です。
我が国は、今後とも、自由、民主主義、法の支配など普遍的な価値や国際秩序を断じて守り抜く旗幟を鮮明に掲げ続けるとともに、日本の経済的繁栄を主体的に構築しつつ、各国との共存共栄を図る環境を積極的に創出することで、今後とも国際社会の信頼と尊敬を勝ち得ていかなければなりません。
こうした問題意識を踏まえ、今回の安保三文書改定の意義について、総理の御所見を伺います。
現下の安全保障環境を踏まえれば、国民の生命、財産を守るために必要な防衛力の抜本的強化は重要かつ必要な措置です。
一方で、我が国の厳しい財政状況の下、今回防衛力整備計画で示された五年間で四十三兆円程度との防衛費について国民の理解を得るためには、決して額ありきではなく、真に必要な事業のみを積み上げた内容であることを政府が丁寧に説明する必要があります。また、更なる効率化、合理化の徹底によるコスト抑制も不可欠であり、政府に更なる努力を求めますが、総理の御所見を伺います。
近年、北朝鮮など我が国周辺のミサイル戦力は質、量共に著しく増強が図られ、長射程化、予測困難な奇襲発射、多数弾を同時発射する飽和攻撃、さらには極超音速や変則軌道など、ミサイル関連技術が急速に進化、発展を遂げており、これまでのBMD対処による迎撃のみでは対応が難しくなっています。この現実に的確に対応し、国民の生命、財産を守り抜くためには、飛来するミサイルをミサイル防衛網で防ぎつつも、相手からの更なるミサイル攻撃を抑止する反撃能力の保有は必要と考えます。しかし、その必要性について国民の理解を得るためには丁寧な説明が必要と考えますが、総理の答弁を求めます。
反撃能力は相手にミサイルを撃たせない抑止のための措置でありますが、仮に万やむを得ない場合の自衛の措置として武力行使の三要件に基づきこれを行使する場合であっても、憲法、国際法、国内法を遵守し、専守防衛の範囲内で運用されなければなりません。加えて、反撃能力の行使に当たっては、まず武力攻撃事態等の事態認定を行った上で、自衛隊に防衛出動を下令するといった手続が求められます。これらは国会承認事項であり、政府には、事態の経緯、事態認定及び武力行使が必要と認められる理由などについて国民への説明が求められます。
こうした厳正な手続によって反撃能力の適正な運用が担保されるものと考えますが、防衛大臣の認識を伺います。
次に、宇宙、サイバー領域について伺います。
三文書では、宇宙分野での米国ほかの同盟国、同志国との連携強化などが明記され、本年一月の日米2プラス2においては、宇宙空間における攻撃が米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約第五条の発動につながり得る旨が確認されました。これは、宇宙空間を利用した情報収集、通信、測位等にとって極めて重要な意味を持ちます。
また、サイバーについては、対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させていく旨が国家安全保障戦略に明記されました。今後、能動的サイバー防御の導入、組織や法制度を含む体制の整備等の検討が必要となります。これらの課題に今後どう取り組むのか、総理の御所見を求めます。
我が国は、多くの島から成るという地理的特性を有しています。有事において島々から住民を安全に、安全な場所に避難させることは容易ではなく、国民保護に関して、平素から、国、地方自治体、自衛隊、海保、警察、消防など関係機関が連携し、必要な検討、訓練を進めておくことが重要です。
国家安全保障戦略には、国と地方公共団体などが協力して国民保護の体制強化を行うことが明記されました。今後、国民保護に係る共同訓練の実施回数を大幅に増やすことや、特に南西方面において重点的に訓練を実施すべきと考えますが、総理の御所見を求めます。
現状では、防衛装備品の可動率、弾薬、燃料など有事に必要な継戦能力が十分に確保されているとは言えず、さらに、自衛隊施設の約四割は建築基準法改正前に建てられ、耐震基準を満たしていません。こうした状況の改善こそ最優先であり、着実に進める必要があります。
また、我が国の防衛を全うするためには、自衛隊員一人一人がその能力を十分に発揮できる環境整備が欠かせません。国家安全保障戦略においては、自衛隊員を防衛力の中核と位置付け、人的基盤を強化することが明記されました。女性自衛官の更なる活躍や、OB、OG隊員の活用を含め、人的基盤の今後の強化策についてどう取り組むのか、防衛大臣の答弁を求めます。
今回の三文書では、防衛産業を防衛力そのものと位置付けました。防衛産業なくして我が国の防衛力はその能力を十分に発揮できず、低い収益性により事業撤退が相次ぐ我が国防衛産業を取り巻く厳しい環境を改善していくことは極めて重要です。
一方で、今般、防衛装備移転三原則の運用指針の見直しも明記されましたが、防衛装備品の海外移転を防衛産業への支援という文脈で議論すべきではなく、あくまでも装備品の海外移転がいかに我が国及び国際社会の平和と安全に資するのかという観点や、平和国家としての我が国の在り方を十分に検討した上で、国民の理解が得られるよう、丁寧に議論していくことが重要と考えます。総理の見解を伺います。
最後に、我が国の平和を守るためには、備えとしての防衛力の強化とともに、車の両輪としての平和外交を積極的に推し進めていくことが何よりも重要です。
国家安全保障戦略においては、公明党の強い主張を踏まえて、我が国の安全保障の第一の柱として外交力が掲げられました。戦後の国際秩序が揺らぐ中で、危機を未然に防ぎ、平和で安定した国際環境を能動的に創出すること、首脳外交を含めた多層的な外交活動を展開し、自由で開かれた国際秩序の強化に積極的に取り組むことが重要です。また、特に東アジア地域の平和と安定には、中国との建設的かつ安定的な関係の構築は不可欠です。これらについて、本年G7議長を務める総理の御決意を伺います。
最後に、今般の三文書改定を踏まえ、我が国と国際社会の平和と安全、国民の生命、財産を守り抜くために、公明党は今後とも全力を尽くすことをお誓いし、私の質問といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕